現代中国の偉い人の出身地 | 日本のお姉さん

現代中国の偉い人の出身地

上海出身は江沢民(前国家主席)一人しかいない。

上海は旧勢力の本拠地なので、胡錦涛は最近汚職を理由に

言うことをきかない旧勢力をつぶしにかかった。

上海勢力に影響されない軍隊を上海に送ったので、上海の偉い人たちは

ワイロが使えず、あえなく逮捕された。

9月の終わりのできごとだ。北朝鮮の核実験で話題性が薄れているし、

みんなも知っていることだが、詳しくは宮崎正弘氏の無料メルマガの

過去の記事に載っているので読んでね。

http://www.d1.dion.ne.jp/~kalinka/china/colum/colum2/poli.htm


宮崎氏の過去の記事はこちらです。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成18年(2006年)9月27日(水曜日)
通巻第1567号  (9月26日発行)   


 陳良宇・上海市書記が失脚。胡錦濤、ついに「江沢民残党」を一斉追放へ
    政治局員の失脚は11年ぶり、政治激変の兆候か
******************************

 絶大な権勢をほこる中国共産党・上海のトップがひっくり返ったのである。
 筆者が兼ねてから予想してきたとは言え、ピッチが早い。

 これで前国家主席の江沢民「院政」時代は完全な終わりを迎えた。

 直前の八月まで、胡は江沢民を二階へあげて、褒めそやしている内に

 梯子をはずした。
 すなわち『江沢民選集』を出版させて、各行政単位の末端にまで強制的に

 買わせたから、その印税だけで4億元とも言われる。
江沢民は有頂天だった。
 狙いは江沢民を油断させ、不断からゆるい上海派の団結力をそぐことに

 置かれていた。

 陳書記失脚で、いまのところ報道されているのは上海市の社会保険基金を

 めぐっての汚職事件だが、この背後には常に共産党同市トップの陳良宇・

 党委書記(党政治局員)の陰がちらついていた。
 この一味が横領したカネは40億元とも言われている。

もとより上海不動産のバブル化の黒幕も陳書記だが、胡錦濤は、念入りの

捜査を重ねさせて、ようやく党は陳書記を抜き打ち的に解任したのだ。
捜査したのは上海の検察でも公安でも警察でもない。

中央直属の「党中央規律委員会」。

「つまり陳良宇一派の存在が胡の政策遂行に障害となると判断したから

であり、それ以外に現職の政治局員の失脚はありえない」

(NYタイムズ、9月25日付け)。

しかも次のターゲットは黄菊(前上海市長、江沢民の番頭、現在政治局

序列六位)であり、黄夫人はすでに拘束されている。

陳良宇書記も黄菊も江沢民・前国家主席に連なる「上海閥」の最有力

メンバーだ。
現職政治局員の解任は江沢民の最大の政敵だった大物、陳希同・元北京市

党委書記が汚職事件に関与したなどとされて解任以来、11年ぶりの

「大事件」だ。陳希同は内蒙古の刑務所に送られ、まだ収監されたまま。

日本のマスコミは「胡指導部の発足以降、汚職事件に絡む最も高い地位の

幹部の処分で、腐敗問題に厳しく臨む胡政権の姿勢を打ち出した」などと

言っているが、これは本質ではない。


▼権力の内部争いが、ドラマの本質である

陳良宇は書記に就任する前は「上海市長」だった。
この市長時代に不動産バブルの影で業者の周正毅と組んで大儲け、一連の

上海派のスキャンダルの元締めと言われた。
 民間で官と癒着し不動産投機で巨額の汚職をおこなった主犯は民間デベ

ロッパーの周正毅だが、この周が拘束、逮捕、起訴と進むにしたがって

陳市長の弟(陳良軍)と市長夫人の関与が取りざたされ、失脚は時間の問題

と言われていた。このとき市長は韓正に変わったが、陳良宇は失脚どころか

「大出世」を遂げて上海市書記になったのである。

 つまり上海でトップの位置についたのだから、背後で院政を敷いていた

江沢民の保護がなければ、あり得ないことだろう。

 香港の雑誌『開放』(8月号)によれば陳良宇書記には最近、「美人女子

学生が愛人」と噂された。ところが陳書記の事実上の愛人は上海大学保衛

第一派出所所長で尤麗分という中年の女性らしい。

 同じく江沢民の子分、黄菊(政治局員、序列6位)は末期癌で中央政界から

退場するのは時間の問題といわれる。
醜聞の元凶は夫人の余慧文だ。
余は上海の不動産富豪の張栄坤(中国富豪ランク46位)と手を組んでの

スキャンダルが絶えず、中央規律委員会が隔離審議にはいった。
 とくに張栄坤は不動産、家具製造のほか高速道路企業を経営、これは

上海と杭州を結ぶドル箱路線。その買収の過程で賄賂など巨悪の証拠がある

とする官製情報が盛んに流れている。

 このようなトップの志気の緩みは軍の腐敗を生む。
最近も海軍ナンバー2だった王守業の失脚が伝わり、ついでオリンピックを

控える首都で北京市副市長の劉志華が失脚した。
 背後にある胡のキャンペーンは「反腐敗」が看板、実態は守旧派の排除

なのである。

 ついで胡錦濤は天津市のトップ(共産党委員会書記)の張立昌(政治局員)

をコーナーへ追い込んだ。

これも検察を越えて、いきなり党直属の中央規律検査委員会が捜査に

乗りだした。

 上海派排除のために「暴動を政治利用」しているのも胡錦濤である。
 イアン・ブレマー(リスク管理専門家)は「ヘラルド・トリビューン」

(7月15日付け)への寄稿で、「胡錦濤が暴動の統計をいきなり公開した

大きな理由は上海派の残党狩りである。前任者江沢民時代にこういう

社会不安をあらわす数字の公表はなかったから」。

 守旧派となった上海派の巻き返しは一時凄まじいものがあった。
胡の右腕、温家宝一家の財務スキャンダルが西側マスコミに漏れるのは、

復讐劇の一環だ。
温首相の長男、温雲松の株投機、張培莉夫人と大手保険「平安保険」との

異常な関係など嘗ての李鵬首相夫人のインサイダー取引黒幕説を彷彿と

させる。
 ともかく、こうした政争に身の安全をはかって急速に胡に近づいたのは、

嘗ての江沢民の右腕・曾慶紅(序列五位、国家副主席)だ。 


 ▼これだから面白い中国の奥の院の政争

 本質に横たわるのは「三国志演義」的な血みどろの権力闘争である。
中国の奥の院で展開される熾烈な権力闘争は常態であり、決して止むこと

はない。

 近年の特色は、単に軍権を誰がおさえるか、という基本動向をウォッチ

するだけでは実態は判らない。改革開放以来、多彩な枝が増えて、誰が

率いる、どの派閥が、最大の財力を扶植できるかという視点が中国政治を

解析する際に重要なのだ。

 中国の派閥は従来的には親族および同郷のコネクション重視だった。
共産主義と言っても人間集団であり、伝統的体質をすぐに脱皮できる筈

はない。地方軍閥の群雄割拠という特質は三国志以来、不変の原則だ。

 中国共産党のトップ・胡錦濤は安徽省出身だが、学閥は清華大学

人脈は共産主義青年団(これを「青紅幇」という)。
 ちなみに温家宝首相天津出身。前主席の江沢民は上海、トウ小平は

四川省、毛沢東は湖南省出身。

朱容基前首相も台湾野党指導者の宋楚諭も湖南人だ。
 ところが従来の地域閥の空間を越えて胡錦濤は「青紅幇」を中軸に活かし

、「上海派」の排除を陰湿に展開してきた

(この場合の「上海派」とはビジネス利権に繋がる江沢民前主席の利権

集団を意味する)。

 胡錦濤は人事権を巧妙に行使し、守旧派分断を図った。
 最初は香港の行政長官更迭だった。
 富が集中する香港を動かしてきたのは旧イギリス利権と結んだ広東閥と

寧波人脈が主流だった。
董建華前行政長官は包玉剛らの海運人脈からでた江沢民派だった。

江沢民が引退した途端、董は寧派人脈=上海閥をきらう胡錦濤によって

行政長官の椅子から引きずり下ろされた。

97年の香港返還から九年間、香港の自治は窒息寸前。中国の影響力が

つよまり、ビジネス界でも民主化グループは雲散霧消、マスメディアも殆ど

が北京寄りにスタンスを変えた。

民主化の象徴として高い人気を誇るアンソン・チャン女史は次期香港行政

長官には立候補しない、と表明した。

 「いまの選挙のルールは、はるかに民主化のプロセスから離れており、

民主化を願う人々を失望させるだけのゲームの決まりを作ったようなもの」

とアンソン女史は不出馬理由を述べた。(NYタイムズ、9月25日付け)。

アンソン・チャンは中国返還記念日(7月1日)の民主化デモに参加した。

陳方安生女史は北京に対して物怖じせず、率直な発言をすることでも有名

で、昨年12月の民主化デモにも参加し、普通選挙の全面導入を訴えた。
 その彼女が香港の未来に暗いヴィジョンしか抱けないほどに香港の経済も

政治も希望を失ったわけだ。

香港特別行政区政府は、中国の覚えめでたき曽蔭権(ドナルド・ツァン)が

行政長官を2005年6月以来務めている。かれは錦濤派と見られている。
 
 ▼人民解放軍の軍権掌握は?

広東人は上海人が大嫌い。
だから広東人が主体の香港のレストランでは、上海人と同席したがらない。

これは蒋介石に守られた折江財閥が、共産党を嫌って香港へ逃げ込んだ

あたりから香港地元の広東人と食事、文化、作法などで様々な軋轢を生んで

きた背景にもよる(詳細は拙著『出身地でわかる中国人』(PHP新書を参照)。
そうした広東人の心理を絶妙に突いて、胡錦濤が搦め手で仕掛けたのだった。

 さらに過去二年間、胡錦濤は人民解放軍幹部の人事調整を矢継ぎ早に

行ったが、その特色は江沢民時代の”反日派”を引退へ追い込んだことだ。
 「軍事外交の顔」といわれ、反日の急先鋒だった熊光楷副総参謀長

(大将)を事実上の引退に追いこみ、後任に章沁生少将を抜擢した。

ついでに核兵器先制使用発言の朱成虎中将(朱徳の息子)も更迭。

 海軍ナンバー2だった王守業の逮捕は、胡が軍の綱紀粛正を厳密に

実行に移したことを示している。
 これまでの共産党のなかで、

軍の犯罪に手をつける指導者は

いなかった。
むしろ前任の江沢民は軍のおおっぴらな副業に目を瞑り、いや、そうした

軍の人脈と妥協を重ね、大将の辞令を62人も濫発して、江派を軍の

内部に扶植した。

 いまも人民解放軍にすくう反胡錦濤派は根強く、かれらを追っ払う手段と

して胡は「反腐敗キャンペーン」と「任務の遂行」(職務怠慢を罰する)を掲げ、

実際に軍幹部を逮捕することを躊躇せず、さらに職務怠慢の幹部にも

厳罰で臨んだ。

 軍の機密を米国と台湾に売る売国的軍人の輩出で、これもモラルが弛緩

した結果、一層の軍規の引き締めにも臨む。

安徽省で数ヶ月前に起きた軍用機の墜落事故は、寒気団のなかを長時間

飛行を命じたのが原因だった。
胡錦濤は七月に南京軍管区空軍司令員を更迭、また江蘇省での台風被害

出動で兵士50人を監督不手際で死亡させてしまった責任を問うて隊長を

更迭させた。


 ▼軍の腐敗摘発も、胡の軍権掌握のプロセス

 解放軍成立以来、「陸軍偏重」型だった人事も大幅に改善され、空、海軍の

幹部が大量に抜擢された。
総政治部主任補佐の劉振起中将は副主任に昇格、後任には童世和・海軍

政治部主任(中将)。空軍副司令官を務めてきた李買富中将は総後勤部

副部長となった。

 江沢民は軍歴がなかったため将軍ポストを六十二名も乱発し、辞令交付

を江沢民立ち会いのもとで行い、軍の最高幹部につぎつぎと恩義を売って

軍権を表面的に掌握した。
 代償として軍のタカ派の暴走を

黙認することになった。

その結果が台湾への強硬姿勢と

反日暴動となったのだ。

 軍幹部に残存する強硬派の代表格は李先念元国家主席の女婿、

劉亜州だ。
その劉亜州が中心となって昨年秋、胡錦濤への質問状をつきつけた。

事前に「太子党」を巧妙に根回した劉亜州は反胡錦濤派の頭目とされた。
 胡執行部はこの劉亜州グループの排除になかなか踏み切れなかった。
 胡は周辺を徐々に、やがて大胆に青紅幇で固めだした。胡の右腕、

李克強(遼寧省書記)が次期総書記の最右翼とされるほか各行政単位の

副省長、副市長クラスに大量の胡人脈を抜擢し、守旧派の外堀を埋めた。

 しかし頭でっかち共産主義青年団の実力だけでは限界があり、

「老人キラー」と言われる胡錦濤は、

党の長老たちを活用する。

この作戦の切り札が太子党メンバーだ。
 しかし「太子党に近づいたと見せかけながら新しく十二人の大将を任命

したが、そのなかでたった一人しか太子党は含まれていなかった」(

ロイター、7月31日)。
つぎに胡が使った手口は「反腐敗キャンペーン」の演出により、政敵を

あぶり出し、とどのつまりは上海派の排除である。


 ▼次の狙いは江沢民の右腕、賈慶林(序列四位)

 八年前、「アモイ密輸」という事件があった。
福建省党幹部、軍、警察、税関を巻き込んでの一大密輸スキャンダルで

福建省書記だった賈慶林とその妻・林幼芳(当時、福建省外国貿易局党

書記)が黒幕と言われた。
 
党、軍、地元業者がグルとなって大がかりな密輸を黙認し(一説に軍艦が

密輸船を擁護した)、その中心にいた頼昌星の企業「遠華集団」が大儲け。
だが「黒幕」といわれた賈慶林は爾後も大出世を遂げて胡錦濤政権の

ナンバー4(政治局常務委員序列四位。政治協商会議主席)である。

 当時の軍の実力者は劉華清と遅浩田である。
この最高軍幹部も遠華事件との関連がさかんに言われた。そこで当時、

軍権を掌握できていなかった江沢民が巧妙に政治利用。二人を引退に

追い込んだ。また李鵬派の羅幹(現在政治局員、序列九位)を通じて

盛んに暴露を奨励した。
というのも李鵬派がライバルの賈慶林(江沢民の家来)の追い落としを画策

していたからで、この第三派閥活用によるバランス維持といった、錯綜する

パターンを胡錦濤は適用させている。


このあたりのノウハウは自民党総裁選挙の派閥の動きを連想すれば

わかりやすいだろう。
 
 こうした環境のなか、胡錦濤は中断してきた北戴河会議を今年から再開し、

来年の十七回党大会への布石を打ち始めたのだ。

 一方でアモイ事件の主犯・頼昌星をカナダから強制送還させ、裁判で

旧江沢民派の密輸との関連を暴くとしており、江沢民派残党狩りが意外に

迅速に進んでいることを伺わせる。
 賈慶林失脚は時間の問題と言われている。

 来年秋に予定される第十七回党大会を前に「65歳定年を厳格化して、

江沢民にいまだに忠誠を誓う軍幹部を一斉に退任に追い込み、

第四世代から新たに28人を選んで中将に任命する段取り」

(ジェイムズタウン財団「チャイナブリーフ」、9月21日付け)とする予測が

急速にひろがっている。

 李克強、王兆国らに注目があつまっている。
    ●

陳良宇(前上海書記)一味が横領した五億ドルは不動産投機にまわっていた
   上海市郊外開発にデベロッパーと組んで、公金を横領
******************************

 政治局員を解任された陳良宇(上海市書記)は、投機資金を得るために

上海市の社会福祉年金から40億元、およそ五億ドルを横領し、デベロッパー

と組んで、濡れ手に粟のビジネスを展開していたことがわかった。

 子分の祝均一(上海市労働社会保障局長)が不正流用したとして、八月に

解任されていた。
その後も捜査が続行され、高速道路会社経営の大富豪・張栄伸に不正融資

された金額は34億元と発表されていた。

 さらにその後、上海市書記の秘書役だった秦裕(宝山区区長)も解任、

あわてた陳良宇・上海市書記側からは、「これ以上の捜査をいないよう」

激越な要請が呉官正(中央規律委員会主任、政治局序列8位)になされ

ていた事実も判明した。 

 書記代行についたのは韓正(上海市長)。
ただし上海の汚職犯罪捜査には北京から百名前後の特別チームが派遣され

ており、「中央規律委員会」とは要するに、胡錦濤からの直接の命令がないと

動かない組織である。

 この事件、まだまだ奥深く、予想外の伏魔殿がありそう。

上海で老人たちも汚職撲滅デモ、警官隊と衝突
  「祝 陳良宇失脚」の横断幕、保険金をだまし取られた市民が
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 さきの上海スキャンダルは市の社会保障局長が拘束され、上海市のトップ、

陳良宇一族の拘束へと発展した。

上海をスキャンダルまみれにした陳は政治局序列18位のポストを喪った。

 もとも上海共産党政府に限らず、全国どこへ行っても汚職の実態は

おなじような、独裁政権の体質的宿阿である。
 絶対権力がつづく限り、汚職腐敗はつづく。
 前任の黄菊のときは、上海政府は「黄菊政府」と呼ばれるほどの腐臭を放ち、

かれの失脚も時間の問題である。

 おさまらないのは保険金をだまし取られた老齢の市民である。
 直訴者ら二千人が、「祝・陳良宇失脚」、「社会保障局副局長も辞職せよ」の

横断幕を掲げて、上海市社会保障局前で抗議行動を敢行する事件があった(

9月27日)。
博訊報、多維新聞などに依れば、抗議の老人らが警察の鎮圧をもろとも

せずに暴力的衝突をくりかえしたという。

 直訴者の大半が1960年代に農村に下方され、遠く新彊ウィグル地区へ

派遣された。
新彊から上海に戻れば、わずかな年金ぐらし。病気になっても薬もかえない

ほど、まさに赤貧洗うが如し。

医療も受けられず、病気治療システムからも阻害され、怒りを爆発させて

社会保障局へのデモとなった。

上海では、このたぐいのデモは日常茶飯とはいえ、老人が警察に立ち

向かったのは異例といって良いだろう。

江沢民(前国家主席)が膀胱癌で北京に入院説
 スイスに20億ドルの隠し財産、と香港誌『開放』が報道
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 香港誌『開放』最新号(通巻238号)によれば、江沢民はこのたびの

陳良宇(上海市書記)など、子飼いのスキャンダルに心労を深め、

北京の医療施設に緊急入院、病名は膀胱癌ではないかと伝えた。

 また同誌は江沢民一家のスイスにおける隠し

資産はおよそ20億ドルとも伝えている。

(香港10月3日発売)

 
陳良宇(前上海書記)の拘束は半月前から激震の予兆があった
 胡錦濤は江青ら「四人組」失脚の準備を周到に“学習”していた
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 陳良宇失脚は中国の政界に激震を走らせた。
直前の政治局常務委員会で、賈慶林(序列4位)、黄菊(6位)、李長春(

8位)の三人が反対した。
しかし「上海派」の呉邦国(2位)と曾慶紅(5位)は賛成に廻り、呉官正(7位)

は中立だった(呉は江沢民が引き上げた元山東書記だが、曾にちかい人物)。

こうして六人いる政治局常務委員(全体は九人)の「上海派」が半分づつに

割れた。

 この決定は、すかさず江沢民に通報されたが、賛成とも反対とも表明しな

かった、と香港誌『争鳴』が伝えた。
 おなじく香港誌『開放』は江沢民が膀胱癌、スイスの隠し預金は20億米ドル

との報道を流した。

土壇場で、「上海派」は一致結束して陳良宇拘束の妨害工作をとることが

できなかった。
主因は曾慶紅の裏切りである。しかも曾は、過去の秘密をすべて抱えており、

逆にこれを武器に、胡錦濤派へ寝返ったことをも意味する。

 さて胡錦濤は、陳良宇を拘束するにあたって上海市の武装警察責任者・

辛挙徳を更迭し、峡西省の武装警察主任の

劉洪凱(少将)を任命した。

劉少将は、胡錦濤への忠誠を誓い、書記の拘束に力量を発揮した。

 このパターンは当該地区の警備責任者を直前に更迭した1976年の

「四人組」(江青、王洪文ら)逮捕劇の警備状況に酷似している。
当時、上海第一書記に海軍大将だった蘇振華を任命して指揮を取らせた

ように、陳良宇(前上海書記)拘束は半月前から激震の予兆があったのだ。

しかも胡錦濤は「四人組」失脚の準備を周到に“学習”していたというわけで

ある。

北の核実験で北京奥の院の権力闘争は「延長戦」へ
  賈慶林、黄菊の失脚はのばされ、胡政権の基盤は確立されなかった
*****************************

 中国共産党が中央委員会総会(6中総会)は11日に閉幕した。
想定内のシナリオではあったが、地殻変動的な人事異動はなかった。

生き延びた政治局員はホッと胸をなで下ろしたに違いないが、なにしろ

総会開催中の核実験だから、北京としても大いに面子を潰された

格好である。

中国共産党の使い古しのフレーズは「和諧社会の建設」だが、この基本

方針が来年の第17回党大会までの方針となり、農民暴動、公害無策など

社会的危機感をバネに、成長第一主義からの

脱却をめざす安定化路線が強調された。

とくに温家宝首相は、景気抑制、金利政策、外国為替政策に敏感でかなりの

強硬な経済政策を押し進めてきたが、殆ど効果が上がらず、そこで

見せしめのために前月は、陳良宇上海市書記の更迭に繋がった。

江沢民がとなえた「3つの代表論」なるものは、上海派の政策を理論付け、

要するに豊かになる可能性がある人や地域は先に豊になろうとしたトウ小平の

「先富論」の焼き直し、これを胡錦濤は、ジェスチャーで評価し、全公務員に

強制的に購買させた(その印税だけでも四億元)。
こうして江沢民を二階へあげておいて、部下や子飼いをコーナーへ追いつめ

てきた矢先、奥の院の政争を吹き飛ばしたのが、まさに北朝鮮の核実験

だったのだ。

●やはりきた、黄菊副首相が事実上の失脚
  上海汚職事件の爆発、陳良宇失脚についで黄菊夫人の逮捕も時間の

問題となった。2006年10月26日
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 香港の有力雑誌『動向』が11月号で「中国共産党の陳良宇・前上海市

党委書記の汚職事件についで、中国共産党政治局は10月26日に

黄菊副首相を“休養扱い”としていた」と報じている。
ただし今後も「職位」をかろうじて維持さて、名誉的な式典参加の可能性も

残るが、政治生命が事実上、終幕となった。

これにより上海スキャンダルの裏にある、あやしげな高速道路企業買収に、

地元ブローカーに便宜をはかったといわれる黄菊夫人の拘束、逮捕も時間

の問題となった。一部に夫人はすでに逮捕されているという情報もある。
 共同によれば「黄氏は今月初旬に北京で開かれたアフリカ48カ国との首

脳会議の際に9人の政治局常務委員の中で唯一、姿を現さなかったと香港

各紙が伝えており、最近の動向が注目されていた」。
 これで中国の政局は、 「上海幇の黄昏」。

(これは「紫禁城の黄昏」に比喩してください)。

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