すごく気になる社説があった。 | 日本のお姉さん

すごく気になる社説があった。

社説 中印を含む温暖化対応の枠組み構築を(2/26)

 昨年10.7%の実質経済成長を遂げた

中国、8%前後の成長率のインド。

両国は地球環境に大きな影響を与え

る存在になった。


二酸化炭素(CO2)の排出量(2004年)で中国は世界の18%を占め、

米国に次ぐ第2位。インドは4%で第5位だ。


排出量が増え続ける両国を抜きにした地球温暖化対策では効果に限界があ

るが、中印両国をはじめ発展途上国の排出削減は京都議定書の対象期間後

に先送りされている。

日欧が両立モデル示せ

 中国は昨年から始まった5カ年計画で、10年までにエネルギー利用効率を20%改善する目標を掲げ、大規模製造業1000社に環境対応を義務づけるなどの対策を打ち出した。だが、狙いは自国のエネルギー・環境問題の改善にあり、グローバルな視点での環境政策ではない。インドも環境への関心が薄い。

 両国は「途上国の代表」として経済成長の権利を主張し、責任は先進国にあるとする。先進国が産業革命以来、排出し続けてきたCO2の蓄積が温暖化の主因であり、新興成長国に責任を負わせるのは不公平という考えだ。確かに先進国の責任は大きいが、温暖化が進む現実からみれば、中国、インドなども責任ある対応を求められるのは当然だろう。

 まず重要なのは、日欧の先進国が排出削減の手本を示すことだ。京都議定書の定めた削減目標の達成見通しを明確にし、排出削減と経済成長の両立を実際に示して、途上国の抵抗を小さくしなければならない。

 米国でも産業界や州政府が独自に取り組みを強め、京都議定書から離脱した米政府も軸足を微妙に変えつつある。米国の国際的な枠組みへの復帰を日欧が求め、日米欧が足並みをそろえたうえで中国やインドなどに対策を促す努力が重要になる。

 先進国企業ができる対応の一つに「グリーン調達」というアイデアがある。一定の環境対応基準を満たしたメーカーだけから、部品や製品などを購入する仕組みだ。メーカーは第三者機関などから生産工程、汚染物質の排出対策、原料などに関する監査を受け、納入先に証明する。

 世界に工業製品を輸出する中国、製造業が拡大するインドの企業からの製品や部品の購入に、グリーン調達の原則を適用すれば、両国で温暖化対策を進める契機になるだろう。

 京都議定書には、先進国の排出削減を補完しつつ途上国でも温暖化防止を進めるクリーン開発メカニズム(CDM)という制度がある。先進国側が途上国で排出抑制につながる事業を支援した場合、抑制分を自らの削減目標達成の一部に充当できる仕組みだ。途上国側にも先進国からの投資や技術移転を進めやすくする利点がある。CDMを進化させ、温暖化対策の枠組みに中国やインドなどを誘い込んでいくのも有益だ。

 日欧の企業はCDMとして途上国で省エネや風力発電などの事業を始めており、その件数は増えている。ただし、現段階では先進国の企業がそれぞれ思いついた事業を支援しているだけだ。途上国に温暖化防止策や排出抑制計画がないまま個別事業を支援しても、温暖化防止の効果は乏しいとの意見もある。

 途上国に排出削減の数値目標の設定や具体的な排出抑制計画の策定を求め、それに沿った包括的なシステムとしてCDM事業を活用、拡充する流れが、いずれ強まるだろう。

円滑な技術移転が重要

 既存のCDMに絡む事業は中国やインドで目立っている。CDMをテコにして、両国の温暖化ガス排出削減の具体化を促すべきだ。

 中国、インドに対しては、CDMや政府開発援助(ODA)を通じた先進国からの環境技術の移転が重要になる。中国のように石炭への依存度が高い国には、燃焼効率を高めると同時に温暖化の原因になるCO2や酸性雨の原因の硫黄酸化物、窒素酸化物の排出を抑える「クリーンコール技術」の移転も欠かせない。

 省エネと環境保全を表裏一体と考え、ここに焦点を当てた経済協力の重要性が増す。技術移転を進めるためには、技術を得る側の国も応分のコストを払う国際的な枠組みをつくることが望ましく、世界銀行などが主導的な役割を担う必要がある。

 企業ベースでは、すでに米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、燃費のよい航空機エンジンや効率の高い発電設備、省エネ効果の高い施設の設計、運営などを「エコマジネーション」製品と名付け、インドなどに売り込んでいる。これまで先進国企業は中国などでの知的財産権の保護に懸念を持ち、環境技術の移転に消極的になりがちだった。途上国側が知財権の保護に努める一方、先進国企業も途上国への技術移転が円滑に進むよう知恵を絞るべきだろう。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070225MS3M2500325022007.html