やはりきた、黄菊副首相が事実上の失脚 | 日本のお姉さん

やはりきた、黄菊副首相が事実上の失脚

やはりきた、黄菊副首相が事実上の失脚
  上海汚職事件の爆発、陳良宇失脚についで黄菊夫人の逮捕も時間の

問題となった。
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 香港の有力雑誌『動向』が11月号で「中国共産党の陳良宇・前上海市党委書記の汚職事件についで、中国共産党政治局は10月26日に黄菊副首相を“休養扱い”としていた」と報じている。
ただし今後も「職位」をかろうじて維持さて、名誉的な式典参加の可能性も残るが、政治生命が事実上、終幕となった。

これにより上海スキャンダルの裏にある、あやしげな高速道路企業買収に、地元ブローカーに便宜をはかったといわれる黄菊夫人の拘束、逮捕も時間の問題となった。一部に夫人はすでに逮捕されているという情報もある。
 共同によれば「黄氏は今月初旬に北京で開かれたアフリカ48カ国との首脳会議の際に9人の政治局常務委員の中で唯一、姿を現さなかったと香港各紙が伝えており、最近の動向が注目されていた」。
 これで中国の政局は、 「上海幇の黄昏」。(これは「紫禁城の黄昏」に比喩してください)。
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(読者の声1)貴誌15日付け「読者の声1」の(AI生、渋谷)さんへ一言あるのですが、小生も去年、ダライ・ラマ猊下のお話を熊本で拝聴させていただきました。
縁あって、猊下に近いインド亡命で生まれたチベット人とお話ができました。
そのときにこの中国からの侵略問題をぶつけてみたのですが、その会話の中から理解できたことは、法王は宗教指導者であって、政治指導者ではない。国籍や民族にとらわれない人間の魂の浄化を望んでおられると言うことでした。仏教を少しかじると、必ず出てくるのが、目の前のものに固執するから悩みがおきると説かれています。
このように、中国の侵略という政治的危機よりも、それにより、チベット人はもとより、中国人の心もすさみ荒れる事から救いたいというお気持ちなのではないでしょうか?
仏陀の出身地も他国に侵略され滅びてしまいました。人間の決めた国境ではなく人の心の中は人種も政治もないものなのです。だから仏教は平和の宗教と呼べるのではないでしょうか?
   (MI生、福岡)


(宮崎正弘のコメント)ダライ・ラマ猊下のような現代世界でも稀な“活佛”の心境なぞ、畏れ多くて、とても小生は忖度できません。
 一般的な話をしましょう。
ロシア人が、「タタールの頸城(くびき)」をいまも畏怖するように、中国人にとってチベットは「吐蕃(とばん)の頸城」ではありませんか? 
あの当時、吐蕃は、現在のチベットから青海省、四川省、雲南省を抑え、長安を軍事陥落させたほどの軍事大国でした。
ダライ・ラマ猊下は、平和主義、暴力を否定しておられるチベットの精神的指導者ですから、その周辺には「歴史認識」の違いから話し合い路線に不満をもつ人達もいるでしょう。


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(読者の声2)アマゾンに下記のように貴著『三島由紀夫の現場』の書評があります。

 『三島由紀夫!)以後!)』『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』に続く、著者(宮崎正弘)の三島由紀夫三部作の完結編である。
当時、少しでも物心がついていた人間であるならば、昭和45年11月25日の事件を忘れることなどできはしまい。評者は大学浪人中だったが、今もなおあの日のことを鮮明に昨日のことのように思い出す。
あの日から完全に世界の相貌が変わったのだ。
そして三島は当時生きていたすべての人に、“三島以後”を問いかけたのだ。お前はどう生きるのだ、と?
この本の著者のように三島に学生として教えを受ける立場にあった人にとっては、その強烈な磁場ゆえの衝撃波は想像を超えたものであったに相違ない。それを受け止めるなり、解読するなりの作業は全人生をかけたものにならざるを得ない。

この本はそうした著者の尊敬する師の足跡をたどる“三島由紀夫巡礼の旅”というべきものだ。それは国内にとどまらず、地球を一周する規模にまで達する。「這うように私は辿りついた。汗が身体を流れ、歩き方も散漫になるほどの猛暑だった」「私はアジャンタの石窟群を夢中で観察した。一つひとつの祠、仏堂、礼拝堂などの洞窟を目を凝らして見つめ、それから「滝」を探した」。
いかなる苦行であっても、それは成し遂げられなければならない巡礼行だ。しかしその巡礼の旅にも、報われることがある。三十数年続く三島事件の衝撃波がイタリアにもたらした「ローマ憂国忌」である。それは三島の足跡をたどり、顕彰する著者の人生において、大きな光明として受け止められている。
三島は今も生きている。著者の喜びはそこに見出す確信の中にある。
     (飛山)


(宮崎正弘のコメント)素晴らしい書評でした。
このあと、いくつかのメディアでも拙作の書評が取り上げられるとの連絡を頂いております。掲載された後、そのメディアの発売期間がおわった時点で、この欄に紹介させて頂きます。


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(読者の声3)新刊『三島由紀夫の現場』を早速、読みました。
三島のギリシャへの傾斜と離脱、インドへの傾斜と、貴台の訪問印象記の違いが興味深いものでした。リオのカーニバルはどういう反映をしたのか、不明です。あれは沈溺すると癖になるのでは。小生も一度だけ、サンパウロで。
暑気に蒸せる中でのタイの寺院の陰影は、僧服で散策すると、独特の生理感覚が生じるのですが、『暁の寺』の主題とは関係ないですね。
いずれにせよ世界を股にかけた作業そのものが辛苦辛苦、ご苦労さまでした。貴台の膂力には改めて敬意を表します。
  (NI生、静岡)


(宮崎正弘のコメント)「辛い苦しみ」が転じて「お疲れさま」ですね。「辛苦了」。
 さて、サンパウロ? 三島由紀夫は一時期、御神輿をかつぐことに一種快感を覚えていたのではないでしょうか。あの御神輿とブラジルのお祭りのリズム、エネルギー、その灼熱が似ていると考えたのではありませんか。


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(読者の声4)先月以来、貴誌でもときどき話題になっているユアン・チュアンの香港に於ける講演をパソコンで聞いてみたが、3分の2が司会者の発言や聴衆との質疑応答で、肝心の講演は中身がいまひとつでした。
特に多くの聴衆はたんなる質問ではなく、中国人一流のおしゃべりで、自分の見解や自分の家族史を延々と語る始末。
司会者も困りはて「好了好了! 謝謝」(もう結構、ありがと)と何度も発言を制止しようとして汗だくの様子が目に映るようでした。
チュアンはかなりの知識人と思っていましたが、実際に聞いてみると、話し方が一般のおばさん風で、言葉の使い方、話の筋立てから大した知識人ではないという印象を受けました。
英国人の夫の協力がなければ、とても「ワイルドスワン」や「マオ」がかけなかったのではないか?
 中共のスパイとされた胡宗南将軍について触れた部分が「開放」(香港の月刊誌)では紹介されていませんが、実は講演のポイントはここにあったと思います。
台湾で中国版を出そうとして胡宗南将軍の親族から「訴訟を起こす」といわれ、出版中止となったことはご存知でしょう? 
香港講演ではチュアンは細かい史実を挙げ、自らの著書の正しさを何度も強調していました。但し胡が中共のスパイではなく、「中共との協力(あるいは呼応。原文は「配合」)した指導者」と言い方になっていましたが・・・。


(宮崎正弘のコメント)先週、台北滞在中、それほど時間がなかったのですが、それでも書店を三軒ほどまわってユン・チアン(張戒)女史の当該本が、どこの本屋にもないことが判りました。
これも一種のニュースでしょう? 事実は台湾版は書店に配本された直後に回収された、ということですが。。。
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(サイト情報)11月18, 19日にベトナムのハノイで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、アジア太平洋地域の自由貿易協定(FTA)の実現、また北朝鮮、イランの核問題について議論する。
(1)APECのバックグランド・ブリーフィング
http://fpc.state.gov/fpc/75922.htm
(2)国務省ワシントンファイルの解説記事
http://usinfo.state.gov/xarchives/display.html?p=washfile-english&y=2006&m=November&x=20061114155401lnkais0.3867456
(3)国務省国際情報プログラム局の特別サイト:APEC、Department of State
http://usinfo.state.gov/eap/east_asia_pacific/apec.html
(4)ホスト国ベトナムのAPECオフィシャルサイト
http://www.apec2006.vn/
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(宮崎正弘の三島由紀夫関連作)
 『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
 『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』(清流出版)
 『三島由紀夫の現場』(並木書房)
   
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<宮崎正弘の中国関係著作>
 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『中国瓦解』(阪急コミュニケーションズ)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『円 vs 人民元』(かんき出版)
 『中国財閥の正体』(扶桑社)
 『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ)ほか。
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<宮崎正弘のロングセラーズ>
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫、旧題『金正日の核弾頭』を改題、文庫化)。
 『謀略投機』(徳間書店)  
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成18年(2006年)11月16日(木曜日)   
通巻第1618号  
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所2001-2006 ◎転送自由。転載は出典明示。

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下記は附録です。
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『三島由紀夫の総合研究』 
   三島由紀夫研究会 メルマガ会報
     平成18(2006)年11月15日(水曜日)
          通巻第85号  
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村松英子さんから「憂国忌」への寄稿

「薔薇と海賊」に想う
               村松英子

 「薔薇と海賊」(三幕)は、昭和四十五年十月 十一月に上演されました。地方公演を含めての全公演が終わって二日後に、先生は亡くなったのです。
 ーーこの作品は当時より二十五年前、杉村春子氏主演で初演。それを「英子で、いま再演したい」と、先生は仰しゃいました。
 同時に翌四十六年の一月公演は「O・ワイルドの『サロメ』(日夏斯之助訳)を上演する」と発表。「サロメは全裸になって貰うから英子には演らせない。準座員・研究生の中から、ビキニ姿のオーディションで決める。我と思わん者は集まれえ」と。ーー
 「何故、この時期に、この二つを?」と、劇団の皆は首を傾げました。私も、先生の意図をはっきり理解できたのは、亡くなられた直後のことでした。
 「『薔薇と海賊』は先生の”青春のうた”でしょう?」と、稽古場で伺うと「そうだよ。、、、でも最近特に、何て世の中海賊ばかりなんだろうって思うよ」と仰しゃったこと。(一言でいえば薔薇は夢、海賊は俗物の象徴です)。
 「二十五年前の作品とは思えないほど新鮮だ」と皆に言われて「僕のすることはいつも、世の中より二十五年は早すぎるのかな。アッハッハ」とお笑いになったこと。等々が昨日のことのように思い出されます。
 女主人公は流行童話作家。「世界は虚妄だ、というのは一つの観念であって、世界は薔薇だと言いなおすことだって出来る。しかし、、(略)、、『世界は薔薇だ』といえば、キチガイだと思われ『世界は虚妄だ』といえば、すらすらと受け入れられて、あまつさえ哲学者としての尊敬すら受ける。こいつはまったく不合理だ。虚妄なんて花はどこにも咲いてやしない」と先生は書いておられます。女主人公は「身を以て、生活を犠牲にしてこの不合理に耐えてきた女」で、「『世界は薔薇だ』と言い切る、少々いかれた青年の突然の訪問をうけ」二人はプラトニックな恋におちるのです。
 終幕、二人は周りの海賊を追い出して、結婚式を挙げます。幕切れに「僕たちは夢を見ているんではないだろうね」と問う青年に女主人公は答えます。「私は決して夢なんぞ見たことはありません」(傍点筆者)。そして幕。
 この公演がすべて終わった後での先生の死。そして。「サロメ」公演。ビアズレイの絵のとおりの白と黒の装置。やまばでサロメが七枚のヴェールの舞いで全裸になった時、銀盆に乗せられて登場する信念の男、ヨカナンの首。ーー「先生の悪趣味」という私の呟きにあの「アッハッハ」という笑い声がきこえてきそうな演出でした。ーー
 「薔薇と海賊」は心の官能を表す青春。
 「サロメ」は肉体の官能を表す青春。
 二つの青春の間に、御自分の死。それが先生の演出でした。二つの公演は、周到に実現されなければなりませんでした。私は「薔薇と海賊」の女主人公の、幕切れのあのせりふを言えた光栄を、思うばかりです。

 (編集部注 村松英子主宰「サロン劇場」は来年(平成十九年)十一月一日から、この『薔薇と海賊」を新宿紀伊国屋ホールで上演します)
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 「憂国忌」のプログラムが下記のように内定しました。
                        憂国忌実行委員会

< プログラム >
  
                      (総合司会 菅谷誠一郎)
   開会の辞       篠沢秀夫
   記念講演       村松英子「『薔薇と海賊』をめぐって」
              共演者も登場 大出俊、伊藤高、若柳汎之丞
              (「薔薇と海賊」の制作は北村文典)
         (休憩)
   檄文朗読       日本保守主義研究会の諸兄
   追悼の辞       藤井厳喜、田中英道、水島総、富岡幸一郎、福田逸、
井川一久、中村彰彦、山崎行太郎、萩野貞樹ほか。
   閉会の辞       松本徹

  (出演・発言者は予告なく変更されることがあります)
           ◎
「憂国忌」は11月25日午後六時半。池袋東口三越裏「豊島公会堂」にて。
参加希望者は下記へ。
yukokuki@hotmail.com
(本誌読者に限り招待チケットを送ります)。

三島由紀夫研究会 HP http://www.nippon-nn.net/mishima/contents/
        メール  yukokuki@hotmail.com