日本人のチャイナに対する不信感はそう簡単に氷解しません。 | 日本のお姉さん

日本人のチャイナに対する不信感はそう簡単に氷解しません。

産経新聞の【主張】「氷をとかす旅」 言葉だけでなく実体化を

 「温」で日中間の「氷」をとかしたいということだろうか。中国の温家宝首相が今日午後来日し、13日まで滞在する。中国首相の訪日としては7年ぶり、温氏個人としては15年ぶり2度目の訪日だ。温首相は来日前の記者会見で、「昨年の安倍晋三首相の訪中は『氷を砕く旅』だった。今回の私の訪日は『氷をとかす旅』だ」と語った。

 昨年まで氷河期だった日中関係の改善への意欲を示したものだろう。その姿勢は歓迎したい。しかし、日本側から言えば、1990年代から特に強まった中国側の反日姿勢に起因する日本側の中国政府に対する不信は、簡単に「氷解」するものではない。

 真の関係改善、雪解け、相互信頼のためには、言葉だけでなく、その実体化が必要だ。中国の対日政策の具体的変化を見守りたい。

 多くの日本人は、かつての「日中友好」の掛け声が、結局は「中国側にとって都合のよい友好」に過ぎなかったこと、また、中国の対日姿勢が中国の国内政治情勢や党中央の方針変化によっていとも簡単に変わるものだということを忘れてはいない。

 昨年10月の安倍首相の訪中で、日中両国は「戦略的互恵関係」を構築することで合意した。今回はその具体化、深化を目指すという。

 政治・安全保障面では、日中双方の首脳相互訪問の推進が合意される見込みだ。日本は小泉純一郎前首相時代から「問題があるからこそ首脳どうしが会うべきだ」と主張してきた。首脳相互訪問の定着化は歓迎したい。中国国防相の年内来日を含む防衛交流も信頼醸成には役立つだろう。

 経済面では、「日中ハイレベル経済対話」が立ち上げられる。米中、中露間で始まった戦略的経済閣僚会議の日中版だ。具体分野では、省エネルギーと環境保護で協力関係を具体化するほか、IT(情報技術)、金融、中小企業などの分野でも協力を進める。

 忘れてはならないのは、日中関係はあくまで「互恵」であるべきだということだ。一方だけの利益となる関係は断じて許されない。東シナ海の資源問題でも「互恵」策を示してほしい。さらには、歴史認識や台湾問題でも、双方が率直に立場を主張しつつ、政治的利用は控える関係を期待したい。