携帯電話を買いに行く | 日本のお姉さん

携帯電話を買いに行く

携帯電話に付いているダイヤルが調子が悪くて困っていたのだが


いよいよひどく壊れてきて、メールを打ちたくてもできない状態に


なった。修理に出したら2週間代わりの電話を貸してくれるって、携帯


電話の会社の人は言うけど、新しく変えた方が安くつくかもしれない。


新しい携帯電話がいくらか調べに行ったら長く使っていたのでポイントが


溜まっていて、なんと8000円も引いてくれるという。


携帯電話の店の女の子はたくさんのお客さんを相手にしゃべっている


から、もう言うべきことが決まっていて覚えているのだろう。


まるでロボットのように感情のこもらない声でぺらぺらしゃべる。


まるでマニュアル通りにしゃべるジャンクフードの店員さんの挨拶のようだ。


こちらは何もしゃべらずに済むので楽だと言えば楽だが、何だか変な感じ。


コンビニでも黙って商品を出せばそれで済む。こんな風に黙って過ごすの


に慣れたら人間でなくなるような気がするので、わざとコンビニでも


「これください、、、。」というわたしは、ただのいじっぱりなのかな。


古い携帯の情報はほとんど全部移し替えてくれるということなので、


新しい携帯電話を買うことにした。情報を移し替えている様子を見ようと


お店のパソコンの画面をのぞこうとしたら、「あっ!お客様の個人情報の


関係でお見せすることはできないんです!」と女の子に怒られた。


古い携帯電話から情報をいったんパソコンに取り込んで、それから


新しい携帯電話につないで情報を入れてくれるそうだ。


わたしの場合は写真を撮りすぎていっぱいになっていたので、情報を


移し替えるのに45分かかるから、どこかで時間をつぶしてまた来て


くださいと言われた。パソコンに携帯電話の情報を入れている間はパソ


コンの画面には何も写らないそうだ。


自分が携帯電話のカメラで写した写真をお店の人に見られたら嫌だな、、


と思ったのでわざわざ見えるのか聞いた。


わたしの携帯電話の中には、大好きだった猫が死んでしまった時に


撮った猫のデスマスクや、お花で飾られた猫の死体などが写っている


ので見られたくなかったのだ。わたしにとっては、かわいい猫のデス


マスクだが、他人にとっては恐い写真かもしれない。


お店のパソコンの画面を見に店のカウンターの裏まで行った時点で


挙動不審な人物に思われているかもしれない。


家に帰ってから新しい携帯電話をベットの上に寝転がって


「どうやって動かすのかな?」と、あちこちボタンを押して調べていると、


データフォルダの中に以前写したセルフポートレートが全部入れてある


のを見つけて安心した。


ダイヤルの調子がおかしくなってからも携帯のカメラで写真を撮っていた


のだが、そのたびに「データーの要領が足りないので保存できません。


別の写真を消しますか?」という画面が現れ、そのたびに回りにくい


ダイヤルを無理矢理回してどうでもいい写真を消していた。


それらの後から写した写真はわたしがいらないと思って消した写真が


あった場所に入っていた。


だからデーターファイルの中の写真の順番はめちゃくちゃになっていた。


ついでに変な写真を消去しようと全部チェックしていたら、写したときは


可愛いと思っていた自分の写真がそうでもないということに気が付いた。


冷静になって見てみると、スタイルもそんなに良くも無い。しかし、


この写真もあと10年してから見ると、とっても可愛く見えるのだ。


わたしは、変な写真はアルバムにいれずに机の引き出しにどんどん入れて


いたのだが、ある時、その写真を出して見てみると、20代の時に撮った


自分の写真は本当に可愛いのだ。当時は変な顔に写ったと思って


ある意味捨てた写真だったが、今見るとどれも本当にきれいなのだ。


どんな女の子も若い女の子というのは、若いというだけで綺麗なのだと、


知っておくべきだ。自分のお気に入りの写真は当時遠距離恋愛をして


いたと勘違いしていた人に送っていたので手元には無い。


その人とは、ある日会ったらお互いに性格や考え方が全く合わないという


ことが直ぐに判明してしまい「あなたとは結婚しない。」と宣言されて


しまった。その時、不思議と悲しさも何もなく、「それは残念!」という会話


で終わった。それからはお友達として付き合ったが、直ぐに音信不通に


なったので友達でもなくなったようだ。


「こんなことなら、日本に会いに来てって言わなきゃよかった。」と思った。


つまりわたしは恋していると思っている状態が心地よかったというわけだ。


相手がわたしに過去につきあった人は何人か聞いてきたので「そんなこと


聞いてどうするの?嫌だ。」と言うと正直に答えないと付き合えないと言う。


この人は、ダメな人だなと分かって正直さめた。試しに「二人。」と言うと


「正直に言ってくれてありがとう。そのことを感謝します。でもボクはそれを


知ってしまったから、もう以前のボクではいられない。ごめんなさい。


あなたとは結婚するつもりで付き合おうと思っていたけど、無理です。」


なんて言われた。やはりアラブの国の人は頭が固い。アラブの国にも


クリスチャンはいるのだが、その人はいわゆる「隠れキリシタン」だった。


イエス・キリストは信じるけれど、周りの人に黙っておきたいのだと言う。


クリスチャンになったと言ったら家族に殺されるし、仕事で必要な資格も


イスラムの時に取ったモノだからそれも奪われると言う。今となっては


本当にクリスチャンだったのかどうかも分からない。


アラブの国で生きるのは面倒くさそうだから日本に来て住めば?と軽く


頼んで日本に来てもらったのだが、日本の忙しい様子にも恐れをなした


ようだった。わたしがいいかげんな人間だと分かったので、付き合えないと


直ぐ決まったし、わたしも会社が忙しくてほとんど観光の案内もできず、


自分の会社が終わってから一緒にレストランで晩ご飯を食べるだけの


日々だったのでつまらなかったようだ。


自分で東京に出かけて一ヶ月日本を観光をしてその後自分の国に帰らず、


外国に行ってしまった。


外国に行って、直ぐにその国で出会った同じ国の女性と結婚したという


ウワサを友達から聞いたときは、なぜかショックだった。わたしとはいろ


いろ言い訳して結婚しなかったのに、その人とは直ぐに結婚したのが


信じられなかった。友達は、「その女性は国で彼と同じ職場だった人


だよ。最初からその女性にその国に行くように呼ばれていたのかもしれ


ないね。」と言っていた。わたしも日本においでと言って呼んだから、


その人は女性に呼ばれるタイプの人だったのかもしれない。


どちらかと結婚するつもりでいたのだろうか。わたしと彼女に二股かけ


つつ、どちらかに未来をかけて外国に出たのだろうか。今でも謎だ。


命をかけて愛していると思っていたのだがその愛も,その人の行った外国の


砂漠の蜃気楼と同じような幻(まぼろし)だったのだろうか。


マイケル・ジャクソンともこみちをミックスしたような可愛い感じの人だった。


その時の写真を見てみたら、わたしもそんなに楽しそうではない。なんとか


その人と結婚して日本に残そうとそればかり考えていたから、余裕が


無かったのだ。「結婚しない。」と宣言された時、なんだかホッとしたような


感覚があった。それまでは入国管理局やら市役所やらいろいろ回って


変に忙しかった。音信不通になったときに、わたしはその人を本当は愛し


ていなかったのだと思うことにした。結婚したかっただけだ。


今は見ないけど時々そいつを探して走っている夢を見たし、しばらくは


時々思い出してちゃんと世話できなかったことを後悔していた。


結婚できないと始めから分かっていたら、外国の友達が来たらいつも


するように、京都や奈良や神戸を案内してあげたのに。


写真を見ると、そんないろいろな過去を思い出す。今度の携帯電話は、


写した写真はカードに記録してカメラ屋さんでプリントできる。


一度パソコンの中に入れてから、CDに入れて持って行かなくてもいい。


それがめんどうくさくて、写真はずっと携帯電話のデータファイルに


入れっぱなしだった。まるで頭の中の記憶と同じだ。入れっぱなしだと


忘れていくんだ。紙にプリントして時々眺めると細かい事まで思い出す。


思い出すと悲しい思い出もあるし楽しい思い出もある。


それでも一度しかないわたしの人生だ。いろんな過去があって今の


わたしができあがった。だから、どの思い出もいとおしいわたしの一部だ。


幸い、忘れたいような嫌な事件や事故には会っていない。


横田めぐみちゃんとご両親は本当にお気の毒、、、。


レイプされた人もいるのに、わたしはそんな目には会わずに済んでいる。


でも辛い思い出を持っている人の気持ちを分かってあげる人になりたい。


今度の携帯電話では、楽しい思い出になる写真をたくさん撮れたらいいな。