戦力バランスは中国に有利になりつつある | 日本のお姉さん

戦力バランスは中国に有利になりつつある

 【北京=野口東秀】中国の2007年の国防費が、19年連続の2ケタの伸びで拡大を続けることが明らかになった。台湾問題を視野に日米を意識した部隊の「ハイテク化」が大きな要因だ。中国軍は「今世紀半ばまでに情報化軍隊を建設する」(昨年12月の国防白書)戦略目標を掲げており、今後も急速な軍拡は必至だ。

 中国の国防費増大の最大の要因が人件費であるのは事実とされる。とくに急激な経済成長に合わせて軍人の給与をあげなければ不満が高まり、ひいては軍部に対する指導部の求心力が弱まりかねないからだ。江沢民前国家主席も軍掌握のため、国防予算の2ケタ増を続けてきた。しかも、1月の弾道ミサイルによる衛星破壊実験だけでなく、兵器生産や外国からの兵器購入、研究開発なども国防費には含まれていないとされる。

 一方、中国海軍は従来の沿岸防衛型から西太平洋など近海への作戦空間の拡大を図り、同空軍は国土防空型から攻撃・防衛一体型への転換を目指している。その中心が軍備のハード、ソフト両面からのハイテク化だ。より高度な装備への更新だけでなく、コンピューターを使った作戦シミュレーションの導入も進められているという。

 こうした動きについて、西側の軍事専門家は「これは台湾問題で日米に対する抑止力向上を目指していることにほかならない。台湾独立を物理的に阻止できる態勢を確立する狙いだ」と分析する。米国防総省の中国の軍事力に関する報告でも「(中台の)戦力バランスは中国に有利になりつつある」と警告している。