狼少年のように連日テレビで出る出ない
浅野氏は「改革派」なのか
━━━━━━━━━━━━
花岡信昭
東京都知事選に浅野史郎氏が出馬することになったという。民主党は浅
野氏を独自に支援することになる。
３選を狙う石原慎太郎氏は自民党の推薦を断った。民主党の支持も取り
込みたいという思惑によるものであった。
黒川紀章氏の出馬表明でなんとも不可思議な取り合わせにはなったが、
ともあれ、共産党推薦の元足立区長、吉田万三氏を加えて「有力候補」
が出揃うことになる。
ざっと500万票を争う選挙だが、ざっくりと予測してしまえば、石原氏が
200万票、浅野氏が100万票からどれだけ上乗せできるか、吉田氏は50万
票、黒川氏がこれに続く、といったところか。
もっともいわゆる無党派層はときに予想もつかない動きをするから、こ
の無責任な予測も当てにはならない。とはいえ、浅野氏がどれほどの
「市民派票」を取るか分からないが、石原氏のカリスマ的存在感との決
定的な差が埋められるとは思えない。
だいたいが、浅野氏はいったい世間がいうほどの「改革派」なのだろう
か、とずっと気になっていた。そういってはなんだが、出身の旧厚生省
の関係者の間でもあまりいい話は聞かない。
それが宮城県知事選に当選できたのは、現職知事がゼネコン汚職で逮捕
されるという異常事態による。３期で引退したが、後継者に指名した候
補は落選した。宮城県民は浅野県政の継続を望まなかったということに
なる。
たしかに、情報公開や福祉政策などでは実績をあげたようだ。だが、週
刊新潮（３月８日号）によれば、就任時に６０００億円だった県債残高
が辞めるときには１兆４０００億円に膨れ上がっていたという。
財政難を理由に職員には給与の一律カットをしながら、自分は１期
5000万円の退職金を３期分しっかりもらっていったとも。
読売ウイークリー（３月１８日号）によると、福祉施策にしても、知的
障害者の脱施設・地域生活移行、県の施設解体を打ち出したが、実際に
は無理だったという。
情報公開も報償費をめぐる県警とのバトルに使っていた印象が強い、と
いう指摘もある。
読売ウイークリーのこの記事の見出しは＜「言行不一致」「自分勝手」
・・・宮城人が語る“浅野劇場”の実態＞となっている。
当初は「自分は卒業した」「チョコレート１枚では・・・」などと都知
事選擁立を断り続けていたのだが、「フリーズ（凍結）がプリーズにな
った」「石原都政に対する悲鳴が聞こえてきた」などと徐々に前進して
きた。
擁立のお膳立てをした市民グループなるものは、一般論でいえば、だい
たいがいかがわしさがつきまとう。「浅野さんのハートに火をつける会」
だかなんだか知らないが、こういう歯の浮くようなネーミングは怪しい
と思ってかかるにかぎる。
断っていながら半歩ずつ前進していくと、メディアは毎日追わないわけ
にはいかない。かくしてテレビのワイドショーで連日取り上げられるこ
とになる。
そこには、納豆を買いにスーパーに走るのと同じレベルの「あおり」が
働く。パフォーマンスとポピュリズム。これに引っ掛からないよう、改
めてこちらも気持ちを引き締めて見ていかなくてはならない。
東京都政に最も必要なものはなにか。都民生活の安全と安心ということ
になる。世界的大都市の東京のイメージを保持し、機能強化をはかりな
がら、都市生活の安定向上を目指す。
その基本は危機管理だ。首都圏直下型地震もさることながら、テロ、犯
罪をどう防ぎ、対処するか。ニューヨークの「９・１１」は東京で起き
てもおかしくはなかったことを想起する必要がある。
浅野氏支援グループのような「チョコ市民」は、おそらくは９条擁護派
で反自衛隊で反日米同盟で親中国で・・・といった感覚の人たちであろ
う。石原氏のような政治スタンスを蛇蝎のごとく嫌う人たちであろう。
民主党は支援体制をとるようだが、本当にそれでいいのかどうか。党勢
の衰退につながらないようにと、注意喚起したくもなる。
政党政治の建前からすれば、自民党が石原氏を推薦し、民主党は党主導
で菅直人氏あたりを擁立する。これができていたらいうことなしであっ
た。
★★花岡信昭メールマガジン★★
３９８号[２００７・３・６]より転載。
★ブログ「はなさんのポリログ」 http://hanasan.iza.ne.jp/blog/
★メルマガバックナンバー http://www.melma.com/backnumber_142868/
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
こちらのブログも読んでください。