読者の声もおもしろい宮崎正弘氏のメルマガ
(読者の声3)「日中関係は「大人の関係」へ進め!
4月の温家宝首相の訪日準備が進められているが、中国指導部の振る舞い
を辿り、日中友好の再構築(現在は「日中非友好」)が可能かどうかを考察し
てみたい。
1.日中国交回復
1972年、日中が国交を始めた時の、田中角栄首相と周恩来首相の
「日中共同声明」では、「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、
内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の
基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立する」ことに合意し、
「両政府は、…、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての
紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えない」こと
を確認した。
この時代の政治家は大人だった。
「靖国参拝問題」もなく、「中国からの
軍事的脅威」もなかった。
2.靖国参拝問題
宗教を政治の争点にしないというのは、1648年に成立したウエストファリア
条約以来、世界のルールになっている。
だから、諸外国を訪問した指導者は戦没者の慰霊場所へ、その国のルール
に基づき慰霊の参拝をしている。
しかし、中国政府は、1985年の
中曽根首相の参拝から不快感を表明
してきたが、これこそ世界のルール違反
ではないか。
3.反日暴動
天安門事件の後に誕生した江沢民政権は、民主主義を要求する群衆の力
を恐れ、共産党政権の生き残りをかけて、反日的愛国主義教育に活路を
見いだした。
ところが、2005年3月21日、国連のアナン事務総長が国連安全保障
理事会の常任理事国増員に関して、「アジアに予定されている2議席のうち
1議席は日本へ行くだろう」と発言した。
この発言が伝えられた翌日から、「日本の常任理事国入り反対」のネット
署名が開始されるとともに、反日デモと日本大使館などへの暴動へと発展
した。
ところが、4月12日、インドを訪問中の中国の温家宝首相は記者会見で
これら反日デモについて、「日本による侵略戦争が中国、アジア、世界の
人びとに甚大な苦痛と困難を与えた」・・・「最近、我々・・・近隣国で、日本が
常任理事国入りを目指すことへの抗議デモを目の当たりにしてきた」
などと語った。(政府がお膳立てして、ワザとやらせた官製デモのクセに。)
この発言は、一国の指導者が語るに足る外交常識であろうか。
4.歴史問題を収束させる時期到来
「廬溝橋事件」(1937年7月7日)、「日中戦争の死傷者3500万人」
「南京大虐殺30万人」などについて、
中国国内の歴史資料ならびに国外の
資料から捏造と判明しており、
今こそ歴史問題の真実を中国政府から日本政府に向かって表明し、謝罪する
時期であると考えます。
5.「経熱政冷」のネジレ現象
2005年の日中貿易総額は、1893億ドルと7年連続過去最高となった。
ところが、中国国内の世論調査では、「日本と聞いた際、
危険な帝国主義を連想する」が80%、
「日中関係の未来について、日中両国
が資源をめぐり再び戦争になる」が
60%と掲載された(中国新聞週刊)。
この反日感情が「経熱政冷」のネジレ現象とであり、「日中友好」を目指す
のであれば、歴史に正しく向き合いお互いの利益になるよう日中の指導者は
調整を図るべきであると考えます。
国内の学校内のイジメ問題に例えれば、「東アジアの悪ガキ大将・中国」と
「虐められ子・日本」という東アジア学級を、「子供の世界」の歪な関係から
「大人の世界」へ成熟し、日中両国が繁栄するように国民を指導していくことが
国家の指導者に求められる資質ではないでしょうか。
(TK生、愛知)
(宮崎正弘のコメント)時系列に区分しての分析をいただき、有り難う御座いました。参考になります。
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