最近考えていること。
道を歩くと、ふんわりとバラの香(かおり)がしてくる。
どこからかなと、思ってあたりを見回す。
大きくて少しダークな赤いバラが見つかる。
ディズニーの不思議な国のアリスに出てくるような、大きなバラだ。
すこしツンとした香(かおり)は、玄関のポールや、ベランダにからまって
白い花を咲かせているジャスミンだ。枯れて茶色くなっている花もいつまでも
ツタにつながっていて、見かけはどんどん汚くなる花だが香(かおり)は
いつまでも強い。独特な甘さがあっていい。
ランに似た赤紫の花は、名前のとおりの紫蘭(シラン)。色が大好きだ。
四枚の花びらの小さい花を咲かせるポピーは雑草なのだろうか。最近、
あちこちで見かける。今は、いろんな花がいっせいに咲き誇る季節だ。
道を歩くだけで、他人が植えた花を楽しめる。
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いい天気が続くが、ちゃんと適度に雨も降る。
いい国だ。
近所のお好みやさんで読んだ新聞の読者の蘭に、あるおじいちゃんが、
「雨が降ったらダメなのですか。」という感想を入れていた。
「テレビを観ていると、あいにくと雨が降っています、雨が降って嫌な
お天気です、などとニュースキャスターが言うが、雨が降らないと困るので
はないか。雨が降ると喜ぶ農家の人の気持ちも考えてしゃべってほしい。」
というような内容だった。誰も、水をかける人がいない道端の木や草は
自然に降ってくる雨で生き延びているのだ。
農業を営む人には、雨は必要だ。雪が少ないと水不足になって米の収穫に
ひびく地域もあるそうだ。雨でも、あんまり嫌がらないでほしいな。
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雨が降る日のできごとだった。
歩道を歩いていると、後ろから、片手で傘をさしながら片手で自転車を
こいでいるおじいさんがやってきた。
おじいさんは、わたしの横でよろけた。おじいさんの傘がわたしの傘をぐいと
押して、わたしの傘の中に入ってきた。おじいさんの傘が、わたしの肩の
直ぐ側まできて、斜めになったおじいさんの傘から雨だれがボトボトと、
わたしの肩まで流れ落ちてきた。
おじいさんは、そのまま倒れてきそうだったが、なんとか体勢を建て直して
よろよろと前に進んでいった。
70歳の後半は過ぎているようなおじいさんだった。ひょっとしたら80歳は
過ぎているかもしれない。細くて枯れたようなか弱い感じのおじいさんだった。
そんなに年をとっているんだから、雨の日に片手で傘をさして自転車に乗る
ような芸当は止めた方がいいのではないか。
わたしの肩が、おじいさんの傘から流れてきた雨のしずくで濡れたのは
我慢するけど、倒れてきたら支えないといけないから緊張したよ。