騒がしい人 | 日本のお姉さん

騒がしい人

友達のママと、スーパーに買い物に行ったとき、ついでに花粉症用のマスクも


買おうと、お掃除グッズコーナーをウロウロしていたら、松井棒が売られていた。


割り箸に布を巻いて輪ゴムで止めたような棒で、これで細かいところのほこりを


拭くといいらしい。でも、こんなの自分で作れるよね、、、。松井棒は、松井一代


さんが売っているお掃除用の棒だ。


松井一代さんは、最近、テレビでよく見る、とっても騒がしい人で、トイレを掃除


しないと福が逃げるとか、運気が逃げるとか、そんなオカルトちっくな事を番組


中に叫ぶ人なのだ。そういう事を言う人は嫌いなので、名前を覚えてしまった。


掃除をするのはいいことだけど、掃除をしないと運気が逃げるとか言うな~。


「騒がしい」というのは、どこかの地方の方便で、本当は騒々しい(そうぞうしい)


と言わねばならない。でも、松井さんに関しては、「さわがしい」という言葉を


使いたくなる。声も大きくて、動作も大げさでいつも興奮している。そういう


キャラだから仕方がないんだけど、テレビに、この人が出ていたら、わたしは


すぐチャンネルを変えている。ご主人は演技の上手な船越栄一郎さんだ。


その船越栄一郎さんのパパがお亡くなりになったとき、ニュースで、船越


栄一郎さんが挨拶をしているのを見た。


パパとは仲が良くなくて、ずっと会わなかったみたいだ。


奥さんの松井一代さんと結婚するとき、パパに猛反対されたそうだ。


それで、結婚式にもパパは参加しなかった。進学の時も、芸能界に入る時も


結婚の時も、パパはいつも猛反対したんだそうだ。


それで、結婚の時からパパとの関係がこじれてしまって、最後に会ったときは、


撮影が入っていたからもあるけど、意識不明の状態だったのだそうだ。


お葬式には、松井一代さんも参加してパパの遺体の耳元で何かをしゃべって


いたと言うのだ。息子さんは、わたしが一生面倒を見ますとか、語りかけて


いたのではないでしょうかと、船越栄一郎さんは語っていた。


でも、最後にこらえきれなくて、「くっ。」と言って下を向いていた。


本当は、パパが大好きだったんだろうけど、最後まで上手に仲良くできなかった


のだと思う。家族でも、愛していても、上手に仲良くなれない関係ってあると


思う。船越栄一郎さんのパパは、本当に松井一代さんが嫌いだったのだ。


わたしは、パパの気持ちが分かる。あんなうるさく、騒がしいのは嫌だよ。


子供も、もう産めないだろうし、年上だし、、、。前のご主人との子供もいる。


息子が年上のうるさい女にたぶらかされたと、パパは思ったのだろう。


でも、子供の頃から、船越栄一郎さんは、パパとは上手く仲良くできなくて、


船越家の子供でいることはずっと苦痛だったようだ。


だから、松井一代さんと息子と3人で、にぎやかに過ごす日々が、本当の家族


だと感じたのだ。家族って、こんなに楽しいものなんだなと結婚して思いました


と、船越栄一郎さんは言っていた。


パパに結婚を反対されて、結婚式にも出てくれなくて、松井一代さんの家族や


親戚に、ちょっぴり悲しい思いをさせて、申し訳なかっただろうな。


でも、パパには、我慢ができない結婚だったので、ニコニコしながら参加する


ことはできなかったのだと思う。


苦虫を噛み潰したような顔で、二人の新しい門出を祝う席に、出席できなかった


のだと思う。パパは、そんな演技はしたくなかった。船越栄一郎さんは、いつも


パパの願い通りにはできなくて、人生の節目節目で反対ばかりされて辛かった


と言っていた。


でも、それが親の愛情だったのだと思いますと、言っていた。


親が子供の人生に干渉して、自分の意見をぶつけてくるのは、それだけ愛情が


深いからなんだよ!意見が合わなくても、親の願いをかなえられなくて、自分の


したいと思った道を行ってもかまわない。子供は、親の意見や願いを超えて、


自分の人生を切り開かないといけないのだと思う。(親に従うのも、従おうと


自分で決断したのなら、それもひとつの人生だけどね。)


船越栄一郎さんは、パパに愛されていたのだ。ただ、お互い深く愛していても、


どうしても意見が合わない、仲良くできない二人があるんです。


本当は大好きなのにどうしても上手く仲良くできない関係って、あるんです。


いくら家族でも、「合わない関係」って、あるんです。遠くに離れている方が仲が


いいという関係があるんです。


船越栄一郎さんは、パパに結婚を反対されたおかげで、夫婦の絆(きずな)が


深まり、お互いに寄り添い、助け合って生きることができたと言っていた。


船越栄一郎さんのパパも、栄一郎さんの嫁には不服だったでしょうが、二人が


仲良く幸せにくらしている事には反対ではなかったと思う。


ただ、どうしても、嫁が好きになれなかっただけ。息子の栄一郎さんと上手く


仲良くなれなかっただけ。愛情が深いだけに、自分の思い通りにいかない息子


に、苛立つ思いがあったでしょうし、仲良くできないことにムカついていたんだと


思います。でも、自分に正直に生きていた。船越栄一郎さんも、自分に正直に


生きていたんだと思います。二人は頑固で正直なところが似ていたから、どう


しても上手く仲良くできなかった。


ずっと、昔、テレビで、スウェーデンかどこかの映画で、そばかすの細い女の人


と、美人でグラマラスなママの物語を観たんだけど、深く考えさせられる内容


だった。ママは、有名なピアニストで、娘にピアノを教えるんだけど、娘が


ちっとも、上手にならない。ママは、外国で公演中で、娘にふらっと会いにきた。


そして、娘にピアノを弾いてみろと言う。娘は、最初はおとなしく弾いているが、


しだいにママのきつい言葉に耐え切れず、泣きながらママを責めだす。


「ママはいつも、わたしを分かってくれなかった!


あの時も、あの時も、ずっとわたしを傷つけることばかり言った!


わたしは、ママに耐えられない!いつも、ママはわたしにできないことを要求


する。そのままのわたしを愛してほしい!」と絶叫する。


ママは、迎えに来た愛人と、帰ってしまう。


「何がなんだか、さっぱり分からないわ。あの子は、偏屈なのよ。」と、ママは


明るく、愛人にキスの挨拶をしてしなだれかかる。


ママは、やっぱり、娘を理解することができなくて、愛人と会えてホッとした


ような顔をして消えていく。娘は、暗闇の中でポツンと取り残されて泣いている。


と、いうような暗い内容だったんだけど、わたしには面白い映画だった。


ママの役はイングリット・バーグマン。


http://www2.odn.ne.jp/roof_garden/autumn-5.htm


いくら家族でも、お互いに愛していても、どうにもならない関係ってあるんだと


理解した。たまたま、その家族に生まれたから、生涯たち切れない関係に


なっている。愛しているし、愛されたいんだけど、どうしてもその気持ちが


かなわない関係。それが、上手く仲良くできない家族の関係だ。


他人だったら、どうでもいい相手なのに、家族であるだけに、仲が良くないこと


が気になって仕方が無い。自分の思い通りにならない相手に対して腹が立つ


し、苛立つし、他の家族がうまくいっているのを見るに付け、悲しみの思いも


沸いてくる。パパは栄一郎さんを愛していたけれど、拒絶してしまうことが


パパの愛情表現だった。仲良くする演技ができない不器用な二人だったんだ。


どうしても合わない二人って、いるんだよ。それは、仕方がない。


船越栄一郎さんが、幸せに暮らすことが、パパへのプレゼントだし、子供は


自分の人生を生きればいいんだよ。パパも自分の人生を生きたんだから、


いいんじゃないの。


越英一朗さんのパパの名前は船越英二さん。上品で知的な印象の


ある方で、いろんなドラマに出て、味のある素敵なパパの役を演じておら


れた役者さん。越英一朗さんも、パパの子だけあっていい演技を


されています。パパを超える日も近そう!騒がしい奥さんでも、奥さんが


年上でも、前のご主人の子供がいても、それが好きで結婚したんだから、


いいんじゃないの。


たまたま、親子の関係がスムーズな人は、ラッキーだったね。


アンラッキーな人も、そういう何をしても「合わない親子」も世の中には


いるので、元気に自分の人生の幸せを追求して!


会えばまた、嫌な目に会うのだろうけど、機会があれば、、、イヤ、


機会を作って、愛してるという演技をしてあげてください。


(通じないと思うけどね。)