「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 通巻第1740号
私有財産を認めた「物権法」に大量の批判票、中国国内の報道を禁止
具体的な政策、法律は曖昧模糊として「私有財産」を保護するそうです
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長老、党内左翼、マルクス主義の知識人らがこぞって反対してきた。
私有財産を認めるというのは「社会主義」を標榜する中国の基本的矛盾で
ある。
しかし「趨勢にはかなわない」とばかり、自宅の保持は70年の権利、その後
の延長も可能という基本スキームを提示して、全人代では「物権法」が
採択された。
しかし「国内での報道は禁止された」(ヘラルドトリビューン、3月17日付け)。
産経の報道を引こう(同日付け)
「中国の第10期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第5回会議は
16日午前、私有財産の不可侵を明記し同財産保護を法的に保証する
「物権法」案と外資優遇税制を撤廃する「企業所得税(法人税)法」案などを
採択し閉幕した。
最高人民法院(最高裁)と最高人民検察院(最高検)の活動報告にはそれ
ぞれ16.9%、16.3%と大量の批判票(反対、棄権)が集まり、汚職を取り
締まる立場にある司法当局に対する国民の不満の大きさを改めて示した。
物権法は私有財産を国家の財産と同列に扱い、「公民の合法的な私有
財産は侵されない」とした2004年の改正憲法を具体化、「公有制」を基本と
する中国にとり市場経済化への大きな転機ともなる」。
要するに、リッチな人達は購入した
マンションなどが保護される。
富裕層が裨益する法律。
肝心の農地は?
具体的政策はなにも提示されていない。
農地の私有化は、どうやら見送られた
ようだ。
農民は貧困のままの状態が続き、農地の強制収容は「適切な補償」と引き
替えに今後も継続される。
企業への課税についても一律15%
から25%と内外企業を問わず徴税、
これからの中国進出を魅力のないものにする。
ところが「ハイテク企業」への課税は融通措置、
その「ハイテク企業」を選定するのが
「当局」というのだから、これまた矛盾の極北。
汚職、腐敗の巣窟になるだろう。
全人代における種々の決定は、すべて曖昧模糊として鮮明な未来像は
提示されなかった、と見て良い。
さらに言えば、画期的な人事変更も一切無かった。
軍拡に関してはひたすら「防御的で、他国に脅威とはならない」と強弁に
終始し、欧米、日本のジャーナリストからの質問をはぐらかした。
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(読者の声1)貴誌第1737号(読者の声1)の一部米国人の慰安婦問題への
異常な執着についての論考は秀逸である。
過去の奴隷制や宮崎氏の言及された「原住民インディアンの虐殺」から目を
そむけることを正当化するものを求める性向は、音楽で言えば通奏低音、
宇宙で言えば黒体輻射であり、国で言えばまさに米国の国体である。
したがって大東亜戦争末期において国体護持が日本にとって重要であった
ように、この米国の国体も米国にとって重要である。
つまり、これを変えさせようとしても、直視させようとしても無駄である。
唯一可能なのは、この国体に触れるような事象がおきるたびに、毎回事象ごと
に厳格に反証することである。
要するに対米交渉は自動車でのドライブではなく、サイクリングのようなもので
努力を怠ればこけてしまう。
韓国との対応も同様でこちらは一輪車乗りのような芸当が必要になる。
一度は腹を割って根本的に理解し合えれば理解しあえるというようなことはない。
ここのところを理解することが肝要である。
(宮崎正弘のコメント) かの悪名高き反日議員=ホンダ議員は中国系
反日団体およびその幹部達からの政治献金が目立っており、州外からの
献金も殆どが中国系だったという大スクープ(産経、3月15日一面トップ)。
或る調査ではホンダ議員が宣伝する兵役履歴が不明、日系収容所にいた
という事実がない、人生前半の履歴がまったく不明で、じつは日系人では
なく、中国人ではないか、というレポートも浮上してきました。
これら、すべて民間の調査であり、在米日本大使館は、いったい何をやって
いたのでしょうか?
ともかく古森義久氏(産経のスクープ記事を書いた)に新聞協会賞を!
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(サイト情報) 米財務省は3月14日、米国の金融制裁で北朝鮮関連口座が
凍結されているマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(Banco Delta Asia)に
関する最終的な調査結果を発表。
BDAに対し、資金洗浄などの違法行為を容認していたとして、米金融機関との
取引禁止を正式決定したものの総額2500万ドルにのぼる北朝鮮関連口座の
扱いについては、マカオ当局の判断に委ねる方針を示した。
(1)財務省からのプレスリリース
http://www.treasury.gov/press/releases/hp315.htm
(2)リービー財務次官(テロ・金融情報担当)の発言
http://www.treasury.gov/press/releases/hp314.htm
(3)銀行機密法修正と犯罪ネットワークへの金融制裁。
Financial Crimes Enforcement Network: Amendment of the Bank Secrecy Act Regulations, 31 CFR Part 103
http://www.fincen.gov/bda_final_rule.pdf
(4)議会調査局のレポート
North Korean Crime-for-Profit Activities: CRS Report for Congress, Congressional Research Service, February 17, 2007
http://fpc.state.gov/documents/organization/81342.pdf
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(資料)
「ロシアが木材の高度加工に本腰」
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「ロシアは高度に加工された木材製品の輸出を整備しなければならない。この際、投資契約を締結するための環境づくりが必要だ」。
ロシアのユーリー・トルトネフ天然資源相は27日、天然資源省森林参与会の初会合でこう発言した。
木材加工業を進行させる必要性については、以前より言及されてきたが、今のところ目に見える成果はない。
ようやくロシア政府もこの分野で断固とした行動をとる用意ができたようだ。
ロシア林業庁のワレリー・ロシュプキン長官は(2月)27日、今後、木材輸出に対する関税が大幅に変更されると発表した。
2008年4月までに原木の輸出税率は、1立方メートルあたり輸出通関価格の25%になる。
さらに2009年までに1立方メートルあたり80%にまで引き上げられる。
「これは、我々が未加工木材の輸出条件を世界で最も厳しい条件の一つにするということだ」とロシュプキン長官は述べた。
公式データによると、現在、ロシアで年間約1億8,600万立方メートルの木材が調達され、このうち未加工木材5,000万立方メートルが輸出されている。
しかし、関税政策は同産業の改革要素の一つでしかない。現在、国内では製材所がまったく足りない。
1990年代、ロシアでは事実上、新規のパルプ・製紙コンビナートが作られなかった。本格的な投資がなければ、木材の高度加工について語っても机上の空論である。
では、どこから資金を引き込むのか?
トルトネフ大臣によれば、ヨーロッパの隣国、その他の諸国が木材不足を経験しはじめ、その不足が増すと見られている今、ロシアは自分たちの条件を主張し、新しい工場を国内に作るための外資を誘致しなければならない。
すでにこの種の案件に中国などが関心を示している。(「ロシースカヤ・ガゼータ」、2月28日)
(ERINAのメルマガ「北東アジアウォッチ」、3月16日付けより転載)
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