脅威になるかどうかは中国ではなく、関係各国が判断するものだ。 | 日本のお姉さん

脅威になるかどうかは中国ではなく、関係各国が判断するものだ。

中国国防費 「脅威論」の払拭は行動で

 中国の2007年の国防予算が前年実績比17・8%増の3509億元(約5兆2600億円)となり、1989年以来19年連続で2ケタ増になると発表された。「実態はその2~3倍」(米国防総省報告)とされるが、公表額だけでも日本の防衛予算(07年度、約4兆8000億円)を初めて上回る。

 中国側は今年も「いかなる国家に対しても軍事脅威にならない」と強調している。しかし、脅威になるかどうかは中国ではなく、関係各国が判断するものだ。中国の軍事費増強が突出しているのは紛れもない事実だ。昨年の米国防総省報告は、周辺国にとって「確かな脅威になる」と指摘した。

 台湾に向けた短距離弾道ミサイルはすでに約1000基に達し、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルも相当数に上る。米国に届く大陸間弾道ミサイルは30基以上という。海空軍の軍備増強、近代化は特にめざましい。

 宇宙開発部門も軍と組織的つながりがあり、1月にはミサイルによる人工衛星破壊実験が強行された。東シナ海のガス田開発海域には中国海軍の艦船が出没する。事実を見れば、脅威論は否定する方が難しい。中国は、脅威論を払拭(ふつしよく)したいのなら、言葉ではなく行動でそうすべきだ。

 軍事脅威は軍事能力と意図によって成り立つ。日本は、中国の軍事能力とその意図を見極め、中長期的に備えることが肝要だ。

 昨年10月の安倍晋三首相の訪中以降、日中関係は急速に改善が進み、今年中には曹剛川・国防相の来日も実現する方向だ。外交、防衛交流を通じ、相互に信頼醸成を進めることが大事である。

 その一方で、北朝鮮の動向も視野に入れた防衛力強化は欠かせない。もとより、日本単独では限界もある。日米同盟を強化し、北大西洋条約機構(NATO)など、価値観を共有する陣営との連携を深め、集団で国際的な抑止力を強めることが重要だ。

 経済建設を最優先にしているという国が、実際に軍事力を行使する可能性は低いといわれる。しかし、実際に軍事力を行使しなくても、係争問題をめぐり、軍事力を背景に相手国に妥協を迫るという事態もありうる。安全保障は総合的な取り組みが必要だ。

(2007/03/06 05:07)

http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070306/shc070306001.htm