子供は自分の気持ちをうまく説明できない場合がある。 | 日本のお姉さん

子供は自分の気持ちをうまく説明できない場合がある。

ずっと前、わたしは子供だった。


小学生4年生の夏休みの宿題は、毎日絵日記を書くことだった。


わたしは、近所の悪がきと遊ぶ子で乱暴な言葉をわざと使っていたし、


ケンカもよくしていた。その時、ケンカでよく使っていた悪い言葉は


「死んだらいいのに。」だった。


その時、夏休みの始まる前に、日記に書いた文章は、


「あ~あ。明日から学校か。先生なんか死んだらいいのに。」


何気なく、いつもの口癖のまんま書いて学校に持っていったのだった。


それから親が先生に呼び出され、母親にこっぴどく怒られて、反省の


手紙を書かされたりした。


本当は心の中で、「いつもの調子でなにげなく、学校が無くて世の中に


先生という職業の人がいなかったら、ずっと夏休みで楽しいのになという


軽い意味なのにな、、、。」という気持ちは漠然(ばくぜん)とあったのだが、


なにしろ子供なので上手く説明できなくて、おとなしく怒られて黙っているだけ


だった。そして、母親にせかされて、しばらく嫌がったのだが母親の言うとおり


「お詫(わ)びの手紙」を書いてしまったのだった。


「先生。ひどいことを書いてしまってごめんさない。そんなに悪いことだと


思わないで書いてしまいました。家でお母さんに怒られて、やっと悪いこと


だと気がつきました。すみませんでした。」というような文章を書かされ、


晴れて、その先生が本当に死んでしまったらいいのにと思ったことになって


しまったのだった。その後、先生は時々ホームルームでも暗い表情を


みせるようになり、その内に別の学校に行ってしまった。


次に来た先生は女の先生だった。正直わたしもほっとした。


悩んでいる先生を目の前にしてずっと一緒にいるのはイヤだった。


しかも、その原因が何気なく書いた夏休み最後の日記の文章だなんて、


考えるのもイヤだった。


その先生は体育会系の熱血先生で、みんなに好かれていた。


先生も生徒に優しかった。特に、自分の好きな生徒には、、、。


大抵、可愛い女の子たちが、特に可愛がられていたし、みんなの前で褒めら


れていたが、それだからと言って嫌いなわけではなかった。


先生が学校を変わっていったとき、生徒たちみんなが「どうして?」と不思議に


思っていたけれど、多分熱血先生で、自分は子供に愛されていると自覚して


いただけに、「死んだらいいのに。」と日記に書かれて相当ショックだったの


だろう。


でも、本当は、全然その先生が嫌いで夏休み明けに会いたくなくて、死んだら


いいのにという意味で書いたのではなくて、世の中の先生と呼ぶ人々がいな


ければ、子供はずっと遊べるのになという、子供っぽい考えで書いただけな


のだった。


自分では小学校四年生の思い出など、気にしていないつもりだが、アフガニ


スタンの子供が、「勉強したい!」「将来は勉強して先生になりたい!」と、


「勉強して大人になって、将来アフガニスタンに役に立つ人になりたい。」と、


キラキラした目で嬉しそうに言うのをテレビで観ると、フト、小学校四年生の時の


事件(?)を思い出すのだ。本当は、勉強を嫌がるなんて、トンデモナク贅沢な


ことなのだ。アフガニスタンの男の子は毎日日干しレンガを作っていて学校に


行けない状態だった。日本の子供に何か言ってくださいと、ニュースレポーター


が、マイクを向けると、「日本の子供のみなさんも毎日こんな仕事をしないで


すみますように!」なんて言っていた。


インドの子供なんか、勉強もできずに、工場で朝から晩までこき使われている


のだ。チャイナの田舎の子供だって、暗い穴倉のような工場で働かされている。


公安の取締りがあれば、「帰ってよし!」という工場長の声がするやいなや、


ダッシュで逃げているのだ。勉強をする余裕が無い子供は、大人と同じように


こきつかわれているのだ。


勉強ができない子供は、読み書きなどの基本的なこともできないので、いい


仕事に就けない。また、騙されて金を盗られやすい。


勉強がイヤだなんて思ってはいけなかったのだ。


時々、何かの拍子に小学校四年生に熱血先生を苦しめたことを思い出してし


まうのは、ちょっと後悔しているからだ。でも、子供だったから、うまく自分の


気持ちを説明できなかったんだよ。子供が何かおかしなことをやらかしたら、


怒る前にどうしてそういう事をしたのか、まず聞いてやってほしい。


そして、自分の気持ちを言葉で説明する訓練を普段からしてやってほしい。


子供は自分の気持ちをうまく説明できない場合があるんだよ。


子供はどうしようもない状況になったら、何も考えないフリをする。そうやって


現実から逃避する。でも、大人になっても心の中に何かがわだかまっている


のだ。だから、テレビでバラエティー芸人のユウが「死んで~。」と言うのを


聞くと嫌~な気持ちになる。簡単に「死ね。」とか、「死んでくれ。」とか口にす


ると、それを本気にして悩んでノイローゼになる人もいるし、世の中には、医者に


余命何年ですと宣告されている人もいるのだ。


悪い口癖は災いの元。


先生でもうひとつ、思い出した。美術の先生で歴史の時間にイエス・キリストを


ボロクソに言った先生がいて、テストの余白に「これまでの授業の感想を書き


なさい。」というのがあったので、「先生は聖書も読んでいないのに、なぜイエス


キリストをただの人間のように教えるのですか。間違っています。」と書いたら、


しばらくしたら先生は学校を辞めた。


それは、わたしのせいでは無いと思うことにしている。わたしはひとつの


きっかけを作ったに過ぎない。


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こんな事を書いたら、日本のお姉さんは悪者だってバレるかなあ。


悪気は無くても人を傷つける場合って、結構あるという話でした。