ロシアと支那-経済協力拡大で合意
フラトコフ露首相きょう訪中 経済協力拡大で合意
■天然資源は波乱含み
ロシアのフラトコフ首相は9日、中国を訪問して温家宝首相らと首脳会談を行う。10日までの滞在中にエネルギーをはじめ、科学、教育、航空宇宙、貿易拡大などの包括的な経済協力で合意する見通し。インタファクス通信などによると、石油開発や天然ガスで2015年までの9カ年の協力協定や、中国によるロシア製原発関連システム導入も盛り込まれる。中ロ貿易は、ロシアから中国への輸出が石油など天然資源に偏っているが、中国側は原発の発注で貿易バランスに配慮する。(上原すみ子)
フラトコフ首相は「中国におけるロシア年」を記念した展示会にも参加する。航空、金属、化学産業など両国合わせて約800社が参加する初の大型商談会も行われ、大型プロジェクト受注契約も調印される予定だ。
中ロ両政府は、急拡大する中ロ間の貿易総額が2009年までに06年見通しの約2倍に当たる600億ドル(約7兆円)に拡大するとみている。
発電所関連では、電力独占企業のロシア統一電力系統システム(RAOーUES)と中国国家電網公司が協力し、08年をめどに火力発電所を建設するほか、ロシア側は中国の原発建設で機器の納入や技術協力も行う。
中国は20年に向けて原発の発電設備容量を最大4000万キロワットにまで拡大する計画で、出力100万キロワットの原発を今後32基建設する計画。モスクワタイムズ(電子版)によると、フラトコフ首相の訪中に合わせ、このうち4基についてロシア原子力公社と契約するという。原発建設では日米仏のメーカーも中国での受注にしのぎを削っているが、エネルギー資源供給の見返りとしてロシアが一歩リードした形だ。
中国にとって原油、天然ガスの供給先としてのロシアの重要性が高まっている。国境線を接していることもあり、両国の関係改善を反映し、中国からみて供給量の国別順位ではロシアが01年の10位(シェア2・9%)から05年に4位(同10・1%)と浮上してきた。
中国石油天然ガス(CNPC)は、ロシア国営の石油大手ロスネチフと合弁会社を設立し、共同でロシアの石油、天然ガスを探査、採掘することで基本合意している。
ロシア政府はこれまで国営企業の民営化など国家的プロジェクトや、エネルギー分野での国際入札で中国の参入を拒んできた経緯があるが、今年3月のプーチン大統領訪中を機に、中ロ企業による相互のエネルギー開発協力の推進で双方が合意し政策転換していた。
6月には上海で、ロシア、中央アジア4カ国から構成される上海協力機構(SCO)首脳によるサミットを開催。安全保障やエネルギー協力の結束力を強化したことも追い風となり、中国石油化工(シノペック)がロシア企業ウドムルトネフチを買収し、中国企業として初めてロシアの石油採掘、開発に参入した。
とはいえロシアは「サハリン2」問題も含め資源保護政策を強化しており、手練手管の中国といえども一筋縄ではいきそうもない。天然ガスの対中輸出価格をめぐって交渉が難航しいるとの情報もあり、中ロ間の経済協力関係は波乱含みだ。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 11月9日8時33分更新