「台湾独立反対」を表明しろと迫るチャイナ
6年半ぶりにチャイナの首相が日本に来たけれど、来る前から日本側に「台湾
独立反対」をはっきり表明しろと迫ってきたのが印象に残った。
国会では案の定「台湾独立は絶対に認めない」とチャイナの首相は演説した。
そういうことを演説させてチャイナにまで生中継させるのを、なぜ日本の政治
家は許すのだろう?
4月11日に発表された日中共同プレスでも、「台湾独立反対」を盛り込めと
チャイナから執拗な要求をされたが、単に「台湾問題で日本は日中共同声明
で表明した立場を堅持」で押し通したそうだ。しかし、
国会で、チャイナの首相にいつもの主張を語らせた後、拍手をしていては、ま
るで日本がチャイナの言葉に全面賛成したように見えるのではないか?
チャイナは「台湾独立反対」表明の見返り条件として、日本の拉致問題解決を
支持すると交換条件を出してきたそうだ。首脳会談では、安倍首相が拉致
事件での協力を求めると、チャイナの首相は「台湾独立反対」を公に表明して
くれれば、チャイナが北朝鮮の拉致事件で応援するのも当然ということに
なるだろう。」と言ったそうだ。
安倍首相は「この二つは全く関係がない」と拒絶したそうだ。
(12日付の台湾紙自由時報による。)
植民地の宗主国ではあるまいし、日本政府に「台独反対」を言う権利などない
のだから当然だろう。日中共同声明は、台湾に関しては「ひとつのチャイナ」
とチャイナが主張する気持ちを「理解する」というニュアンスで書かれていた
が、安部首相は「台湾独立は支持しない」と明言した。日中共同声明には「支
持しない」とは書かれていない。
橋本首相が言い出したことが、チャイナの首相の国会での言葉では、日本が
(支持しないと言った)約束を守れというような話に変えられている。
日本は台湾とチャイナのことなど関与しないというニュアンスで、「支持しない」
と言っているのだが、どうしてもチャイナは日本に「約束」させたいようだ。
何の約束だろうか。――――チャイナが実力で台湾を占領したときに、台湾を
助けないようにという約束をしろとチャイナは言っているのだ。そんなことを
表明しては、国民はみんな「わが政府は台湾の独立に反対している。なぜなら
台湾問題は中国の内政問題だからだ」と思ってしまう。
日本がちょっとでも曖昧なことを言うと、チャイナはそれを使って「台湾独立
に反対すると約束した」とか、「日本は台湾を中国領と承認している」などと
国際社会で表現し、外国も日本の考えを誤解するだろう。
日中共同声明には「理解する」と書かれていることが、いつのまにか「支持し
ない」に変わっている。
台湾の中華民国政府が日本で購入した「光華寮」が、中華人民共和国の
留学生に乗っ取られたので、返還を求める裁判でも、日本の裁判官は
1972年の日中共同声明で中華民国はなくなっているので「光華寮」の
所有権は誰にあるかという話は別として、訴訟手続きを違法・無効とし、裁判
はできないとした。
何となく、言葉が一人歩きして、日本政府は台湾の独立に反対しているのだと
日本国民も誤解するのではないかと心配だ。
日本は台湾を植民地にしているわけではなく、戦争に負けた時点で台湾は
日本の領土ではなくなった。でも、チャイナに割譲したわけではない。単に
領有権を放棄させられただけなのだ。そこに蒋介石軍が無法に上陸して
占拠しただけなのだ。
――――正式にいうならば、今でも連合軍の管轄下にあるはずだ。
しかし今では、台湾は選挙で議員を選ぶ民主的な政府を持ち、軍隊も持って
いる。独自の政府があり、軍隊を持ち、治安を維持して、すでに独立した国家
として存在しているのに、なぜ独立反対といまさらチャイナは言うのだろう?
チャイナは共産国、台湾は民主主義の国。主義が違うし、台湾は日本やアメ
リカのモノではないし、正式に中華人民共和国に割譲されたわけではない。
第一、台湾人の気持ちに関係なく、中華人民共和国が勝手に「ひとつの中国」
とか言い出しただけで、中華人民共和国は一度も台湾を実効支配したこともな
いのだ。中華人民共和国が、外国に台湾はチャイナのものだと無理やりいろん
な圧力をかけて認めさそうとしているだけなのだ。
そんなふうに、外国に口で認めさせるだけで、台湾が中華人民共和国のものに
なっては台湾人はたまらない。もし日本人がそんな目に遭ってみたらどう感じ
るだろうか。ーーー台湾は日本と友好的な国だ。幼稚園から反日教育で
育った中華人民共和国の国民とは違って、日本が好きだという人が多いのだ。
また、台湾が民主的な国として中華人民共和国との間にあるので、台湾の隣
の日本の島も軍隊もおかずにすんでいる。もしも台湾が中華人民共和国に
乗っ取られたら、沖縄も尖閣諸島も危ない。
またそうなると、中華人民共和国に大きく海を獲られてしまい、海から石油を
運ぶしかない日本は、中華人民共和国に首根っこを押さえつけられてしまうよ
うなものだ。
今だって中華人民共和国は、日本の領海に勝手に入って調査するような国
なのに、台湾が中華人民共和国になると、調査船やら潜水艦や軍艦どころか、
漁民がうじゃうじゃと九州や広島あたりまで日本の魚という貴重な資源を奪い
にくるのは目に見えている。
もちろんガスもどんどん盗られるし、尖閣諸島も沖縄もチャイニーズだらけに
なって、実質中華人民共和国のものになってしまいそう。日本は、武装した漁
民や軍艦が日本の海を侵犯した場合、説得して帰ってもらうしかないので、や
られ放題になるだろう。
アメリカが知らんぷりすれば、台湾が中華人民共和国に支配されるのは
あっという間だろうし、そのときは大勢のチャイニーズがニセの台湾人のパス
ポートを使って日本に亡命を装って移動してくるだろう。
台湾という民主主義の国が共産国に飲み込まれると、アジアの他の民主主
義の国は、台湾を助けない日本に失望し、生き残るために中華人民共和国
に追従するようになるかもしれない。
また、日本が台湾を見殺しにすることは、日本国憲法にも違反する。
日本は戦後、国際社会において名誉ある地位を占めたいと願っているのだ。
┌--------
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しよ
うと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは
全世界の国民が、ひとしく恐怖と缺乏から免かれ、平和のうちに生存する権
利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはなら
ないのであつて、政治道徳の法則は普遍的なものであり、この法則に従ふこ
とは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である
と信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成
することを誓ふ。
└--------
と宣言しているのだ。
また、日本国憲法前文には、
┌--------
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。
└--------
とある。
「平和を愛さない諸国民の公正と信義に信頼しない。」ということである。
中華人民共和国が平和を愛さないで、台湾に戦争をしかけるなら、日本は、
┌--------
台湾の国民が、ひとしく恐怖と缺乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を
有することを確認し、われらは、台湾の事も、自国のことのみに専念して無視
してはならないのであつて、政治道徳の法則は普遍的なものであり、この法則
に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責
務であると信ずる。
└--------
憲法を守るなら、台湾のことも無視してはならないのであるからこうなる。
台湾は、既に民主主義を有する独立した国家としての実質を備えているので、
すでに独立した国家である。日本が領有権を放棄しただけで、台湾が自動
的に「中華人民共和国」の一部になったわけではない。
台湾を、国際社会にどんな手順で受入れさせるかが現在の問題。台湾を
不法占拠した蒋介石国民党の「中華民国」は既に無くなっている。
だから台湾は台湾人の国であって「蒋介石の中華民国」の領土ではない。
台湾国民が自分たちの将来を民主的に決定する権利を持っているのであり、
政治形態が異なる「中華人民共和国」が武力で台湾を支配することを許す
のは、日本の憲法にも反するのだ。
アジアの国々は日本を見ている。世界の国々も、日本が国際社会で貢献する
ことを期待して見ている。台湾も日本を見ている。
日本国民は、「国家の名誉にかけ、全力をあげて自国の主権を維持し、他国
と対等関係に立とうとし、そうしようと努力する台湾」を応援するのは国の責務
であると信ずる、平和を、崇高な理想と、目的を達成することを誓った憲法を
持っている。
平和を愛さない諸国民、の公正と信義に信頼しないで自衛するのは当然で
ありもし、中華人民共和国が平和を愛さないで台湾に戦争をしかけるなら、
黙って見ているのは憲法違反である。
そうしないように説得するべきであって、すでに存在している民主的な国家で
ある台湾のことを、中華人民共和国に強制されたからといって「独立を支持し
ない」とも言うべきではない。曖昧なことをいって経済的に友好したいなら、
中華人民共和国にはずっと、「気持ちは分かる」とだけ言い続けるべきだ。
ーーー西洋がアジアを植民地にするのには反対したが、アジアの国が他の
アジアの小国を呑み込んで自国領にしてしまうのはOKという話はないだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
┌--------
11日の安倍晋三首相と温家宝中国首相の首脳会談で発表される共同文書
をめぐり、日本側が求めた「拉致問題」の明記に中国側が難色を示している
ことが9日、明らかになった。一方で中国側は、台湾問題に関して「中国は
1つである」との認識を文書に盛り込むよう要求。
日本側は受け入れない考えで、ぎりぎりの調整が続いている。
04月09日23時0分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070409-00000168-jij-pol
└--------
┌--------
【東京 12日 ロイター】
日本を訪問中の中国の温家宝首相は12日午前、国会で演説し、歴史問題
について詳細に触れ、日本政府の「深い反省とおわび」を評価すると言明した
他、日中経済協力を強化すべきと述べた。
東シナ海ガス田開発問題については、協議を継続し、問題解決に向け実質
的ステップを踏み出すべきだとした。
台湾問題に関しては、中国はその独立を絶対容認しないとして、日本にも
中国の立場を理解し、慎重な対応を求めた。
温首相は、日中経済協力について、「ハイレベル対話メカニズムを設立し、よ
り高いレベルでの対話に引き上げた」と述べ、「エネルギー、環境、金融、ハ
イテク、情報通信、知的財産権などの分野で協力を強化するべきだ」とした。
台湾問題について同首相は「中国の核心的利益にかかわる問題」とし、「独立
を絶対に容認しない」「日本側にはこの問題の高度な敏感性、微妙性を認識し
約束を厳守しこの問題に慎重に対処することを希望する」と述べた。
東シナ海ガス田問題については「両国は係争を棚上げし、共同開発する原則
にのっとり、協議の過程を積極的に推進し、相違点の平和的解決のために
実質的なステップを踏み出し、東シナ海を平和・友好・協力の海にすべきだ」
と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000134-reu-int
└--------