笑顔で人を殺す国
渡部亮次郎のメイル・マガジン 頂門の一針 第769号
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笑顔で人を殺す国
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渡部亮次郎
「中国首脳の来日には、相手を懐柔するトウ小平型と、激しく威嚇する
江沢民型がある。しかし、来日した温家宝首相のニコニコ顔に惑わされ
てはいけない。来日に水をさすようだが、微笑外交は腹に一物ありなの
だ」と12日の産経抄は過去の経験を踏まえて戒めている。
そうなのだ、!)(とう)小平は私の前に、にこやかに現れた。北京の人
民大会堂。1978年8月10日、の本時間午後4時。6年越しの懸案だった日中
平和友好条約にやっと目途をつけた我々交渉団は同行記者団と北京ダッ
クの昼食をして一息入れたあとだった。
人民大会堂の玄関からテレビのライトに照らされながら1人の小男がゆっ
たりと歩いてきた。それが「あの」!)(とう小平)だった。合計3度の失
脚から甦り、いまや最高実力者になろうとする副主席。小平は小男だか
らついた元は綽名。150センチに満たない。
丸顔。既に74歳だが老人シミはひとつも無い。失脚と復活を繰り返した
自信からか余裕綽々の雰囲気が出ていた。これが貫禄と言うものなのだ。
会談の冒頭、カーツ、ペッと痰壷にツバを吐き、下から園田直日本外相
を見上げた。園田は睨(ね)めつけられた、気おされちゃいかんからオ
レもやろうとしたんだけどタンが出てこない。やったのは大分経ってか
らだった。
その2日後に会談する華国鋒国家主席や前日まで会談した黄華外相はメ
モを読みながら言葉を発するが、トウ氏はメモ一切なし。園田外相が
「監獄に入っているときはどうでした?」と失礼なことを聞いても「俺
は毛沢東にかばわれて軟禁だった、1日2時間の重労働はしたがね」と平
然たるものだった。
老練。外相が思わず突っ込んでゆくと「ときにあんたは歳はいくつかね」
ときて「あ、それならオレより十何歳も下だ、下だ」なんて言ってはぐ
らかしたりした。
尖閣列島をテーマにした時もにこやかに「今までどおり、20年でも30年で
も放っておけ」と言ったから、日本側は実効支配が認められたと解釈し
てしまった。尤もあそこで更に詰めようと言う雰囲気が双方に無かった。
日中平和友好条約とは!)(トウ)小平による中国4つの近代化と経済の
改革、解放化を実質的に梃入れする担保であった。あの年から中国経済
が飛躍的に伸びた事は誰も否定できない事実である。
にも拘らず、トウは日本から受けた莫大な経済援助について人民に一言
も言っていない、ひた隠しして死んだ。死ぬ前に1989年6月4日、北京の
天安門広場に集まっていた市民、学生に対して、人民解放軍に一斉射撃
させ、何百人も殺したのも!)(トウ)小平だったのだ。
尤も、あの時に市民、学生の自由化要求を認めていたならば、中国共産
党は滅亡に追い込まれた事は確実である。つまり中国共産党は自己を守
り貫くためには、時に応じて笑いもするし殺しもする、断乎として。に
こやかに殺すのである。騙されてはいけない。
<中国首脳の来日には、相手を懐柔するトウ小平型と、激しく威嚇する
江沢民型がある。30年ほど前に来日したトウさんは、新幹線に乗って科
学技術の水準の高さを褒めあげ、トウブームを起こした。コワモテの江
さんは歴史認識で説教をたれ、尖閣諸島はおれたちのものだと欲張った。
▼きのう来日した温家宝首相は、表面的にはトウさんタイプかもしれ
ない。国会で演説し、西京極球場では立命館大野球部員とキャッチボー
ルに興じる予定だ。テレビは「これは絵になる」と大挙して押しかけ、
彼に翻弄(ほんろう)されることだろう。
▼しかし、ニコニコ顔に惑わされてはいけない。日本のコメ輸入で合
意したところで、恭しく調印したのはわずか25トンだ。大型トラック
2台分で大きな顔はされたくない。東シナ海の資源開発で譲歩したわけ
でも、巨大軍事力を減らすといったわけでもない。
▼なぜか、温さんは記者会見を予定していない。大国の指導者らしか
らぬ。その理由は明かさないから、こちらで勝手に推測する。日中の
「氷をとかす旅」なので、余計なボロは出したくないのがホンネだ。自
虐的な日本人記者から、慰安婦問題や首相の靖国参拝の質問が出れば批
判をせざるをえない。
▼すると中国内に跳ね返って、大衆の反日気分に火を付ける。中国経
済のひずみを是正するのに、日本経済が役立つと考えているから、いま
は困るのだ。
▼自著が発禁処分をうけた何清漣さんによると、小紙連載の「トウ小平
秘録」を抄訳掲載したブログがネット上から削除されている。天安門事
件はいまも「教えたくない歴史」なのだろう。
歴史を鑑(かがみ)とするとは彼の国の主張だが、自国には適用されな
いようだ。来日に水をさすようだが、微笑外交は腹に一物ありなのだ。
>(産経抄 Sankei Web 2007/04/12 05:01)
2007・04・12
平成19(2007)年04月13日(金)
第769号 発行周期 不定期(日曜日は必ず発行)
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「笑顔で人を殺す国」は、主宰者ならではの卓見でした。「氷を
とかす旅」など、日本をなめ切った言い草です。党と軍を維持するため
に散々反日感情を煽り、難癖つけ続けてきた国の代表が、あさましくも
ニコニコ顔でわが国の議事堂で、白々しくも尤もらしく演説をするとは、
虫唾が走ります。
本国へ生中継とは、どこまでわが国を利用するのでしょうか。日本国民
の大多数は、あの「ニコニコ顔」に嫌悪を感じた筈です。「微笑外交は
腹に一物あり」。そのとおりですね。わが国の政治家に、あの「ニコニ
コ顔」に騙されるな、といいたいですね。見事な卓見に感謝です。毛馬
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温家宝は、演説が終わってから手を叩けと催促して自ら手をたたき出した
そうだ。安倍首相も手をたたいているのがNHKでは映されていた。
手を叩いたらまるで、「賛成!」って言っているみたいじゃん。見ているのも
屈辱を感じた。あんな耳にタコができるほど聞いたような演説、聞いても意味
無いよ。なんで、友好国でもないチャイナの首相に国会に立たせるんだろうね。
温家宝は、本国生中継してたのか!国民に見せて自慢したいのだろうな。
次回、日本の首相も、同じように生中継させてもらわねば釣合わないよ。
そうだ。
日本の国会にあたる「全人代」で、演説させてもらわないとね。