イスラエルからのニュース
2006年12月17日(日)ハヌカの祭2日目
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*アッバス議長が早期選挙の方針を打ち出したことに「クーデターだ」
とハマスが反発。ガザを中心にファタハとハマスの武力抗争が激化し、
双方が相手のメンバーを誘拐して
いる。(P,H,Y)
*国防軍がレバノン戦争に関する調査報告を作成中。多くの問題点を指
摘されたハルツ参謀長に対し、辞任要求が高まっている。(H,Y)
*シリアの外相が、ゴラン高原返還を前提とせず和平交渉に応じると発
言。左派政党のほか、リクード党首のネタニヤフ氏からも交渉に応じ
るべきだとの意見が出たが、首相側近は慎重な姿勢。(P,H,Y)
*中道宗教政党UTJとの連立参加交渉を、政府が打ち切りへ。用意さ
れていたポストは右派政党のイスラエル我が家に行く見込み。(P)
*労働党の党首選は5月28日に実施することが決定。ペレツ現党首の
人気は低迷しており、再選は難しい情勢となっている。(P)
*イスラエルのイスラム教指導者が、イランで行われたホロコースト否
定論会議に反対する声明を連名で発表。(H)
*先週金曜から「末期患者法」が発効。患者が延命治療を拒否した場合、
医師は殺人罪に問われずに、治療を止めることができる。(Y)
*アラブ系市民とユダヤ系市民の関係が悪いとの意見がユダヤ系市民中
の83%、アラブ系市民では38%だった。軋轢の原因は、互いの宗
教に対する無理解だとの意見が約半数に達した。(P)
*先週金曜夜から8日間にわたるハヌカの祭。紀元前2世紀にギリシャ
人の圧政に反乱を起こしたことを記念する。(解説)
2006年12月18日(月)
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*ファタハとハマスが停戦に合意。全勢力が街頭での武器携帯を控える
ことが決まったと報じられたが、ガザでは激しい戦闘が続いている。
双方の対立の根は深く、内戦になる危険性も。(P,H,Y)
*英国のブレア首相が昨夜イスラエル入り。今日夕方にはオルマート首
相との会談が予定されている。(P,H)
*シリア和平への対応をめぐり、オルマート首相とペレツ国防相の間で
意見の違いが表面化。オルマート首相とペレス副首相は慎重な考えだ
が、ペレツ国防相は交渉推進を求めている。(H,Y)
*経済成長で貧富の格差が拡大しているとの調査報告。高収入者の年収
がアップしている一方、最低生活者の数も増えている。(P,H)
*政府に労働者を派遣している会社が、時間外給与などを労働者に支払
っていなかった問題で、会社が給与の追加払いを決定。政府が担保金
の没収と入札参加停止など強い措置を取ると警告したため。(H)
*政府が115万人分のインフルエンザワクチンを準備したのに、高齢
者などを中心に利用が低迷していることが判明。摂取を受けた高齢者
が死亡した例が大きく報じられたためとの見方も。(P)
*2006年のイスラエルへの移民者の数は全体で9%減少。しかし、
米国と英国からの移民者は、約1割の増加を記録した。(Y)
*今年の冬は少雨との予報を受け、チーフラビが雨乞いの祈祷を呼びか
け。エルサレムで行われた雨乞い祈祷会では、昔のラビたちの教えに
従い、詩編90編の最後の節と91編が91回朗読された。(P)
2006年12月19日(火)
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*ブレア首相はラマラでアッバス議長と会談した後、オルマート首相と
会談。リブニ外相やペレツ国防相らとの会談も行った。パレスチナ和
平やシリア和平などが、議題の中心となった。(P,H,Y)
*パレスチナ人政治犯の釈放に関する交渉を、自治政府のアッバス議長
と開始するとオルマート首相が発表。しかし、ファタハの若手指導者
バルグティを釈放する考えは無いと語った。(P,H)
*パレスチナ自治区における繰上げ選挙に米国が支持を表明。米国政府
は、アッバス議長の軍を援助する法案を国会に提案する。(P)
*自治区ではハマスとファタハの抗争が止まらず。ファタハのメンバー
1人が死亡し、別の場所で少年が重傷。双方は互いのメンバーへの襲
撃や誘拐を続けており、停戦は実現していない。(P,H,Y)
*イランの核武装が完了するのは
2009年だとモサドの長官。それまでに核武装を阻止することは
可能だと語った。(H,Y)
*イスラエル人や外国人がパレスチナ人を車に同乗させることを許可制
にするとの国防軍のテロ防止措置に、国連の人権活動団体が懸念を表
明。同団体を例外にするよう求めている。(H)
*ブッシュ米大統領が、大使館のエルサレム移転をまた延期。米国会は
移転を決議しているが、大統領権限で何度も延期されている。(Y)
2006年12月20日(水)ハヌカの祭5日目
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*オルマート首相が昨日、ヨルダンを緊急訪問し、アブドラ国王と秘密
会談。自治区の混乱収拾が議題になったもよう。(H,Y,P)
*自治政府のアッバス議長とオルマート首相が近日中に会談すると、自
治政府関係者。オルマート首相側近も、会談に向けた準備が進んでい
ることを認めた。日程は来週から年明けになる見込み。(H)
*日曜に成立した停戦合意にもかかわらず、ガザではまだファタハとハ
マスの戦闘が継続し、双方に6人の死者。再び停戦のための話し合い
が続けられているが、交渉は難航している。(H,Y,P)
*西岸地区の各地でパレスチナ人4人が死亡。アルアクサ殉教団の3人
のほか、防護壁を抜けようとした14歳の少女が死亡した。(H,P)
*自治政府のハニエ首相がアッバス議長を激しく避難する演説。イスラ
エル殲滅の方針は変えないが、1967年の境界内にパレスチナ国家
を与えられれば、20年間の停戦もありうると語った。(Y)
*米国からファタハ系治安部隊に
ライフル千丁が提供されていること
が判明。ハマスも対抗して武器密輸を加速している。(Y)
*イランでホロコースト否定論会議に出席したユダヤ教超正統派が弁明
書。ホロコーストは神の意思だから、人間の力で国家建設をするのを
やめ、ユダヤ人は再び世界に離散すべきだと主張している。(H)
*イランのアフマディネジャド大統領がクリスチャンに向け新年メッセ
ージ。キリストと共にイスラム教のメシア的存在であるマーディが来
て世界に平和をもたらすだろうと語った。(Y)
2006年12月21日(木)
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*昨日もカッサムロケット砲6発が
スデロット市周辺に着弾。
先月末に成立した停戦以後の累計で39発に
達した。政府内部からもガザへの 報復攻撃を求める声が高まって
いる。(H,Y)
*オルマート首相は当面、ガザへの反撃は控える構え。しかし、ペレツ
国防相は「いつまでも市民を危険にはさらせない」として、停戦違反
が続けば反撃に転じる可能性があると警告した。(H,Y)
*自治政府のアッバス議長とハニエ首相が傘下組織に停戦を呼びかけ。
その後、昨日朝にファタハのメンバー2人がガザで殺害されたが、そ
れ以後は、ほぼ平穏が戻っている。(H,Y,P)
*西岸地区のジェニンではイスラム聖戦の幹部2人を国防軍が殺害。今
週に入ってパレスチナ人の死者は6人に達した。(H,Y)
*4人のハマス議員からイスラエルの居住権と社会保障の受給権を剥奪
することが決定。イスラエル殲滅を目指しつつ
イスラエルの居住権を持つことは
不可能だと、裁判所は判断した。(Y,P)
*ヒズボラの戦力がほぼ戦争前の状態
に戻ったと、国防軍が分析。再び攻撃を仕掛けてくる可能性は
高いと見られている。(P)
*ベングリオン空港とモディーンを結ぶ鉄道が予定を半年繰り上げて来
年7月から開業へ。通勤時の混雑緩和が期待されている。(P)
*イスラエルにも津波の危険はあると、研究者が警告。紀元前にも多く
の例があり、タルムードには115年に津波の記録がある。(P)
*オルマート首相が小児ガンの子供たちを官邸に招き、ハヌカの祭の晩
餐会。首相は「試練を乗り切って」と子供たちを励ました。(Y)
2006年12月22日(金)
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*ペレツ国防相は「停戦を維持する範囲」で反撃を行うように、ガザ周
辺の国防軍に指示。スデロットに対する砲撃は
続いており、バスやコミュニティー
センターなどが破壊された。(H,Y,P)
*首脳会談に備え、イスラエルとパレスチナの担当者が事前交渉中。パ
レスチナ側は首脳会談に合わせた政治犯釈放を求めているが、イスラ
エル政府は国防軍兵士の解放が先だとして
いる。(H,Y)
*約2日にわたって平穏が戻っていたガザで、昨夜ハマスの幹部が誘拐
される事件が発生し、再び銃撃戦に。(H,Y,P)
*カッサムロケット砲がガザ内部の
ベイト・ハノンの民家の寝室を直撃
し、女性が流産。寝ていた子供たち
も負傷した。(H,Y)
*ラファの検問所を通って6千万ドルの現金がガザに持ち込まれたとE
Uの監査官が発表。テロ組織への資金を止めるのは難しい。(Y,P)
*シリアからの和平提案は戦争の前兆だと国防軍が分析。
ヒズボラに刺 激されたシリアは、国境地帯の町
を要塞化しており、近い将来にゲリ ラ攻撃を仕掛けてくる
可能性が高いという。(P)
*西岸地区で撃たれて死亡した14歳の少女の父が、イスラエルで収監
中のため娘の葬儀と喪の行事に出席できず。護衛つきでの帰宅が検討
されたが、自宅が西岸地区で危険なため見送られた。(H)
*世界各国から集まった500人のユダヤ人学生らが、北部復興作業に
労働奉仕へ。25日から1月11日まで滞在する。(Y)
2006年12月24日(日)
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*オルマート首相が自治政府のアッバス議長と金曜にエルサレムで会談。
自治政府の代行で集金した税金1億ドルを送金することと、西岸地区
の通行規制の緩和措置を取ることが決まった。(H,P,Y)
*自治政府に送金する1億ドルの資金は、アッバス議長の事務所に直接
送金し、議長の管理下で使用される予定。ハマスは「パレスチナから
譲歩を引き出すための措置」と激しく反発した。(H,P,Y)
*国連安保理が、イランに核開発の中止を求める決議。
イランは「制裁は違法」だとして核開発
を推進するとの声明を発表した。(H,P,Y)
*ガザからイスラエルに4発の砲撃。
ペレツ国防相とハルツ参謀長は、 自制をやめ反撃に出るべきだとの考えを
表明した。(H,Y)
*ガザではファタハとハマスの「停戦」発効後も戦闘が継続。自治警察
の幹部が襲撃されるなどの戦闘が散発的に続いている。(H,Y)
*先週に防護壁付近で射殺された少女の父親が特別措置で保釈へ。父親
は自動車泥棒のためイスラエルに侵入し、逮捕されていた。(H)
*エルサレムの東にある入植地マーレーアドミーム周辺の防護壁建設を
国防相が承認。必要以上の土地を囲い込んでいるとの非難も。(P)
*シリアでスパイとして働き、六日間戦争を勝利に導いたエリ・コーヘ
ン氏の遺族らが、アサド大統領に手紙で遺体返還を呼びかけ。(P)
*ガザで「イスラムの剣」と名乗るグループが「反イスラム的な」CD
店などを襲撃。タリバン型の恐怖政治が拡大するとの懸念も(Y)
*道路標識の鉄ポールの頂部から中に落ちて死ぬ渡り鳥が多いことが判
明。砂漠の標識の中から多数の渡り鳥の死体が発見された。(H)
2006年12月25日(月)
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*首相が約束した西岸地区の通行規制緩和に、国防軍が反対。検問所を
いきなり廃止するとテロの危険が増すとして、国防軍は検問の方法を
緩和するか、別のルートを開くなどの代替策を検討中。(H,P,Y)
*ハマスに誘拐された兵士の解放前に、イスラエルが善意の証としてパ
レスチナ人政治犯の釈放を行うべきかどうかを政府が検討へ。(P)
*先週に防護壁付近で少女を撃ち、死亡させた狙撃兵と上官が解任。テ
ロリストと誤認し、規程に反して発砲した疑いがあるため。(H,P)
*来年度予算をめぐり政権内で異論。夏のレバノン戦争の費用を賄うた
め、超緊縮予算となり労働党などから不満が出ている。オルマート首
相は「なるようになる」と1月3日に投票に持ち込む考え。(H)
*クリスマスを迎えるベツレヘムの聖誕教会では、例年より少ない観光
客。国防軍は例年通り通行規制を特別に緩和している。(H,P,Y)
*西岸地区を走行中のイスラエル車に銃撃テロ。後部座席に乗っていた
男性が足に負傷した。犯人は逃走した。(H,P)
*エジプト政府の閣僚が「エイラートはパレスチナの一部」と国会答弁。
近年、エイラートはエジプトの一部だとする勢力が増大しているため。
イスラエル政府はエジプトの国内問題として無視する構え。(P)
*イスラエルのクリスチャン人口は14万8千人。12万人はアラブ系
市民で、残りは帰還法によるロシアなどからの帰還者。クリスチャン
は都市に住み高学歴だが、出生率が低く人口比は減少している。(H)
2006年12月26日(火)
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*オルマート首相が来週までに自治区の通行緩和措置を実施するよう関
係機関に命令。ガザではイスラエルとの間の検問所の通行を効率化し、
西岸地区では検問所の数を減らすなどの措置を取る。(H,P,Y)
*労働党の提案で全党が予算増額要求を取り下げ、予算成立に見通し。
予算案は今日にも委員会を通過し、本会議に送られる。(H,P)
*ヨルダンがアッバス議長とハニエ首相を近日中に招待へ。両氏は招待
を受けたもようだが、まだ日程は決まっていない。(H,Y)
*ハマスが停戦中に軍備拡張に力を
入れていると、国防軍が国会で報告。
対戦車ミサイルが持ち込まれており、
正規軍に近い装備となりつつあ るという。
国防軍の戦車が破壊される危険性もある。(H)
*シリアからの和平の申し出は真剣だと、国防軍の情報担当者が分析し
たが、モサドは逆の結論。首相側近は「シリアがテロ組織と手を切る
かどうかが問題」と語り、慎重な姿勢を示した。(H,P,Y)
*カツァブ大統領の起訴決定に遅れ。マズズ検事総長は今月初めにも起
訴を決める予定だったが、検討に時間がかかっておりあと数週間はか
かる見込み。大統領は、起訴されれば辞任すると語っている。(H)
*先週金曜の首脳会談を受け、2002年に聖誕教会に篭城して追放さ
れたテロリストが帰還へ。クリスチャン住民は「また迫害を受ける」
と懸念。とんだ「クリスマスプレゼント」だとの声も。(P)
*パレスチナ人の8割が一時停戦ではなく恒久和平を希望。しかし、軍
隊を持った国家を希望する意見が7割に達した。(Y)
[情報源略号表]
P=エルサレム・ポスト http://www.jpost.co.il/
H=ハアレツ http://www.haaretz.com/
7=アルツ7 http://www.israelnationalnews.com/
I=イスラエル・トゥデイ http://www.harvesttime.tv/israel_today/
Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/
( )内の記号が情報源。メディアにより掲載日が異なる場合もあり。
[転載・引用・再配布について]
教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。
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発行:「シオンとの架け橋」 http://www.zion-jpn.or.jp/
編集:石井田直二 naoji@zion-jpn.or.jp
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