大企業の批判をしたら高額訴訟をされるのか?オリコンのやり方は恐ろしい。
【PJ 2007年04月04日】- 音楽ヒットチャートで知られるオリコン株式会社(小池恒社長)が、フリージャーナリスト烏賀陽(うがや)弘道氏を提訴した件に関し、大蔵出版、インプレス、合同出版、出版ニュース社などの中小企業の出版社代表57人が連名で「オリコン社による烏賀陽弘道氏提訴についての見解」を発表(3月27日付)した。
これは個人を対象にした高額訴訟で、
資力のある企業が都合の悪い言論を
封じる手段とすることを危惧したもの。
具体的には、オリコンが2006年11月17日付で「事実誤認に基づく名誉毀損
行為に対する5000万円の損害賠償と謝罪」を
求めて烏賀陽弘道氏を東京地裁に提訴したことによる。
オリコンの発表では、烏賀陽氏が平成15年2月発売の週刊誌「AERA」の
記名記事で同社を中傷誹謗し、平成18年3月発売の月刊誌「サイゾー」におい
ても、「オリコンは調査方法をほとんど明らかにしていない」「オリコンは予約
枚数もカウントしている」というコメントをしたことに対し、事実誤認であるとし
ている。
これに対し、烏賀陽氏は「オリコン」に対し「訴訟権の濫用」
として、1100万円の損害賠償を求める反訴を東京地裁に起こしている。
出版社代表たちの「オリコン訴訟を危惧する」連名見解発表は、月刊誌
『サイゾー』(株式会社インフォバーン発行)の電話取材に応じて烏賀陽氏が
答えた20行ほどのコメントをもって、掲載した月刊誌『サイゾー』やその発行
元を訴えるのではなく、まったくの個人である、烏賀陽氏に高額な賠償を
提訴していることを問題視している。
個人に的を絞っての高額訴訟は
「訴訟に名を借りた言論封じ」の危惧を
抱かせ、取材源を提訴したことは、
取材・情報発信者にとって大きな脅威
となり、言論・出版の自由にかかわり、
「国民の知る権利」を損なうとしている。
4月3日の2回目法廷でも全面対決
この損害賠償等の裁判公判2回目は、4月3日に東京地裁で、裁判長による反訴状と答弁書への内容確認が行われた。オリコン側には、訴訟が「AERA」と「サイゾー」の2誌が対象ならば、損害賠償請求が2件になるのではないか、と指摘。オリコン側は今後検討するとした。さらに烏賀陽氏側の弁護人には、オリコン側の問題とする烏賀陽氏のコメントは、事実であるのか、ということを確認した。弁護人は、烏賀陽氏のコメントは、主旨は合っているものの、部分を取り上げたもので、全体の流れで考えるべきであると主張した。
閉廷後、烏賀陽氏の記者会見で、釜井英法弁護士(池袋市民法律事務所)は、今回までの流れは、「両者一歩も譲らず全面対決の様相」と現状を解説。オリコンは、3年以上前の『AERA』の記事まで、名誉毀損の対象になるとしているが、その時点で何もしないでいたのに今になって持ち出すのは理屈に合わない。統計手法についても、ウェブサイトで公表しているとしているが、とてもそのようなレベルのものには見えない。謝罪すれば取り下げるともしているが、これは5000万円という損害賠償金請求自体が言論封じのためと解釈できるのではないか、などオリコン側の主張の不合理性を指摘した。【了】