ハイテク企業だけは特別扱い。
中国商務部の薄煕来部長は16日、企業所得税率を25%に統一すると定めた「企業所得税法」について「経済特区の深セン、珠海、スワトーはこれまで通り、企業法人税15%が適用される」と明言した。同法は同日、中国人民代表大会を通過したが、施行時期等は明らかにされていない。一方、香港経済界はハイテク企業の定義など同法の詳細に注目している。
香港企業に与える同法の影響について、薄部長は「香港企業が大勢進出している経済特区の深セン、珠海、スワトーは、これまで通りの企業法人税15%が適用される」として、香港企業には有利な法改正になっていると指摘した。また、「サービス業の税率が従来の33%から25%に引き下げられるため、サービス業に強い香港企業にとっては大きな利点」とも述べた。 ■ハイテク企業の定義に注目 一方、ハイテク産業の企業所得税はこれまで通り15%に据え置き。これを受け、中華廠商聯合会の羅富昌・副会長は「法改正は外資系企業に重い税負担にならない」と話し、税優遇を受けるハイテク企業の選別方法など法律の詳細に注目している。 羅会長が自社を例に挙げ「各省にある企業はそれぞれ異なる税率で法人税を支払っており、25%を超えるものもある」ため、法改正によって納税額が減る香港企業もあるとの見解を示した。 同法では、中国政府に認定されたハイテク企業については、現状の税率15%を5年間維持すると規定。このため「ハイテク企業の業種や定義などは企業が最も注目している点だ」と指摘した。 また、羅会長は懸念材料として◇同法の解釈による混乱◇「2免3減」など実施中の優遇措置が終了時期を待たずに取り消されるーーなどを挙げた。 ■租税回避地から香港回帰も 一方、同法の成立による税引き後利益への徴税を懸念し、登記地を英国領ヴァージン諸島など租税回避地(タックス・ヘイブン)から香港に変更すると計画している企業が増えているという。 11日付経済観察報によると、中国政府は同法施行後、外資系企業に対し企業所得税25%を徴収するが、中国が租税協定を結んでいない国・地域の企業に対しては、さらに税引き後利益に対し、20%を課税する方針。タックス・ヘイブンに登記する国内外の企業が、利益を海外に移転させる動きをけん制する狙いとみられる。 中国本土と香港は租税協定により、香港企業が中国本土で税引き後利益が発生した場合、本土の税務当局に支払わなければならない税率は5%であるため、同法施行後に節税を狙って登記先をタックス・ヘイブンから香港に戻す動きが出てくる可能性がある。 |