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2010年に向かって中国の環境・エネルギー問題は解決されるのか(4)-天野宏欣(NRI上海)

 前回までに述べてきたように、省資源型、環境配慮型の成長に向けた計画や目標は様々掲げられているが、今後中国の環境・エネルギー問題は計画通りに解決されていくのであろうか。定量的な予測は出来ないものの、経済発展を前提とする以上、例えば前回の国務院の決定が目指すように、わずか5年で重点地区と都市部の環境水準の改善と生態環境悪化の抑制がなされ、わずか10年で環境水準と生態環境状況が改善されることは、到底望めないと考えられるのではないか。

 日本の工業化は20世紀初頭に始まったが、1900年代には既に足尾銅山、日立銅山等における公害問題が発生していた。60年代の高度成長で全国規模の問題となって対策が強化され、「環境水準と生態環境状況の改善」が見られてきたのは、80年代に入ってからである。

 中国の工業化の歴史は30年程度である上、工業化が始まったばかりの地域もあり、国民全体が発展を望む以上、汚染はこれから発生すると言ってもおかしくない。中国は過去先進国が経験し数倍の速さで発展してきていると言われているが、環境問題においても科学技術が発達した現代において、従来以上に加速度的に解決できるという理論はない。世界中の先進国において、持続可能な発展が実現している例はまだないのが現状であるからだ。

 一方、政府の様々な機能強化と、地方政府の成長に対する評価指標の変化により、中国各地の環境インフラ投資が今後継続的に増加することは期待される。特に大都市と生態環境が悪化している地域に対する環境投資の増加により環境容量が増加し、例えばこれまで汚染垂れ流しであった工業地区が、部分的に処理されるように変わってくることで、中国全国の環境悪化の速度が緩和されることが予想される。

 また、省エネに関する目標は、前述のように達成は非常に難しいと思われるが、各種取組みによってエネルギー消費の状況を把握する精度が高まることで、省エネ投資等の対策の重点が明らかになってくる。重点対策を進めることで、長期的には、エネルギー消費上昇の伸び率が抑えられることが期待される。(執筆者:野村綜研諮詢(上海)有限公司 天野宏欣)

(サーチナ・中国情報局) - 9月26日