チャイナで、日本人が事故にあったらこうなる。 | 日本のお姉さん

チャイナで、日本人が事故にあったらこうなる。

中国と共存共栄を図るための視点 第28回-平沢健一(G&Cビジネスコンサルタント代表、サーチナ総合研究所客員研究員)

 【上海で交通事故、その対応から垣間見える中国(1)】

 今回は番外編で、最近上海から届いた友人の交通事故を伝えるメールから「中国人との交流のあり方」について私見を述べたい。

◆事故に遭遇した被害者の家族の状況

 被害者は私の友人で大学の後輩-父親が台湾人で母親が日本人の日本で生まれ育った日本人、妻は中国人で2歳半の娘との3人家族。中国語と日本語が完璧。数年前から北京、上海に赴任中で現在は上海市内に居住し、普段は車やタクシーを使用するが、今回タクシーがなかなか拾えなかったことと時間的に余裕があったので珍しくバスに乗車した。

◆事故の顛末

・3月1日上海南駅から自宅に向かうバスの中で起こった。席は切符売りの直ぐ後ろで、前の座席より3段くらい高いところにあった。友人が娘を抱き、妻は隣に座っていた。出発時は乗客が多く、前の座席は空いていなかったが、終点に近づくにつれ乗客が減り、バスの前部座席にも空席が目立ってきた。

・終点が近づきバスのスピードが増し、工事現場が見えたところでの急ブレーキ。奥さんが前に吹っ飛び昏倒。声をかけても反応なし。

・中国語で「誰か救急車を呼んでください」と叫ぶが、誰も呼んでくれず。

・近くのおばさんに携帯電話を貸して「救急車を呼んでください」と頼むが「私は呼んだことがないのでわからない」という。

・別の客にお願いしても「え、、、私は、、、」という顔をするだけで、救急車を呼んでくれない。

・あせりと悲壮感から自分でやってみようと携帯電話で120(緊急コール)をかけたが、工事現場のため道の標識がなく、道の標識がわからないと行けないと言われる。

・この間外に出ていた運転手と切符売りの女性が車内に戻ってきたので、怒鳴るように「電話しろ」と命令口調で言ったところしぶしぶ120に電話した。最大の責任を取るべき運転手のこの態度に怒りがこみ上げてきた。切符売りと二人で事故処理に当るべきだ。

・こうして10分経過した後、妻はぼうっと意識を取り戻したが、右手と右足に痙攣が走りぴくぴくの状態。

・その後10分過ぎても救急車来ず。120にせかすと、「もし別の車で移動したら救急車は別のところにいかせるので、そのときは知らせるように」というあきれる返答。

・その後5分して救急車でなく、警察が来た。日本だとまず被害者の状況を把握して被害者救済を優先するが、被害者に近づきもせず事故現場で現場検証する。

・警察に早く救急車を呼んでくれと要求したが「既に電話したら待つしかない」というだけ。それでも救急車が来ないので、また急かすと「電話したから来るはずだ」といい自分の無線も使おうとしない。

・妻がようやく話せるようになったが突然の事故と全身の痛み、そして右手と右足が動かせないのを知り動揺が走る。

・電話して20分以上が経過し、やっと救急車が来た。

・救急車はサイレンも鳴らさず、渋滞もないのに何故このように遅くなったのか?

・救急隊員は担架を持ってきたが、首にギブスをはめるなどの処置もなく、注意しても一般患者と同じ様に持ち上げた。

・妻に激痛が走り叫び声の中、友人は救急車に荷物を運び込まなくてはいけないので「誰か手伝ってください」といったが誰も手伝わず。

・後日の交通事故処理のため警察官に名前と連絡先を書いてくれと頼むが「名前と連絡先を伝えることはできない」という。

・「警察の告知義務はあるだろう! 最低でもどこの警察にいけばいいかぐらい書け!」と怒鳴ると、警察署の住所だけ書いた。「お前の名前と住所も書いてくれ」と再度言ったが拒否。

・救急車に乗り込んできた救急隊員はまったく素人の感じで、様態を聞いたり応急処置をとる気配なし。

・「応急処置はとらないのか」と聞くと、「とりあえず必要はない」との回答。

・「何かやることはあるだろう!」というと、酸素ボンベを持ってきて呼吸だけ整えることをした。

・出発して2分経つと、運転手が「何処の病院に行くか?」と聞いてきた。「金はいくらでも出すから、脊髄、脳に一番優れたところに連れて行ってくれ」と要求した。

・彼らはあまり浮かばないらしく、近場の病院に行った。これが誤りであった。

・救急車が病院に着くと看護婦が一人出てきて、面倒くさそうな表情。荷物を降ろすのを手伝ってくれといっても無視。自分で娘を抱きながら自力で荷物を降ろす。

・妻が救急診察室に運び込まれると、妻を囲む人はいず、友人を沢山の人が囲む。まず救急隊員が「直ぐ170元(約2600円)を払え」という。

・「それは後で払うから、まず妻に付き添わなくてはならない」といっても解放せず。170元現金を払うと、看護婦たちが囲んできて「検査をするには、まず受付で診察カードを作って検査代をはらってからだ」という。

・「ここに2000元(約3万円)おいておくから、自分たちで何とかしろ。まず検査を早くやってくれ」と頼む。彼女たちは「病院の決まりだ。自分で受付しろ。代行できない」という。

・彼女たちを怒鳴りつけると、近くにいた男性の看護士が代わりに受付をやってくれた。

・受付を済ましても、看護婦はうるさいわねという感じで、のんびりと妻をCTの部屋に連れて行った。

・CTが終わると、今度はX線を撮るからまた金を払えという。金は先ほど出した中から持っていけというが、自分でやれという。先ほどの看護士に再度お願いする。

・X線が終わると、腰と首の部分がX線の写真でよく見えないので再度CTを撮れという。

・更にもう一度お金を払えという。さっき払ったというとまた必要だというばかり。「保険会社が払うからいいじゃないか」と言う始末。看護婦たちはこの間、娘を見てくれるわけでなくお喋りに興じているだけ。

・検査の結果は不幸中の幸いで、強い脳震とうと右半身の打撲であった。


 しかし、中国大好き人間で「日中の懸け橋」になると張り切っていた本人は完全に中国嫌いに変わってしまった。(執筆者:平沢健一)

3月26日12時16分配信 サーチナ・中国情報局

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000012-scn-cn

都会の上海でも、こんな状態!?