中国の「平和台頭」、コトバの遊びから実弾(カネ)の外交へ
アフリカ45ヶ国とサミット、ついでアセアン首脳との実弾会議へ
「平和台頭」という語彙に酔いしれているのは北京か、それとも援助をうける国々か。
11月4日、5日の二日間、広西チワン自治区の省都・南寧で、中国はアフリカ45ヶ国から首脳クラスを呼び集め、「中国アフリカ・サミット」を開催する。
広西チワン自治区の南寧と言えば、先週も大学で暴動が起こり、学生が軍ともみあって死傷者が出た。小生、ベトナム国境から南寧へでて、飛行機で広州へ飛んだことがあるが、南寧はごみごみした町である。
アフリカ諸国と中国との貿易は武器輸出、プラント提供という中国の商業攻勢がつづき、アンゴラ、スーダンからは原油が中国へ大量に輸出されている。
ひきつづき11月6,7日の二日間にわたって中国はアセアン十ヶ国から首脳を呼び集め「実弾」をばらまく。
1980年に中国とアセアンの貿易は、20億ドルしかなかった。
こんにち、往復1300億ドル。四半世紀で、じつに65倍の躍進だ!
注目はマレーシアとフィリピンである。
反共の砦として、米軍の海軍と空軍基地をかまえていたフィリピン。
ピナツボ火山の爆発によって、クラーク空軍基地は灰燼に帰した。スービック湾は商業港となった。
米軍はフィリピンから撤退し、グアムへ移転した。
この米軍の不在を埋めるかのように、中国とフィリピンは急速な交易関係を膨張させ、2001年に実質零だった両国の貿易は、いまや170億ドルの規模に発展した。
「中国はマニラからクラーク基地跡地への鉄道(50キロ)の敷設にポンと1億ドルを拠出するという。また中国国有企業はフィリピンのニッケル鉱区を十億ドルで開発権を買収し、現地100%法人を設立する」(NYタイムズ、11月2日付け)。
マレーシアとも25年間のガス長期契約を締結し、250億ドルという破天荒の商談。
中国は、来週のアセアンとの会議では10ヶ国それぞれと目玉プロジェクトの契約書に温家宝首相がみずからサインし、会議中だけでも十億ドルもの契約を発表する手筈という。
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(読者の声1)貴誌1607号「神奈川のNY生さん」。
「規範に糞がつくほど真面目な高校が三十年前信州の一隅にあったという例証です」とありました。
これは長野県だけでなく当時は全国そうだったはずじゃないかな?
なにしろ当時の国立大は8科目、否応なしに勉強せねばならなかった。僕も文系だが理科は物理・化学をとった。今の受験科目は何科目か知らないが、少なければ楽というものでもないのじゃないかな?
むしろ少数だと英語ができる帰国子女に極めて有利で、不公平じゃないか。ああそうか、NY生さんは30年前か!僕は50年前だから事情が違うかも知れない。
憂うべきは一流大でも物理・化学を知らない理工系学生がいることだ。これじゃ日本以上に受験大国である中国・朝鮮など東アジア諸国に置いてきぼりをくう恐れがある。
思うに受験も通り過ぎれば懐かしい青春の想い出、評価が公平で、努力すればそれなりに成果が出るし、人間の深みもます。先憂後楽という言葉があるが、受験の苦闘がなければ僕も怠け者のまま一生過ごした可能性がある。
(MI生)
(宮崎正弘のコメント)受験競争は、ある意味で人生最初の戦争というわけでもありますから。ハングリー精神をなくした国家は活力を失う。それもまた歴史の法則。ですか。
四十二年前、国公立大学の受験科目は8から9でしたね。小生は最初から私学志望でしたから三科目で済ませましたが(苦笑)。
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平成18年(2006年)11月3日(金曜日)
通巻第1608号 (11月2日発行)
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このままだと東南アジアは全て中国の子分になっちゃうね。
by日本のお姉さん