裏切り者が出て、預った代金や荷物を持ち逃げしてしまう支那の物流事情
激動の日中航路海上運賃(2):氏素性を確かめるべき
中国物流今昔物語 第6回-白土茂雄(アジア・ロジスティクス研究所 代表)
前回は、日中航路海上運賃の激動振りを垣間見たが、中国の様々な商品、サービスの価格や料金の激安、暴騰を見慣れている人には、さして珍しくもない話かもしれない。
どうしてこんな安いのが可能なのか? マイナス運賃などというのは無論だが、こんな安い価格や料金では、結局、みな共倒れになってしまうのではないか?
考えるに値する場合もあるが、考えるだけ無駄ということもある。考えるに値するというのは、中国の低価格の妥当な理由を探り当てるという場合もあれば、利用する上での大きなリスクを発見するという場合もある。考えるに値しないというのは、明らかに原価を無視して、誰も彼もが無闇に価格競争一辺倒に走っている場合である。案の定、みながバタバタと共倒れしていく場合である。近年、中国でよく見かける光景の一つであろう。
商品であれば、必要なスペックを満たさない材料や部品が使われていることや、必要なサービスの手抜きがあるくらいは、容易に想像がつこう。中にはとんでもないまがい物や贋物もある。
海上運送でも、似たようなことがある。老朽船で、運賃は安かったが、保険料の割り増しで思いがけなく高いものについてしまったなど、よくあることだ。更に、貨物を積んだ船会社が倒産してしまい、船が担保として差し押さえられてしまったらどうなるのか? とにかく日銭を稼ぐために、安い運賃で荷を集めようという船会社も運賃低迷期には出てくる。
積荷は船会社の資産ではないので、最終的にそれまで没収されることはないが、船が目的地まで辿り着けない可能性もあれば、また目的地に着いていたとしても、現地の港湾業者や当局との債権債務の処理が固まるまで、全ての作業がストップされ、積荷の引渡しが大幅に遅延することは間違いない。当然、損害賠償のクレームを付けたくもなるが、相手は倒産した会社であり、費用対効果は見込めない。
もう一つ悩ましいのは、長期契約や大型プロジェクト貨物で、船会社の運賃見積もりに基づいて原価計算をしている場合である。積もうとする頃には、安い運賃見積もりを出していた船会社が既に消えてなくなってしまっており、その見積もりが全くの絵に描いた餅に終わり、泣く泣く高い運賃の船社で積まざるを得ないということになる。
同様のリスクは、トラック運送の場合でもあり、海上運送以上に零細規模の企業(一人経営や家族経営)の乱立している業界であるので、更に発生の可能性が高い。加えて、船舶のような港湾という関門がなく、国内であればどこでも自由自在に動けるので、預った貨物を持ち逃げしてしまい、売り払って、姿をくらますという事件が頻発している。
中国を旅すると、街道筋のあちらこちらに「配貨站」という看板を目にする。運送の依頼主が持ってきた小口の貨物を小規模トラック業者に取り次ぐ業務を行っている。依頼主も、配貨站も、トラック業者も、みな零細業者で、皆が助け合って相互に信用を与え合い、どうにか生きている世界で、小規模の通販業者や問屋は、彼らのネットワークを使って、代金の回収まで行っている。
しかし、ときに裏切り者が出て、預った代金
や荷物を持ち逃げしてしまい、特定
地域の業者が軒並み連鎖倒産して
しまうことも起こっている。
外資には敷居の高いトラック運送業界であるが、敷居の向こうにはその
ような切ない世界が広がっている。
ごく一部の、全国的にも名の知られたスーパーパワーが目立つが、特殊な
経営基盤を持つ例外中の例外である。騙されて、ひどい目に合っているのは、
外国人や外国企業ばかりではなく、地元の人々、企業の方が圧倒的に多い。
こんな世界で、円滑な物流を図るには、どのように対策を立てたらよいのか?
船会社にしても、フォーワーダーにしても、トラック会社にしても、氏素性
の分からない相手には、いくら運賃が安くても頼まないということに尽きる。
透明度の高い行政、法治主義の徹底、高信用度社会の確立など、
中国政府のスローガンには、もう耳にタコができているが、いずれも
道半ばというより、「はるか道遠し」と言うべきであろう。
幸い、物流分野、即ちフォーワーディング業、トラック運送業、倉庫業など
の対外開放の深化(2006年末より100%外資の認可)により、欧米系、
日系、他アジア系の著名な企業が着々と拠点を築いてきている。
日系荷主企業としては、当面、そうした企業を活用していくのが無難であろう。
中国では、物流業界も、今後しばらくの時間をかけて、外資が業界の変革、
体質改善を図っていくのではないかと思う。
既に兆しは見えてきているのだが、やがて地元勢の中から優れた企業が
続々と排出してくるであろうが、多少の時間は見なければならない。
多くの地元企業の問題は、決して資本力や技術力の不足ではない。
経営力、取り分け陋習にまみれた旧体質や原始的資本主義からの脱却が
課題なのである。(執筆者:白土茂雄)
(サーチナ・中国情報局) - 11月9日
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昨日も香港に会社を持つ日系企業が、会社を捨てて
香港を撤退せざるを得なかったという話を知り合いにきかされた。
香港の会社の家賃をいきなり賃上げさせられて、どうしようも
なかったそうだ。常識を逸した大幅な値上げで、嫌なら出て行けと
言われたそうだ。
日系企業が儲かってきたら、家賃を上げて追い出して乗っ取る
のが手らしい。法律も守ってくれないようだ。
せっかく儲かってきたと思ったら、いろんな税金を取られて利益が
上がらず、仕方なく撤退しようとしたら
工場も中の設備も全部持ち出し禁止だと言われ、泣く泣く手ぶらで
日本に撤退した会社が多いらしい。
そんな話しばっかり、、、。