恐ろしいチャイナの本音と建前
こんなことして何になる? 「本音とタテマエ」はもう通用しない
「中国でまた何かが起ころうとしている・・・・、あの時、そう反日デモが起こったときと良く似ている」
私は、ここ数日に報道された中国関係のニュースを見聞きしてそう思った。
昨年春に中国各地で起こった反日デモ。 あのとき、私は上海に住んでいた。北京で反日デモが起こり、次は上海で大規模な反日デモが起こるではないかと日本のマスコミ報道が過熱していく・・・・。 5年以上を上海で過ごし、SARS、鳥インフルエンザ蔓延時も上海にいた私だ。経済発展のめざましい、国際都市として成長し続けている上海では反日デモは起こったとしても、市当局が封じ込めるだろうと楽観視していた。
___反日デモ当日。インターネットの掲示板を見た若者が上海人民公園に集結。デモ隊がとりあえず「反日デモ」という名目で街をパレードして終わると誰もが思っていたが、途中から様子が変わっていく。学生とは思えない地方からの出稼ぎ労働者、一般市民がデモ隊に加わり、その行動、言動が過激になっていく。南京路にある人民公園から、日本総領事館がある虹橋地区へ数時間後に辿りついたとき、集団ヒステリーを起こしたような状態となっていた。
日の丸を焼くもの。虹橋地区の仙霞路沿いには日本料理店が沢山あるのだが、日本語の看板の目だった日本料理店のガラスを壊し、店の内部を破壊し、強奪するもの。石を投げ、誰かが用意した卵や、投げつけるとインクが飛び出す風船を投げつけるものもいた。大人に扇動され、石を投げつける小学生の子供たち。「よくやった」と褒める大人たち。
日本総領事館前で彼らの興奮はピークを迎える。虹橋地区、そこの近くにある古北新区は日本人の居住区もあるのだが、実は「民工」と呼ばれる地方からの出稼ぎ労働者の長屋みたいな集落もあることは意外と知られていない。当時、マンション建設ラッシュにあった古北新区、外国人が居住していることから、そこの使用人として職を探そうと家族で出稼ぎにきている地方の人が週末とあり、その騒ぎに加勢した。
中国人が運転しているのにもかかわらず、たまたま日本総領事館前を通りかかってしまった日本の有名メーカー制の高級セダン。破壊者と化したデモ隊はその車を見つけるや否や、車を破壊し、運転していた中国人をつるし上げたという。彼らの興奮は冷めずに、ついに日本総領事館を標的に、石を、卵を、ペットボトルを、インクの入った風船を投げつけていった。その間、その場にいた公安は静止しようとはしなかったという。ついに公安が静止したかと思えば、実は目立たぬところに大きな観光バスのようなものが停車してあり、「どうぞ、これに乗ってお帰りください」と大半の人は帰宅の途についたとか。
バラバラになりつつあったデモ隊はその後、古北新区まで行進していく。古北新区には日本語の看板が沢山あり、日本人も多く住んでいる。日系のコンビニエンスストアのガラスが破壊され、商品を強奪していったデモ隊もいたらしいが、彼らは地方からの出稼ぎ労働者だったとも聞く。 ___その翌日、私は用事があり、古北新区を訪れていた。日本語の看板に紙が覆われ、日本語が隠されている。破壊により倒れた木々。破壊された日本総領事館を実際にこの目にしたのは、デモから1週間経った後だったが、窓ガラスは割れ、壁はペンキ、卵で薄汚れていた。
上海に5年も住み、中国人が、中国が好きになり、このままずっと住みたいと思っていた私にこの出来事は衝撃をもたらした。自分の今まで信じてきたもの、自分の価値感がずべてひっくり返ってしまうぐらいの衝撃・・・・。 中国語、中国の文化、中国人の生活に触れることにより、私は日本に住んでいたら知りえない生の中国を知ることができた。これは私にとって貴重な経験となり、これからの生活に大きな影響を与え、日本に帰国しても中国とは何らかの形で携わっていきたいと信じて疑わなかった。
しかし、この反日デモによって私の中で何かが変わった。私は中国のことを知ったつもりでいたが、それは実は「外国人向けに作られた中国」ではなかったのか? 私が接していた中国人というのは、皆フレンドリーで日本人に対する偏見を持っていたとしても、それを露骨に表すような人はいなかった。だが、実は彼らは限られた人たちであり、実は日本人に会ったこともないのに、憎悪と怒りをもつ中国人のほうが多いのではないか?
彼らが何故日本人にフレンドリーだったかと言えば、日系企業で働き、日本人と実際に接している。時として日本へ出張し、日本を知っている。日本語を自在に操るぐらいだ。あそらく日本に対して嫌悪感はあまりなかったのではないか。彼らは、こんなこと(反日デモ)がおこると、自分たちの立場も厳しくなる、日本のことを何も知らない奴に限って、当局に煽られるんだ。学生なんかは反日教育を叩き込まれているから、乗りやすいが、その影で彼らは多くの日本製品を使っていることに気がついていない。本当に矛盾している。おかしい、と本音を語ってくれる人もいた。
しかし、大半の中国人は政府によって作り上げられた「敵国日本」のイメージに洗脳され、自分たちが日頃抱えているストレスや生活に対する不満を、それで発散しようとする。
青樹明子著の「小皇帝」世代の中国という新書を読んだことがある。やはり私と同じように北京に5年以上住み、ラジオパーソナリティーとして中国の若者と交流を深めていた筆者が、反日デモの前後で中国はどう変わってしまったのか、中国の若者が抱える心の闇は何なのか、どうして反日デモが起こってしまったのか中国の若者の視点に立ち、語られている興味深い内容だった。
特に、私は冒頭の北京で起こった反日デモに参加した若者の手記の内容に衝撃を覚えると同時に、中国政府がインターネットを利用
私は、ここ数日に報道された中国関係のニュースを見聞きしてそう思った。
昨年春に中国各地で起こった反日デモ。 あのとき、私は上海に住んでいた。北京で反日デモが起こり、次は上海で大規模な反日デモが起こるではないかと日本のマスコミ報道が過熱していく・・・・。 5年以上を上海で過ごし、SARS、鳥インフルエンザ蔓延時も上海にいた私だ。経済発展のめざましい、国際都市として成長し続けている上海では反日デモは起こったとしても、市当局が封じ込めるだろうと楽観視していた。
___反日デモ当日。インターネットの掲示板を見た若者が上海人民公園に集結。デモ隊がとりあえず「反日デモ」という名目で街をパレードして終わると誰もが思っていたが、途中から様子が変わっていく。学生とは思えない地方からの出稼ぎ労働者、一般市民がデモ隊に加わり、その行動、言動が過激になっていく。南京路にある人民公園から、日本総領事館がある虹橋地区へ数時間後に辿りついたとき、集団ヒステリーを起こしたような状態となっていた。
日の丸を焼くもの。虹橋地区の仙霞路沿いには日本料理店が沢山あるのだが、日本語の看板の目だった日本料理店のガラスを壊し、店の内部を破壊し、強奪するもの。石を投げ、誰かが用意した卵や、投げつけるとインクが飛び出す風船を投げつけるものもいた。大人に扇動され、石を投げつける小学生の子供たち。「よくやった」と褒める大人たち。
日本総領事館前で彼らの興奮はピークを迎える。虹橋地区、そこの近くにある古北新区は日本人の居住区もあるのだが、実は「民工」と呼ばれる地方からの出稼ぎ労働者の長屋みたいな集落もあることは意外と知られていない。当時、マンション建設ラッシュにあった古北新区、外国人が居住していることから、そこの使用人として職を探そうと家族で出稼ぎにきている地方の人が週末とあり、その騒ぎに加勢した。
中国人が運転しているのにもかかわらず、たまたま日本総領事館前を通りかかってしまった日本の有名メーカー制の高級セダン。破壊者と化したデモ隊はその車を見つけるや否や、車を破壊し、運転していた中国人をつるし上げたという。彼らの興奮は冷めずに、ついに日本総領事館を標的に、石を、卵を、ペットボトルを、インクの入った風船を投げつけていった。その間、その場にいた公安は静止しようとはしなかったという。ついに公安が静止したかと思えば、実は目立たぬところに大きな観光バスのようなものが停車してあり、「どうぞ、これに乗ってお帰りください」と大半の人は帰宅の途についたとか。
バラバラになりつつあったデモ隊はその後、古北新区まで行進していく。古北新区には日本語の看板が沢山あり、日本人も多く住んでいる。日系のコンビニエンスストアのガラスが破壊され、商品を強奪していったデモ隊もいたらしいが、彼らは地方からの出稼ぎ労働者だったとも聞く。 ___その翌日、私は用事があり、古北新区を訪れていた。日本語の看板に紙が覆われ、日本語が隠されている。破壊により倒れた木々。破壊された日本総領事館を実際にこの目にしたのは、デモから1週間経った後だったが、窓ガラスは割れ、壁はペンキ、卵で薄汚れていた。
上海に5年も住み、中国人が、中国が好きになり、このままずっと住みたいと思っていた私にこの出来事は衝撃をもたらした。自分の今まで信じてきたもの、自分の価値感がずべてひっくり返ってしまうぐらいの衝撃・・・・。 中国語、中国の文化、中国人の生活に触れることにより、私は日本に住んでいたら知りえない生の中国を知ることができた。これは私にとって貴重な経験となり、これからの生活に大きな影響を与え、日本に帰国しても中国とは何らかの形で携わっていきたいと信じて疑わなかった。
しかし、この反日デモによって私の中で何かが変わった。私は中国のことを知ったつもりでいたが、それは実は「外国人向けに作られた中国」ではなかったのか? 私が接していた中国人というのは、皆フレンドリーで日本人に対する偏見を持っていたとしても、それを露骨に表すような人はいなかった。だが、実は彼らは限られた人たちであり、実は日本人に会ったこともないのに、憎悪と怒りをもつ中国人のほうが多いのではないか?
彼らが何故日本人にフレンドリーだったかと言えば、日系企業で働き、日本人と実際に接している。時として日本へ出張し、日本を知っている。日本語を自在に操るぐらいだ。あそらく日本に対して嫌悪感はあまりなかったのではないか。彼らは、こんなこと(反日デモ)がおこると、自分たちの立場も厳しくなる、日本のことを何も知らない奴に限って、当局に煽られるんだ。学生なんかは反日教育を叩き込まれているから、乗りやすいが、その影で彼らは多くの日本製品を使っていることに気がついていない。本当に矛盾している。おかしい、と本音を語ってくれる人もいた。
しかし、大半の中国人は政府によって作り上げられた「敵国日本」のイメージに洗脳され、自分たちが日頃抱えているストレスや生活に対する不満を、それで発散しようとする。

特に、私は冒頭の北京で起こった反日デモに参加した若者の手記の内容に衝撃を覚えると同時に、中国政府がインターネットを利用
して若者の思想を統制し、若者を
扇動していこうとする事実に驚いた。
この本で紹介されている、「小原正太郎」という日本人の名を語り、
この本で紹介されている、「小原正太郎」という日本人の名を語り、
中国政府を批判した人間がいた。
その内容は、ラジオの電波に乗り中国人が知ることとなる。
「そんな誹謗、中傷許せん!」と犯人探しが始まったが、
実際に逮捕された人間は中国人
だった!
2003年に起きたこの事件は「羅剛事件」として多くの中国人が知ること
となり、またネットの掲示板にも度々アップされていった。
だが、肝心の「犯人は "小原正太郎"
と名乗った中国人だった」
という部分だけが削除されて・・・・。
SARSが蔓延したとき、思うように外出できなかった若者を中心によってインターネットが普及し、今度は政府がインターネットを利用して若者の思想を統制しようとする。だが、インターネットというのは新聞、テレビのようにはいかない。URLを入力すれば、あるキーワードで検索すれば自分たちが隠してきた「本当の中国の姿」が海外のメディアにどのように報じられているか分ってしまう。そんなインターネットのメリットとデメリットを当局は認識し、閲覧規制という方法で自分たちにとって都合の悪い情報をシャットアウトしようとしたが、それもイタチゴッコ状態。 むしろ、その露骨な政策に国際的な信用を失いかけているのではないだろうか?
実際、私が上海で生活していたとき、Wikipedia、Googleの画像検索、GeocitiesドメインのHP、seesaaブログなどは上海からは閲覧することができなかった。時として日本のニュースサイトも閲覧できないこともあったが、それはごく短期間で済んでいる。
ここにきて、中国側は言論統制をより強化するとともに、日本叩きを強めているとしか思えないニュースを見聞きする。中国でも人気のあるP&Gの化粧品「SKⅡ」に有害物質が混入していたと報道。払い戻し等で混乱を引き起こすと同時に、本日のニュースではP&Gの支店に中国人が殺到し、事務所のガラスが割られる事態にまでになっているとか。日本から輸入した冷凍サンマから通常の22倍のヒ素が検出されたという報道。日本のアニメが青少年への有害にあたるとしてゴールデンタイムでの放映を禁止したというニュース___。
そういえば、昨年の春頃だったか。息子は卵アレルギーがあり、日本からある種の薬を取り寄せていたのだが、当局が規制を強化し、今後は日本製の薬は一切中国には持ち込めなくなったと、日系クリニックの医師から言われ愕然としたことを思い出した。
こうまで日本のものを叩く理由がまったく根拠のないもので、捏造されたものだと私は思っている。化粧品については、正規品の成分についてガチャガチャ文句を言う前に、中国国内ではびこる偽者商品を取り締まる方が先だろうと言いたい。「SKⅡ」などはパッケージが同じながらも、中身は有害な粗悪品という偽物が中国には存在する。高級デパートのロビーなどで「エスケーツー」などと片言の日本語で声をかけてくるオヤジがいるが、そういうオヤジが手にしているのは、100%偽物だ。
それを本物と思って購入した人間が、肌トラブルを起こしてどこかに訴えたとか聞いたことがあるが、それと今回の話を一緒にしているのだとしたらそれは大きな間違い。いや、もしかしたら当局は、それをうまく利用しているのかもしれない。 一方で、チャイナ・ドリームを夢見て中国へビジネス進出する企業を後を絶たないが、時に中国政府から理不尽なイチャモンをぶつけられ、窮地に立たされる可能性があるというリスクも企業側は念頭に入れておいたほうがいい。「自分たちには関係ない」という甘さを中国は突いてくる。何かあったときのために、迅速に対処、的確な判断ができるような体制を整えていくべきだと思う。
___長々と自分の不満、愚痴に近い中国への思いを垂れ流してしまったが、中国が「本音とタテマエの国」ということを改めて思い知らされたような気分だ。 中国流「本音とタテマエ」を理解することは、中国に何年住んだとしても理解できないという思いもあるが、それでも、私は中国での思い出を引きずりながら、こうして中国の動向が気になって仕方がないのである。 ・・・・結局、「嫌い嫌いも好きのうち」なのかもしれない。
SARSが蔓延したとき、思うように外出できなかった若者を中心によってインターネットが普及し、今度は政府がインターネットを利用して若者の思想を統制しようとする。だが、インターネットというのは新聞、テレビのようにはいかない。URLを入力すれば、あるキーワードで検索すれば自分たちが隠してきた「本当の中国の姿」が海外のメディアにどのように報じられているか分ってしまう。そんなインターネットのメリットとデメリットを当局は認識し、閲覧規制という方法で自分たちにとって都合の悪い情報をシャットアウトしようとしたが、それもイタチゴッコ状態。 むしろ、その露骨な政策に国際的な信用を失いかけているのではないだろうか?
実際、私が上海で生活していたとき、Wikipedia、Googleの画像検索、GeocitiesドメインのHP、seesaaブログなどは上海からは閲覧することができなかった。時として日本のニュースサイトも閲覧できないこともあったが、それはごく短期間で済んでいる。
ここにきて、中国側は言論統制をより強化するとともに、日本叩きを強めているとしか思えないニュースを見聞きする。中国でも人気のあるP&Gの化粧品「SKⅡ」に有害物質が混入していたと報道。払い戻し等で混乱を引き起こすと同時に、本日のニュースではP&Gの支店に中国人が殺到し、事務所のガラスが割られる事態にまでになっているとか。日本から輸入した冷凍サンマから通常の22倍のヒ素が検出されたという報道。日本のアニメが青少年への有害にあたるとしてゴールデンタイムでの放映を禁止したというニュース___。
そういえば、昨年の春頃だったか。息子は卵アレルギーがあり、日本からある種の薬を取り寄せていたのだが、当局が規制を強化し、今後は日本製の薬は一切中国には持ち込めなくなったと、日系クリニックの医師から言われ愕然としたことを思い出した。
こうまで日本のものを叩く理由がまったく根拠のないもので、捏造されたものだと私は思っている。化粧品については、正規品の成分についてガチャガチャ文句を言う前に、中国国内ではびこる偽者商品を取り締まる方が先だろうと言いたい。「SKⅡ」などはパッケージが同じながらも、中身は有害な粗悪品という偽物が中国には存在する。高級デパートのロビーなどで「エスケーツー」などと片言の日本語で声をかけてくるオヤジがいるが、そういうオヤジが手にしているのは、100%偽物だ。
それを本物と思って購入した人間が、肌トラブルを起こしてどこかに訴えたとか聞いたことがあるが、それと今回の話を一緒にしているのだとしたらそれは大きな間違い。いや、もしかしたら当局は、それをうまく利用しているのかもしれない。 一方で、チャイナ・ドリームを夢見て中国へビジネス進出する企業を後を絶たないが、時に中国政府から理不尽なイチャモンをぶつけられ、窮地に立たされる可能性があるというリスクも企業側は念頭に入れておいたほうがいい。「自分たちには関係ない」という甘さを中国は突いてくる。何かあったときのために、迅速に対処、的確な判断ができるような体制を整えていくべきだと思う。
___長々と自分の不満、愚痴に近い中国への思いを垂れ流してしまったが、中国が「本音とタテマエの国」ということを改めて思い知らされたような気分だ。 中国流「本音とタテマエ」を理解することは、中国に何年住んだとしても理解できないという思いもあるが、それでも、私は中国での思い出を引きずりながら、こうして中国の動向が気になって仕方がないのである。 ・・・・結局、「嫌い嫌いも好きのうち」なのかもしれない。