宮崎正弘著『中国から日本企業は撤退せよ』
権力の市場化の本質をえぐりだし、日本企業に猛省をうながす
宮崎正弘著『中国から日本企業は撤退せよ』
(阪急コミュニケーションズ刊)
昔々、日本は今のシナ人とは民族・言語の異なり心情の別なる大陸人からさまざまな文物を畏れつつ摂取した。
それらを日本人の心情に合うかたちに変えて日本文化を育んだ。
最たるものは漢字の日本の書き言葉への窯融だ。日本人の心情の窯の中で六百年間余じっくり融かし民族に合うかたちに作り直し変容させて用いた。他国の文字を用いながら自国の文化を失わず育む才は日本民族特異のもの。漢字の前にアルファベットが入ってきていたら同じことが起きていただろう。
つまり日本文字は漢字やそれから派生させた”かな”でなくてもよかった。漢字を発明し作り上げた漢代までの民族に感謝の念を抱いても彼らは大陸のどこにもいない。
漢民族は北から来た異族に征され中原を追われ隋唐の天下となった。
鮮卑族の唐文化やその後の宋文化は北から侵略してきた匈奴、モンゴル、女真族に呑み込まれていった。
女真満洲族の下で花開いた清文化は二十世紀初頭、被支配民であった土着民(いまの中国人の数代前)に破壊された。
そのような大陸に思いを致しながら『日本企業は中国から撤退せよ』を手に取った。
なかなか衝撃的なタイトルである。日本古来からの大陸との付き合い方を省みさせてくれる著書である。
著者の創語と思われる゛政劣経烈゛は云い得て妙だ。
大陸と日本の交流は古えよりあった。政治的な交流はなくても、人や財貨はさかんに行き交っていた。今も将来もそれでいい。
コアは中共幹部・権力に連なった者どもの経済活動や金融・資本市場での横暴・狼藉・乱脈・私利私欲ぶりを描いた箇所にあると思う。
中国に進出した日本企業は地元政府と懃になるだけではダメで、北京政府とも友誼を結び情報を得てその意を汲みとらなければならない。
それらに要する金銭コストは計れず、なかなか首尾はおぼつかず、従いカントリー・リスクは無限大∞なのだ。
しかしヤオハン然り。中国で権力者に近付き過ぎると反対勢力に替わったとき、勢力争いに巻き込まれるとまことに危うい。
某商社の上海オフィスは浦東地区の巨大会議場に隣接した閑静な敷地にあり当時の上海市トップとのスペ・コネで払い下げを受けた代物だ。
某商社はもとより、金融業界・証券業界・保険業界・実業家らがこの本を読めば肝に銘じることは少なくない。この書は中国進出への戒めを説いている。同書を手にすれば中国進出の夢から醒める。
霞が関人も同書を拳拳服膺し、中国進出の夢を見る、迷える日本企業に正しい指針を与えるべきである。
米国は9.11後、自国をテロから衛るために愛国者法をつくった。
日本は中国の魔手から自国企業を守るために愛国的中国進出ガイドラインを設けるべきである。安倍政権ならやってくれるだろうかと同書を読みながらそんな思いにしばし耽った。
日本はその富で世界から有り難がられている。
中国に財貨を吸い取られたら”中国瓦解”の前に”日本消失”である。
同著の次は、『日本に進出する中国企業の危うさ』か『日本進出の中国企業との正しい付き合い方』をお願いしたい。本心は『・・・と付き合わない法』でいいのだが。
(西 法太郎)
(宮崎正弘新刊『中国から日本企業は撤退せよ』は「阪急コミュニケーションズ」刊。定価=1680円)。
宮崎正弘著『中国から日本企業は撤退せよ』
(阪急コミュニケーションズ刊)
昔々、日本は今のシナ人とは民族・言語の異なり心情の別なる大陸人からさまざまな文物を畏れつつ摂取した。
それらを日本人の心情に合うかたちに変えて日本文化を育んだ。
最たるものは漢字の日本の書き言葉への窯融だ。日本人の心情の窯の中で六百年間余じっくり融かし民族に合うかたちに作り直し変容させて用いた。他国の文字を用いながら自国の文化を失わず育む才は日本民族特異のもの。漢字の前にアルファベットが入ってきていたら同じことが起きていただろう。
つまり日本文字は漢字やそれから派生させた”かな”でなくてもよかった。漢字を発明し作り上げた漢代までの民族に感謝の念を抱いても彼らは大陸のどこにもいない。
漢民族は北から来た異族に征され中原を追われ隋唐の天下となった。
鮮卑族の唐文化やその後の宋文化は北から侵略してきた匈奴、モンゴル、女真族に呑み込まれていった。
女真満洲族の下で花開いた清文化は二十世紀初頭、被支配民であった土着民(いまの中国人の数代前)に破壊された。
そのような大陸に思いを致しながら『日本企業は中国から撤退せよ』を手に取った。
なかなか衝撃的なタイトルである。日本古来からの大陸との付き合い方を省みさせてくれる著書である。
著者の創語と思われる゛政劣経烈゛は云い得て妙だ。
大陸と日本の交流は古えよりあった。政治的な交流はなくても、人や財貨はさかんに行き交っていた。今も将来もそれでいい。
コアは中共幹部・権力に連なった者どもの経済活動や金融・資本市場での横暴・狼藉・乱脈・私利私欲ぶりを描いた箇所にあると思う。
中国に進出した日本企業は地元政府と懃になるだけではダメで、北京政府とも友誼を結び情報を得てその意を汲みとらなければならない。
それらに要する金銭コストは計れず、なかなか首尾はおぼつかず、従いカントリー・リスクは無限大∞なのだ。
しかしヤオハン然り。中国で権力者に近付き過ぎると反対勢力に替わったとき、勢力争いに巻き込まれるとまことに危うい。
某商社の上海オフィスは浦東地区の巨大会議場に隣接した閑静な敷地にあり当時の上海市トップとのスペ・コネで払い下げを受けた代物だ。
某商社はもとより、金融業界・証券業界・保険業界・実業家らがこの本を読めば肝に銘じることは少なくない。この書は中国進出への戒めを説いている。同書を手にすれば中国進出の夢から醒める。
霞が関人も同書を拳拳服膺し、中国進出の夢を見る、迷える日本企業に正しい指針を与えるべきである。
米国は9.11後、自国をテロから衛るために愛国者法をつくった。
日本は中国の魔手から自国企業を守るために愛国的中国進出ガイドラインを設けるべきである。安倍政権ならやってくれるだろうかと同書を読みながらそんな思いにしばし耽った。
日本はその富で世界から有り難がられている。
中国に財貨を吸い取られたら”中国瓦解”の前に”日本消失”である。
同著の次は、『日本に進出する中国企業の危うさ』か『日本進出の中国企業との正しい付き合い方』をお願いしたい。本心は『・・・と付き合わない法』でいいのだが。
(西 法太郎)
(宮崎正弘新刊『中国から日本企業は撤退せよ』は「阪急コミュニケーションズ」刊。定価=1680円)。