いかにして北朝鮮の核ミサイルに対抗するか | 日本のお姉さん

いかにして北朝鮮の核ミサイルに対抗するか

北朝鮮の核武装を利用しようとする中国(三)
 
             アジア安保フォーラム幹事 宗像隆幸


      いかにして北朝鮮の核ミサイルに対抗するか

 すでに日本でも北朝鮮の核武装への対抗策がいくつか提案されているが、いずれにも共通するのは、日米同盟をいっそう強化することである。これは、今に始まったことではない。
 1996年3月の台湾で最初の民主的な総統直接選挙の直前、中国は台湾の南と北の近海にミサイルを発射して、中国が独立派と非難する李登輝総統の得票を減らそうとした。米国がインディペンデンスとニミッツの2空母艦隊を台湾近海に急派したこともあり、李登輝総統が過半数を制して当選し、やはり独立派の彭明敏博士が2位となり、「統一派」の候補者は3位に終わったので、この威嚇は逆効果であったが、日米両国はただちに日米同盟を強化するための協議を行なった。その結果、クリントン米大統領が訪日して、4月17日に橋本首相との間で、日米同盟を強化して防衛協力を推進するための日米安保共同宣言が発表された。その後も中国は自国の防衛には不必要な軍事力の大増強を続けているので、日米両国は協議を重ねて日米の防衛協力の強化を推進している。2005年2月19日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)は、日米同盟をさらに強化するための共同戦略目標を定め、初めて「台湾海峡問題の平和的解決」を追求することを共同声明に盛り込んだ。

 ヨーロッパ諸国は、中国の脅威が世界規模のものになりつつあることへの認識が浅く、2005年に中国に対する武器輸出禁止措置を解除しようとした時、日本と米国の説得でやっと、禁輸措置の解除を取り止めた。このような状況を配慮して、日本が北大西洋条約機構(NATO)との協力関係を構築することも提案されている。

 しかし、現在の日本の自衛隊は、北朝鮮のミサイルへの対抗手段を持っていない。日本が保有する4隻のイージス艦に弾道ミサイル迎撃ミサイルSM3が2007年から搭載されることになっている。また陸上自衛隊には、地上発射のぺトリオットPAC3が配備される。SM3は大気圏外を飛行中のミサイルを迎撃し、PAC3はSM3が撃ちもらしたミサイルを大気圏内で迎撃する。しかし、迎撃ミサイルの信頼性はまだ不十分だから、発射準備段階の敵ミサイルを、地上で破壊する能力を自衛隊に持たせるべきだという意見もある。

 もう一つは、日本も抑止力として核ミサイルを装備するべきだという意見である。しかし、日本国民の間では核アレルギーが強いので、日本独自の核武装について国民のコンセンサスを得るのは困難である。仮に核ミサイルを開発するとしても、潜水艦などに搭載する核ミサイルの開発には十数年間かかるそうだから、現実的ではない。そこで在日米軍に核兵器を装備させる案と米軍との核兵器共有(Nuclear Sharing)案が浮上している。核兵器共有は、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5カ国が米国と条約を結んでおり、戦争が起きたら、ただちに米国が同盟国に核兵器を譲渡するシステムである。

 北朝鮮の核ミサイルへの対抗策として、日本では以上のような提案が行なわれているが、まだ議論は始まったばかりであり、結論が出るのはもっと先のことになろう。台湾でも北朝鮮の核ミサイルへの対抗策が、真剣に論じられるべきではなかろうか。
『台湾の声』  http://www.emaga.com/info/3407.html
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