ブルセラ症
■ブルセラ症 brucellosis
病原体:ブルセラ属Brucella 好発年齢:特になし 性差:なし 分布:世界的に分布。特に地中海地域、アラビア湾域、インド、中央およ び南アメリカ
ブルセラ症の背景 ■疫学状況 ●ブルセラ症は、人畜共通感染症(zoonosis)の1つで、ウシ、ブタ、ヤギ、 ヒツジ、イヌなどに感染を起こすことが知られ、世界各地にその分布が
認められている。特に地中海地域、アラビア湾、インド、中央および
南アメリカが好発地域である。
●ヒトへの主な感染経路は、家畜などの動物との接触(わが国の家畜 では本症の発生はほとんど見られません)、非加工乳製品の摂取(上記
好発地域にて、ヒツジ、ヤギなどの乳製品の摂取)、海外旅行、汚染
エアロゾールの吸引、および実験室内での感染事故である。
■病原体・毒素 ●ヒトに感染を起こすのは次の4種類である。Brucellaabortus 、B。melitensis、B。suis、B.canis。
●ブルセラはグラム陰性の球形に近い小桿菌で、莢膜、芽胞、鞭毛を もたず、その発育は非常に遅い。そのため、通常の培養は少なくとも
4週間は経過観察の必要がある。
主な病原性は細胞壁のリポ多糖で、これが好中球などの
貪食に耐性を示し、そのため、脾臓、リンパ節などで
の細胞内増殖を許すこととなる。
■潜伏期 ●2~3週間。 診断と治療 ■臨床症状 ●ブルセラ症は全身症状を呈し、あらゆる臓器に 感染を起こすことで知られている。
その症状に特異的なものはなく、発熱、発汗、疲労、体重減少、うつ状態
などの症状がみられる。身体所見では、
発熱(数週間~数カ月続くことがある)、リンパ節腫脹、肝脾腫大が
みられる。
●臓器別の特徴は次のとおりである。 ・骨・関節系:最もよくみられる合併症で、腸骨坐骨関節炎、膝および 肘関節炎、椎間板炎、骨髄炎、滑膜包炎などを起こす。
・消化器系:悪心、嘔吐、体重減少。 ・呼吸器系:きわめてまれであるが、咳、労作呼吸困難がみられる。 ・泌尿器系:精巣炎が最もよくみられる。 ・神経系:うつ状態、髄膜炎がみられるが、頻度は2%以下である。 ・心血管系:心内膜炎が最も重要な合併症で、ブルセラ症による死亡 原因の大半を占める。頻度は2%以下である。
■検査所見 ●通常の血液検査で特異的な所見はない。 ■診断・鑑別診断 ◎確定診断 ●血液、骨髄その他の組織からの病原体の分離・同定が必要。 また病原体に対する抗体を血清凝集反応(1:160倍以上の力価)または
酵素抗体法、補体結合反応(CF、急性期と寛解期で4倍以上の力価
上昇)で検出することが必要。近年ではPCRなども用いられている。
◎鑑別診断 ●血液培養でMoraxellaやHaemophilusと誤認されることがあり注意を 要する。他の不明熱との鑑別が必要(マラリア、腸チフス、結核、野兎病、
悪性疾患、膠原病など)。
■治療 ●ドキシサイクリン100mg1日2回を6週間+ストレプトマイシン1g筋注1日 1回2週間または、ドキシサイクリン100mg1日2回+リファンピン
600~900mg1日1回を6週間。
心内膜炎、骨髄炎などでは外科的処置
も必要なことが多い。
再発は抗生剤の服用期間が短かかったり、外科的処置が適切になされ
なかった場合に起こる。
■2次感染予防・感染管理 ●家畜のブルセラ症コントロールが最重要(わが国では撲滅済み)、 また現病歴で海外旅行、実験室内事故を確認する必要がある。
ヒトの有効なワクチンは開発中である。
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わが国では撲滅済みっていうけど、大阪府和泉市内で
今、発生しているらしい。
ブルセラ症って、やっかいそうな病気じゃないか!
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