京都の夜桜
日曜日に友達の友達の個展に行った。先週会った友達のこどもが、
わたしのことを覚えていてくれて、「絵~、描こう~!」と誘ってくれた。
その子は、3歳ぐらいの女の子で、着ている服がなんとも言えず可愛い。
スケッチブックと色鉛筆をいつもカバンに入れているので、それでしばらく絵を
描いて遊んだ。スケッチブックは、自分が使ったページを破いてその子に
あげた。この前、家で色鉛筆で自分の猫のスケッチをしたが、顔だけ大きく
なってしまった。長いこと絵を描いていないから、ヘタクソになっている。
顔の大きな猫の絵だけちぎって、カバンにしまった。顔の大きな変な絵でも
久しぶりに描いた絵なので捨てる気はしない。絵を描きたいと思えたこと自体
すごいことなのだ。
その子は、ありがとうと言いながら、スケッチブックをそのままにして、別の
大人の人と帰ってしまったけれど、まあいいや。
スケッチブックをその子のお母さんである友達に渡して帰ることにした。
次にあった時に、覚えていてくれるかな。
個展には、以前、料理教室で会った人が外国人のダーリンを連れてきていた。
ダーリンは、京都で留学生として長いこと住んでいた人なので、京都のことは
よく知っている。帰りは、その人の案内で川沿いに夜桜を見ながら歩いて帰る
ことになった。
京都大学の学生たちが、満開の桜の下にビニールシートを敷いて、静かに
お花見をしていた。桜の下の暗がりに、30人ぐらいの男の子と女の子が
座ってお菓子を食べたり飲んだりしている。歌うでもなく、笑うでもなく、
ボソボソと何か小声でしゃべっている。本当におとなしい。ただ、学校から
学生がトランペットを練習している音が流れてくるのが、陽気で明るい雰囲気。
橋の下では浮浪者の方々が、きれいに四角いビニールを壁に見立てて小屋
を作っていた。
「京都の浮浪者は、おとなしくてきれいに住んではるんよ。大阪の浮浪者は
公園いっぱいに青テントをはってはるらしけど、京都は浮浪者は少ないなあ。」
と、料理学校で知り合った人は言っていた。
「日本の浮浪者は世界一、犯罪を犯さない浮浪者なんよ。」とも言っていた。
日本の浮浪者も、集まって住みだすと自然にボスができて、そのボスが
治安を維持するよう努めるらしい。もともと日本の浮浪者はおとなしいけどね。
もしも浮浪者が犯罪者になると取締りがきつくなって、他のみんなが生きにくく
なるからね。
京都の川沿いの桜並木は、電気もついていないので、満開の桜もぼんやりと
白く見えるだけだった。その方が自然でいいと思う。
それでも、土手の上の道の明かりに照らされた桜の花と柳の木はきれいな
ピンク色と黄みどり色に闇の中に浮かび上がっていてきれいだったし、
暗くても近くの桜の花はしっかり見えた。京都の川幅は大きく、道沿いに旅館
や大きな病院が立っている。こんな場所で入院すると、散歩も楽しめるし、
治りが早いだろうなと思った。
川の側を歩くと、ほんのり桜の葉っぱのにおいがしたり、雪柳のにおいがした
り、いろんな草のにおいがして、すがすがしい気分になれる。空が大きく見える。
帰りは京阪電車で、大阪に戻った。京阪電車には、真ん中あたりが二段に
なっていて、二階と地下の座席がある。友達とダーリンはいつも、そこに乗る
のだそうだ。二階の席は満員だったので、地下の席に座った。
駅につくたびにみんなの足元が見えて不思議な感じだった。京都は、自然が
まだまだいっぱい残っている。1時間半ほど電車に乗れば、京都に行けるの
だから、たまに京都に出かけて京都通になろうかな。
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京阪電車の吊り広告に舞妓さんの絵が描いてあった。鴨川踊りの広告だ。
去年の今頃、祇園の近くで舞妓さんが二人、すごい速さで歩いているのに
出合った。そのステージで踊りに行くために急いでいるということで、写真を
一緒に撮るのを断られた。あの時も、日本人の別の友達が外国人のダーリン
を連れていたっけ。あの二人はどうなったのだろう。
面白くてしゃべると楽しくて、30過ぎてもあちこち外国を歩いているような
女の人は、大抵外国人と結婚しているような気がする。最初は外国人の
ダーリンと二人で日本に住んでいるが、その内、外国に行ってしまう。
なんだか、楽しい人が外国に出て行ってしまって、もったいないような気も
するが、なんとなく、日本では暮らしにくいのだろうか。
外国人のダーリンたちは、日本で働くと、毎日長時間拘束されて奴隷になった
ような気がするとか言っていたっけ。