読売新聞の社説ー北朝鮮に対して制裁措置を強化することもあってよい。ー
北朝鮮の姿勢を見れば、当然の措置である。
政府は、昨年10月の北朝鮮の核実験に対して実施している北朝鮮船舶の入港禁止や北朝鮮からの輸入の全面禁止など、日本独自の制裁措置について、さらに6か月間継続することを決めた。
政府は、核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢や拉致問題に誠意ある対応がないことに対する総合判断の結果だ、としている。極めて適切な判断だ。
先に中国船籍の貨物船が北朝鮮産のアサリを持ち込んだ迂回(うかい)輸入の疑惑も摘発された。厳格な法令の適用や検査によって、さらに実効ある制裁とすべきだ。
6か国協議の北朝鮮以外のメンバーで北朝鮮の核兵器開発によって、最も深刻な脅威にさらされているのは日本だ。
だが、北朝鮮は先の6か国協議で合意した寧辺の核施設の活動停止や封印など、「初期段階の措置」を未(いま)だに実施していない。合意した60日間の期限内の実現は難しくなっている。
マカオの銀行で凍結されていた北朝鮮資金の返還の遅れを理由にしているが、身勝手で、独善的な言い分だ。核廃棄への最初の一歩すら無い以上、日本として、制裁継続以外に選択肢はない。
制裁に関しては、米国が、資金凍結解除や米朝対話に応じるなど、柔軟姿勢に転じたのに伴い、北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事会決議に基づく制裁包囲網も緩んでいる。
制裁や圧力の空気が後退する中で、日本のみが独自の制裁措置を取ることに、国内でも、「日本が取り残される」という声がある。
だが、日本には、北朝鮮の国家犯罪である拉致の問題がある。北朝鮮は、先の6か国協議の日朝作業部会でも、「解決済み」と言い張り、協議自体にも応じない姿勢すら見せた。
日本を標的とする200基のノドン・ミサイルの脅威を取り除くことも、日本の安全保障上、重要な課題だ。
いずれも、米国など、国際社会の理解を得て取り組むのは当然としても、何よりも、日本が主体的に北朝鮮に解決を迫っていかねばならない。
6か月間という期限の設定には、状況の変化に柔軟に対応できることや、制裁の継続ないし解除の判断が、北朝鮮との交渉のカードになり得る、という面もあるだろう。
拉致、ミサイルなどをめぐる今後の日朝交渉を視野に入れれば、日本独自の制裁カードを柔軟かつ効果的に使っていくことが大事だ。必要なら、制裁措置を強化することもあってよい。