不思議な法律
交際中の男性との間にできた男児を、
離婚した前夫の子供としたうその出生届を提出したとして、中国人女性(28)
が大阪地検から公正証書原本不実記載・同行使の罪で起訴された。
しかし、男児が民法772条の規定で前夫の子と推定される
「離婚から300日以内」に生まれていたため、違法な
届け出ではなかったことが公判開始後に判明。
大阪地検は16日、女性の行為は罪にならないと判断し、大阪地裁に公訴
取り消しを申し立て、同地裁は即日、公訴棄却を決定した。
地検によると、女性は00年に日本人の前夫と結婚したが、別居を経て
01年5月に協議離婚した。
同10月、交際中の別の日本人男性と
の間に男児が生まれたが、
同月末、大阪市港区役所に「前夫の長男」と偽った出生届を提出。
昨年7月、前夫の告発を受けて府警が地検に書類送検し、同10月に起訴
された。
同12月の初公判で、弁護側は前夫の子でない
ことを認めたうえで「男児は前夫との離婚から300日以内
に生まれた」と指摘。
結果的に女性は民法の規定通りに出生届を提出しており、無罪にあたると
主張していた。
記者会見した清水治・次席検事は「検察官は虚偽の届け出として罪に問え
ると判断したが、民法772条に対する認識が不十分だった。
申し訳なく思っている」と釈明。
刑事部副部長が別の窃盗などの罪で服役中
の女性に直接謝罪したという。
同条をめぐっては、現在の夫の子と証明できても、その夫の戸籍に入れら
れないでいる両親らが「離婚して新たな家族を持とうとする人に負担だ」などと
して法改正を求めている。
2007年02月16日22時11分
http://www.asahi.com/national/update/0216/OSK200702160115.html