「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」通巻第1705号
馬英九「国民党主席」辞任劇に北京も震撼
緊急幹部会を召集のもようと多維新聞網など。
中国共産党台湾弁公室は、馬英九の国民党党首辞任に衝撃をうけて、緊急
の会議に入ったと複数の中国語新聞がネット上で伝えている。
中国としては馬英九が次期総統になることを規定の方針として台湾政策を
立案してきただけに、しかも馬英九なら遠隔操作が可能と考えてきたふしが
濃厚。したがって突然の辞任は寝耳に水の椿事といっても良いだろう。
どうやら霧がはれるように台湾政局の次が読めてきた。
さきの李登輝前総統の爆弾発言、こんかいの馬の電撃的辞任は、背後で
地下水脈が連動しているようだ。
つまり台湾の政界再編のダイナミズムの中で、あらゆる政党が生き残りを
かけての戦闘を開始しているのだ。
年末総選挙で台湾の国会議員は半分に激減されることが決まっている。
日本で言えば衆議院議員は半分になるのである。
となれば、猿でもわかるように二大政党に成らざるを得ない。
与党・民進党は結成以来の四大派閥が内ゲバを繰り返しており、次期総統
候補は謝、蘇、遊、呂の四人が争って調整は出来ていない。
陳水扁総統は夫人の起訴によってレイムダック入りしており、次期総統を
指名するゴッドファザー役はとても期待できない。
与党のもう一方の「台湾団結連盟」は現有の十二議席を守るのは至難の業、
というよりも解党の危機に直面していた。
この状況に喝をいれたのが、さきの李登輝氏の爆弾発言であったとすれば、
すべての流れの奥底が見通せるのではないか。
新たなる核となる指導者が登場し、台湾団結連盟は政党名を変更し、綱領も
かえるという。
フレッシュな政党が、次期総統選をめぐっての台風の目になる可能性がある。
また野党の国民党・親民党、新党とて、国民党が単独で絶対多数をとること
は、いまの情勢では難しい。
かといって宋楚諭率いる親民党がすんなりと国民党に合併されるシナリヲも
考えにくい。新党はいまやないも同然のミニ政党だが、古い体質の国民党は
新しい印象、あたらしいスローガンが必要であり、むしろ馬英九は「無所属」に
よる立候補を選ぶという深謀遠慮も考えられるのではないか。
日本の政治には二大政党の潮流にあると良いながらも、比例区などという
曖昧な制度が残るため、少数野党がいつまでも存在し、半世紀前の幻影を
かかげる化石のようなミニ政党まで国会議員に数席を得ている。
いやはや台湾政局のダイナミズムに比べると、日本の方が学ぶことも
あるんじゃないの?
◎
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 2月15日(木曜日)
通巻第1705号 (2月14日発行)
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