ハリバートンは米国から逃げ去ってドバイへ本社を移転
ハリバートンは米国から逃げ去ってドバイへ本社を移転
すでにテキサス本社では石油もガスも枯渇。米国企業として立ちゆかない
からか?
イラク戦争が開始されたとき、軍の後方支援として食事から洗濯、燃料補給まで幅広いサービスを請け負った企業はハリバートン。
もとより石油井開発、鉱区維持サービスで世界最大。ディック・チェイニー米国副大統領は、ブッシュ政権入り前まで、この企業のCEO(最高経営責任者)だった。かれは父親ブッシュの政権で国防長官だった。
つねに戦争の影にはハリバートンがあり、外国の政治家への賄賂でも、頻度激しくスキャンダルに名前がでてきたハリバートンは格別に共和統系でもない。
リンドン・B・ジョンソン大統領のときはベトナム戦争で後方支援に当たった。
賄賂問題で騒がれ、それをベトナムへ飛んで調査した若い議員がいた。その人物の名前はドナルド・ラムズフェルドといった。
ビル・クリントン政権下でバルカン半島の空爆に参加したときもハリバートンが軍任務の下請けだった。
昨年度のハリバートンの売り上げは226億ドル、経常利益26億ドル。いまでは世界120ヶ国で井戸を掘り、鉱区を開発し、軍事基地を構築し、米軍の幹部の格好の“天下り先”ともなってきた。
そのハリバートンが本社をドバイへ移転。オペレーション機能をテキサス州ヒューストンの残し、企業の登録はデラウエア州とする条件で、外国へ去ることを決めた。
米国連邦議会はおりからハリバートンの不正経理操作や外国要人への献金を捜査すると言いだしたところだった。
急先鋒はヒラリー・クリントン。このタイミングでの発表だったので「捜査のがれ」いや「税金逃れ」との風評も建った。
ハリバートンはオクラホマ州で1919年に誕生した。
貧乏だったハリバートン夫婦が立ち上げた石油井開発企業は倒産目前だった。
夫人が結婚指輪を売却して、倒産を免れ、やがてテキサスへでて石油開発ブームであてた。
「第二次大戦中はハリバートン社所有のヨットを海軍に提供した。創立から90年を閲し、あまりに国際的に拡がりすぎた企業だが、戦争ビジネスは入札を伴わない業務も多く、言ってみれば米軍のあることろ、ハリバートンがあった。
イラク戦争で、まっさきにバビロンに米軍駐在基地を構築したのもハリバートンだった。
イラクでの契約は合計135億ドルにのぼる」(英紙「インデペンデント」、07年3月14日付け」。
いまでは売り上げの過半は米国以外の場所から得ている。とくに中東とアジアで獲得している。
移転するドバイは極東の香港のように税金天国、多国籍企業の蝟集する拠点である。このハリバートン移転事件はメジャーの凋落を意味することなのか。
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(読者の声1) 本日、ユタ州選出の米上院議員 Robert Benett氏の講演が、小生の在籍する大学でありましたので、従軍慰安婦関連の資料を持って行き、講演開始の前に渡しました。
一応、渡す前に、少し説明をしたのですが、どうも、ほとんど関心を示さない様子でした。
彼が言うには、
1:「自分は、上院の人間であり、下院のやっていることは、よく分からないし、どうしようもない。」
2:「マイクホンダ? この人は、下院の人だろ? 自分は知らない。」
と言う答えでした。
小生が渡した資料に関しても、講演の直前と言うこともありすぐに、自分の秘書に手渡しました。
そこで、この秘書の所に行って、資料を見せて、重要な箇所を指差しながら、状況を説明しつつ、読ませたのですが、この人もあまり、関心を示しませんでした。(持って行った時に、なぜ、自分の方に持ってくるのか?とでも言いたげな表情でした。)
一応、資料としては
1:読売英字版の記事、2:加瀬英明先生のホンダへの英文公開質問状、3:米陸軍の公式記録文書、4:小生の英文での書簡(事前にアメリカ人の友人に見せて、チェックしてもらいました。)を持っていったのですが、講演が間近に迫っていたこともあり、それらには、少し目を通しただけで、議員、秘書共に、あまり関心は無さそうな感じを受けました。
小生の感じた印象として、
1:この問題が、日米関係に重大な影響を与えるという意識が、根本的に欠如している。
2:(秘書も含めて)もともと、この問題に関する知識や関心がほとんど無く、小生の持っていった資料を見て、初めて知ったという反応。3:これは、下院の連中が勝手にやっているだけで、上院の方は関係無いという態度。
先日送らせていただいた分にも少し書かせていただきましたが、どうも、この問題の実態は、米下院の一部反日議員達とリヴェラル派マスコミの、アメリカの世論と大部分のアメリカ国民の民意を無視した独走(暴走)であり、それらに、日本側が、過剰反応しているように思います。(それが、この決議の背後で暗躍している連中の目論見の一つでもあるでしょうが。)
アメリカでは、どうも本国の方々が、考えておられるほど、深刻視も重要視もされておらず、一部を除いて、ほとんど知られてすらいないように感じられます。むしろ、アメリカ側にとっては、今回の下院での決議提出に、日本側が、ヒステリックに騒いでいるようにすら見えるのかも知れません。
ただ、アメリカ人の多くには、(前述の上院議員と、その秘書も含めて)その対日観の根底に「中国で、中国人を虐殺した日本人」という歴史観?が根強く存在しているのを感じました。
もしかしたら、今回の下院での反日決議案可決問題が、一般のアメリカ人に、ほとんど興味関心が持たれず、また、積極的に否定も肯定もされずに、惰性のような感じで可決されつつあるのは、「既に既成事実として、存在するのだから、今更、それに対して、新しく穿り返したり、決議することもあるまい。」という冷ややかな対日観が、根底に在るからなのかも知れません。
そうした事を考慮した場合、日本の戦争犯罪というのは、ある意味、多くのアメリカ人にとっては、自身のidentityにも繋がる問題であり、我々日本人が、アメリカにおける反日運動と、これへの対抗策を考える場合、最もやっかいな問題として日米間に横たわっている問題であり、これを、へたに無視、または刺激するやり方(例えば、一部で言われているようなアメリカの過去や戦争犯罪を非難したり、公に追求するようなこと)を行なった場合、確実に、(リヴェラル系マスコミや反日団体が、過剰に歪んだ形で取り上げて)この問題に、ほとんど関心の無い一般のアメリカ人を、感情的な反日にさせ、現在は、一般のアメリカ人に、ほとんど興味関心を持たれない、この問題が、確実に日米間の深刻な対立を生む大問題に発展すると考えられます。
駄文、長文、失礼いたしました。
さて貴誌1757号で「KI生、生駒」様が「もっぱら「米国内への影響」を考えて論じておられますが、この 決議は「米国内向け」ではないのではありませんか? 中国向けではないかと思います。中国が「米議会で糾弾決議がされた」と言っ て宣伝効果をあげるための決議だと思います。」
と書いておられましたが、小生は、ご指摘のとおり、もっぱら、アメリカ世論の動向を意識して書いております。
米国内向けではないのではないか? というご意見ですが、現在アメリカ国内においては多数の中国系、韓国系の反日団体を始め、反日色の濃いリヴェラル系マスコミが、暗躍しております。
そうしたことを考えた場合、今回の決議問題は、中国向けというよりもこれら反日団体の米国内での反日活動に、一種の”お墨付き”を与えるようなものであり、そうしたことを考えました場合、小生は今回の決議提出は、KI様がおっしゃられるような中国による反日宣伝に利用されるためのものという面もございますが、同時に米国内における反日活動促進の為の大義名分を米下院が、米国内の反日団体に与えるという目的の方が、より重要な意味を持つように考えます。
彼らにしてみれば、自身の活動や発言に、一種の正当性を与えられ、米国内での活動が、今まで以上に、やり易くなるのですから。
(TS生、在米)
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(読者の声2)佐藤優氏批評で見落とされているもの。
異色の人である同氏への私は、国策捜査という表現に当てはまる犠牲であったと思っている立場です。といって、同氏の見解にすべて同調するものではありません。また、同氏への共感と違和感からの様々な批評のうちで、深刻な問題が見落とされていることに危惧していました。
その部分を初めて媒体で指摘したのが、貴誌1759号にも紹介されていた『諸君!』5月号の柏原龍一氏のそれなのでしょうか?
ともかく、早速書店で購入して読みました。共感したのは、外務省でインテリジェンスを教えているのか?との部分でした。
実は、ある大使経験者から、二人きりの際に、この半世紀、外務省ではインテリジェンスもカウンターインテリジェンスも教えていないと、佐藤問題(あるいは宗男尾問題か?)が起きたときに指摘されたことがあるからです。
外務省の長年に及ぶていたらくで、上記の指摘はわかります。再独立後の日本は国家としてそれを必要とする仕組みになっていなかったのは、最近になってやっと指摘され始めています。
その狭間に佐藤氏は立ったつもりが、そして、そこに独自の存在理由をもったつもりが、その橋は氷か幻影でできていた?氷が溶けた、幻影は背後の政治力が失速したさいに消えた、といったところではないか。
投書子の「しなの六文銭」氏は、「ソ連勤務時代に罠に掛かったとしてもどうでもよいことです。」と記していますが、個人としての「しなの六文銭」氏はそれでいいのでしょう、しかしタックスペイヤーの一人としてのわたしは、外務公務員がそれでは困ります。折角、別名を「しなの六文銭」としているのに悖るのではないですか?
直接には関係しませんが、手嶋龍一氏が佐藤氏を持ち上げる真意が今ひとつ不明です。
それにしても、こうした投書が生きる場が少ないところに現在の日本の切なさがあります。
(SJ生)
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平成19年(2007年) 4月5日(木曜日)
通巻第1762号 (4月4日発行)
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