北朝鮮の脅威が昨年7月のミサイル発射で顕在化したことから
防衛省は12日、ミサイル迎撃のための高出力レーザー兵器の
研究、開発に来年度から着手する方針を決めた。
来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。
北朝鮮のミサイル発射や核実験で日本上空の脅威が高まる中、
日本の防空機能を強化する狙い。まずは本土防衛に直結する
地上配備型レーザーの研究、開発を目指すが、将来的には航空機
搭載レーザー(ABL)についても検討する。
日本は現在、弾道ミサイルの迎撃手段として (1)地上配備型の「PAC3」
(2)イージス艦に搭載する海上配備型の「SM3」――
の2本柱で両迎撃ミサイルの配備を進めている。
PAC3はミサイルが大気圏に突入後、着弾するまで、SM3はミサイル
の大気圏外の飛行中の迎撃を想定している。
これに対しABLは、弾道ミサイル発射直後の撃ち落としやすい段階で
の迎撃手段として米国が開発を進めている。
ABLについて日本はこれまで、発射国上空の迎撃が領空侵犯に つながったり、ミサイルの攻撃目標が日本であることが判明する前に
迎撃すれば、憲法解釈が禁じる集団的自衛権の行使となる恐れが
あるため、研究や開発には慎重だった。
しかし、1日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)でミサイル 防衛(MD)分野での協力強化がうたわれた。
米側からABLの開発に対し協力を求められていることや、北朝鮮の
脅威が昨年7月のミサイル発射で顕在化したことから、慎重姿勢を
転換させる方針を固めた。【田所柳子】
5月13日3時4分配信 毎日新聞 |