ホスピスとモルヒネ
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ホスピスとモルヒネ
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渡部亮次郎
必要があって、急にホスピスとモルヒネが、残念ながら急に身近な課題
となった。麻酔薬モルヒネについては平成8年の夏に義母が癌で死亡する
際、使ってもらったので実感があるが、今回はホスピスを予め調べる必
要が出てきた
ホスピス (hospice) とは、ターミナルケア(終末期ケア)を行う施設の
こと。日本ではまだ設置数が少ないが、近年、QOL(Quality of Life,生
活の質)の意識の高まりなどから、徐々に増加している。
日本で最初のホスピス病棟は、大阪の淀川キリスト教病院に設けられた。
当時のホスピス長、柏木哲夫の功績によるものである。この病院での実
質的なホスピスケアは、1973年から始められた。
その約10年後の1982年、長谷川保による聖隷三方原病院の末期がん患者
などのためのホスピス(緩和ケア病棟)開設を日本で最初とする説もあ
る。
僅か30年余の歴史しかないのに珍しくない言葉になったという事は、そ
れだけ癌患者が多くなったということかも知れない。
従来、ホスピスの開設は主に民間の医療機関等が行ってきたが、公的な
機関も開設に乗り出すようになっている。
日本で最初の国立のホスピスが、1987年千葉県の国立療養所松戸病院(現
在の国立がんセンター東病院、1992年千葉県柏市へ移転)に開設され、そ
の後、全国各地の国公立病院にホスピス開設の動きが広がっている。
ホスピス病棟のある病院の一覧は以下。
http://ganjoho.ncc.go.jp/pub/hosp_info/hospital03/index.html
ホスピスとは、元々は中世ヨーロッパで、旅の巡礼者を宿泊させた小さ
な教会のことを指した。そうした旅人が、病や健康上の不調で旅立つこ
とが出来なければ、そのままそこに置いて、ケアや看病をしたことから、
看護収容施設全般をホスピスと呼ぶようになった。
教会で看護にあたる聖職者の無私の献身と歓待をホスピタリティ
(hospitality) と呼び、そこから今日の病院を指すホスピタル
(hospital) の語が出来た。
歴史的には、ホスピタルもホスピス同様に、病院だけでなく、孤児院、
老人ホーム、行き倒れの収容施設なども指した。
18世紀末、アイルランドは、イギリスの植民地でプロテスタントによる
弾圧により居場所を失った人々が居た。修道女 マザー・メアリ・エイケ
ンヘッド(アイルランド「シスターズ・オブ・チャリティ」(慈善修道
女会・カトリック)創立者)はその居場所を創る志を立て、19世紀にダ
ブリンに(ホスピスの原型と思われる)「ホーム」が建てられた。
20世紀に入り、治療の当てがなく、余命いくばくもない患者の最後の安
息に満ちた時間をケア(ターミナルケア)する施設としての近代ホスピ
スが、イギリス、アイルランドから始まった。
1967年、セント・ジョセフ・ホスピス(ロンドン, ハックニー(アイル
ランド人の多い地域)で学んだ女医のシシリー・ソンダース(CICELY
SAUNDERS)は、セント・クリストファー・ホスピスを建設、緩和ケアを
基本とした、現代ホスピスの基礎を作り、世界的な広がりの先駆けとなっ
た。
アメリカ合衆国では在宅ホスピスが中心である。
ホスピスで、患者の苦痛を除去するために主に用いられるのが麻薬のモ
ルヒネである。
モルヒネ (morphine モルフィン、モヒともいう) はアヘンに含まれるア
ルカロイドで麻薬のひとつ。モルヒネからは依存性のきわめて強い麻薬、
塩酸ジアセチルモルヒネがつくられる。
塩酸塩・硫酸塩は鎮痛・鎮静薬として種々の原因による疼痛(とうつう)
の軽減に有効であるが、依存性が強い麻薬の一種でもあるため、各国で
法律により使用が厳しく制限されている。
名前の由来は、ギリシア神話に登場する夢の神モルペウス (Morpheus)。
夢のように痛みを取り除いてくれることから。
医療では、癌性疼痛をはじめとした強い疼痛を緩和する目的で使用され
る。モルヒネは身体的、精神的依存性を持つが、WHO方式がん疼痛治療法
に従いモルヒネを使用した場合は、依存は起こらない。
しかし11年前に義母が末期癌で危篤状態になったときは、その病院の若
い医師はWHO方式癌疼痛治療法のことを知らず、元厚生大臣秘書官と
して教えてやって、やっと義母を阿鼻叫喚から救うことができた。
医療とは人間の苦しみを救うものと広く考えれば、見込みのない患者を
痛みを感じない状態で終末に導く、いわば死ぬ医療も大切なことである
はずだ。
薬剤の剤形としては錠剤、散剤、液剤、坐剤、注射剤があり、それぞれ
実情に応じて使用される。
軍事用途でも、戦闘の負傷による強い疼痛を軽減する目的で、主に注射
剤の形で使用され続けている。資格を持った衛生兵だけが携帯でき、ト
リアージを行っている間に投与処置を行うこともある。
モルヒネの副作用には依存、耐性のほか悪心嘔吐、便秘、眠気、呼吸抑
制などがある。便秘はほぼ 100%、悪心嘔吐は 40%?50% の症例でみられ
る。眠気はモルヒネ使用開始から1週間の間にみられ、その後は自然に改
善することがほとんどである。
1804年、ドイツの薬剤師フレードリッヒ・ゼルチュルナー ( Friedrich
Serturner ) により、初めて分離される。モルペウスにちなみ、モルフ
ィウム ( morphium ) と名づけた。
しかし、1853年の皮下注射針の開発までは、モルヒネは普及しなかった。
鎮痛の為に用いられ、また、アヘン・アルコール中毒の治療として用い
られた。
南北戦争ではモルヒネは広く使用され、軍人病(モルヒネ中毒)による
40万人を超える被害者を生み出した。また普仏戦争において、同様のこ
とが西欧で起こった。
1874年に、ヘロインはモルヒネを材料に生成された。ヘロインが使用さ
れ始めるまでは、モルヒネは一般的に最も誤用された麻薬性鎮静剤であ
った。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2007.01.12
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