スタイリストのお仕事 | 日本のお姉さん

スタイリストのお仕事

スタイリストのお仕事は、見かけよりも結構、重労働なのだそうだ。


まず、クライアントと打ち合わせをして、どういうコンセプトでモデル


の撮影をしたいのか確認し、相手の希望通りの衣装を揃えるのだが、


どのモデルが来ることになるのか決まってからモデルのサイズに


合わせて服や靴を揃えるので、モデルが決まる日と撮影日の期間が


短いと、ちょっと大変なのだそうだ。


また、舞台設定が必要な場合、撮影の小道具や大道具の準備もする。


大抵撮影専用のレンタルショップで借りられるが、そこで見つからない


道具は店で購入しなければならない。クライアントの言う予算によっては


自由に金を使える場合と使えない場合がある。モデルの衣装は普通は


撮影後は全部スタイリストのものになるが、クライアントの金で購入した


もので、スタイリストがいらない衣装は、撮影終了後、まとめて相手に


お渡しする場合も多い。モデルさんには、撮影で使った衣装は差し上げ


ることはない。モデルのヘアーメイクやメイクは、スタイリストが一人で


仕上げるが、別にヘアーメイク担当のプロを雇う場合もある。また、他の


仕事で忙しい場合、助手を使って小道具、大道具、衣装を選ばせる場合


もある。自分がクライアントに名指しで選ばれても、忙しかった場合、


仲間に仕事を回すことがある。当日、本人が行かなくてもクライアントは


文句の言いようがない。モデルの撮影日は決まっているからだ。


モデルは自分で飲み物を用意してきているが、撮影に入るとコンビニに


買い物に行く時間など無いので、モデルの飲み物がなくなる前に、先に


モデルが飲んでいるものと同じ飲み物を用意する。コンビニでは


ストローをもらう。


口紅がとれるので、撮影中はモデルはストローを使って飲むのからだ。


撮影の始まる前に、クライアントに撮影に使う衣装の確認をしてもらい、


衣装にアイロンをかけてハンガーに吊しておく。衣装は、値札を丁寧に


取って、保存しておき、使用後にまた値札を戻して新品に見えるようにし


て、後でリサイクルルショップで売れるようにする。クライアントには、


衣装や道具にかかった費用を細かく知らせる必要があるので、何を


購入したか、何をレンタルしたかなど、きちんとメモを取る。


撮影中は、モデルの髪の乱れや衣装のしわに注意する。ポーズが


変わるたびに、えりが折れていたり、裾がめくれていたり、ネックレスが


偏っていたりしないかチェックして、すばやく直す。衣装がだぶついて


いたら、背中でクリップで止める。髪が崩れてきたら、ピンで留める。


時には衣装をモデルに合わせて縫い縮めたりもする。クライアントの


希望の衣装が店に無い場合は、モデルに合わせて家で衣装を縫った


りする。スタイリストに支払われる費用はそういう費用も込みの値段だ。


高くて当たり前なのだ。買ってきた衣装に刺繍を入れて加工したりも


する。モデルにはサイズを事前に聞くが、撮影後、衣装や靴は、自分が


使うことができるサイズを購入しておく。クライアントの予算がぎりぎりの


場合、自分の費用で衣装を購入する時もある。いい仕事がしたくて予算


が足りなくてもモデルにぴったりの衣装を用意する場合もある。


またモデルやカメラマンが機嫌良く仕事ができるよう、ちょっとした気配り


などをする。お昼ご飯の時間など、クライアントが「食事にしましょう。」と


言ってくれる場合はよいが、言ってくれない場合は、それとなくカメラマン


の撮影の都合の切れ目を狙って、クライアントに「じゃ、休憩にしま


しょうか。」と、語りかけて時間を作る。モデルが疲れてきて顔に変化が


出てきた場合も、軽い休憩を取るようにクライアント、カメラマンの双方


に促す。クライアントによっては、撮影に最初しか顔を見せない場合も


ある。衣装によって、ヘアーとメイクを変えて変化をつける。


クライアントが口出しして注文を付ける場合は、それに合わせる。


あくまでも、主役はクライアントなので、自分が「こうした方がいいのに。」


と思っても、意見を聞いてもらえない場合もある。ワガママなクライアント


はカメラマンに多大な注文を付けて撮影現場の文句などをバンバン言う。


そうして、彼らはカメラマンを精神的に疲労させ、良い仕事をするジャマ


をする。センスのあるクライアントなら良いが、センスも無いのに口を出す


人が現場にいると大変だ。打ち合わせで担当者の目指すものを聞いて


いるのに、一つの会社の中でトップの意向と現場に来た者の意見が違う


場合、できあがった写真がトップが気に入る確率は少ない。


そういうことは、広告代理店でも起きる。企業のトップの求める広告と、


担当者の求める広告のイメージが違えば、いくらデザイナーが担当者の


意向に沿ったものを作っても、仕事をもらえることは無い。


企業のトップにいいセンスがあれば、デザイナーもいい仕事ができる。


企業のトップの頭の中のイメージにぴったりくるデザインを創り出して、


形にするのがデザイナーだ。いくら担当者のイメージに合わせても、


トップがそれを気にいらなければダメだしをくらうことになる。


さんざん、担当者の好みに合わせて何度も書き直しをしたあげく、トップ


に気に入られず、結局最後に採用されたデザインは始めに担当者に


断られたデザインだったりする。正直、担当の脳内のイメージなどどう


でも良く、企業のトップの脳内のイメージにかなっているかどうかが大事


なのだ。


カメラマンにも同じことが当てはまる。アーティストが企業と仕事をする


ときは、自分の芸術性は殺してクライアントの意向に従って物を創る。


ちょっとでも自分の良いと思う仕事ができれば「いい仕事ができた。」と


いうささやかな喜びが得られる。スタイリストも仕事が多くなると、ひとつの


仕事にあまり精魂を使い果たしておれないので、助手にまかせて手抜き


ができる所は手を抜く。重要な場面が終われば助手にまかせて次の仕事


に出かける場合もある。助手がクライアントとの会話中に「大手M社の


カタログショッピングの会社の服を頼んで、使ったらほとんど返品して


いる。」と、言ってはいけないことをクライアントにしゃべっている場合も


ある。助手のやっている悪事でも、使っているスタイリストまで評判が


悪くなるので、助手の教育も必要だ。


撮影が終われば、モデルのメイクを落とし、ヘアーを街を歩ける状態に


戻す。モデルの忘れ物やスタイリストの持ち込んだ道具、衣装や小物


などの忘れ物がないかチェックする。


レンタルしたものを全て返し終わり、請求書を送ってお金を受け取れば


仕事は終わりだ。クライントに出来がった雑誌やパンフレットを記念に


一部もらえたらもらっておく。いい仕事をすれば、口コミで仕事が増えて


いく。挨拶ができるかどうか、性格の良さも仕事の量に関係してくる。


スタイルストのお仕事は、カメラマンの助手として行う場合もある。


雇い主が誰であれ、いい仕事ができてお金も入れば嬉しいそうだ。


スタイリストは、撮影が始まる前も撮影中も動き回っているので、


疲れもひどいらしい。化粧品の新製品の情報やファッションの情報は


もともと好きなことなので、自然に入ってくる。クライアントやモデルとの


打ち合わせにはおしゃれをしていく。クライアントはスタイリストの服装も


よく見ている。自分の名刺や化粧品の仕入れや自分の着る物も普段


からきちんと揃えて、いつでもスタイリストとして動けるようにしておくの


だそうだ。