へえ。チャイナの綿花農業が安くて上質な外国産に負けているのか。 | 日本のお姉さん

へえ。チャイナの綿花農業が安くて上質な外国産に負けているのか。

好調な繊維・アパレル産業を背景に、中国の綿花の輸入が急速に拡大している。2006年の輸入量は過去最大の364万トンとなり前年比41.1%増を記録。安くて良質な外国産綿花の流入で、アパレルメーカーの中国産離れも加速している。こうした綿花輸入の拡大は、世界貿易機関(WTO)加盟により輸入関税率が引き下げられたことを発端としており、国内綿花生産農家が貿易自由化の波を受けていることは間違いない。中国政府は綿花市場の拡大を歓迎しながらも、国内生産農家の保護・育成という岐路に立たされている。

国家統計局によると、昨年の綿花生産量は前年比17.7%増の673万トンとなり、過去最大を記録。国内の繊維・アパレルメーカーの需要増でかつてない“豊作”を達成したことになる。ただ、国内綿花生鮮を上回るスピードで綿花輸入が進んでいることが綿花生産農家の間では脅威に移っているようだ。

綿花輸入額はWTO加盟時の2001年に比べると06年に一気に64倍に成長しており、中国市場でのシェアを年々増している。WTO加盟により綿花の輸入関税率(割当内税率)が3%から1%に引き下げられ、単価が国産に比べ安くなったことがその主な理由だ。米国産は1キログラム当たり13元であるのに対し、中国産は14.2元で、輸入製品の方が価格競争力があるといえる。

さらにアパレルメーカーにとって輸入綿花の利点は、国内産より質が良いということだ。中国国内のアパレル業界の関係者は「(価格・質ともに)中国産を使う意味がない」とまで言い切るようになり、輸入綿花の優位性は揺らぎそうにない。業界では中国産綿花を使用する繊維・アパレルメーカーの減少に拍車をかけている。

国内綿花離れが進む中、中国側も対策に乗り出している。中国綿花業者は、米国産との差額分を支払い中国産の積極利用を促すなど、価格面での内外差を撤廃しようと躍起だ。ただ、質の面での差を埋めることは難しく、対策も功を奏していないのが現状だ。業者側も「(国際競争が激化している中)アパレル業界は品質にこだわる傾向がある」と強調する。

さらに、生産農家の綿花離れが中国綿花産業を苦境に追い込んでいる。綿花の耕地面積(506万2,000ヘクタール)や綿花を生産する農業人口(4,620万人)は緩やかに減少を続けているからだ。外国産に市場が脅かされていることに加え、綿花栽培は天災による影響を受けやすいため、収穫量が約半分になる年も多く収益が上がらないことが綿花場離れを加速させている。

また、ほかの農産品同様、効率の悪さも中国産の特徴となっている。100坪当たりの平均収穫量は37.5キログラムで、買い取り価格は300元(約4,500円)程度。生産コストを差し引くと手元に残るのはわずか150元(約2,250円)だという。

1人当たりの耕地面積を割り出すと平均は300坪で、年収は450元(約6,750円)にしかならない。年収が、中国全体の平均月収(1,500元)にも及ばない水準だ。WTO加盟前には、品質に関係なく国が農作物を買い取る保護価格制度で守られてきた同産業も今や市場経済導入で、農家の生活は苦しくなる一方だという。

アパレルメーカーにとっては、安くて良質な綿花を使用できるため追い風となっているが、綿花農家は危機的状況に陥っている。このことはWTO加盟前に懸念されていた安価で良質な輸入製品が急増、国内農業が打撃を受けるという構図といえ、今後、中国政府が国内綿花農業に対してどのような保護・育成策を打ち出すのかが注目されているといえそうだ。<全国>

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