環境問題を理由に日本を追い出したサハリン2は、支那の横槍のせい。ロシアは環境なんか気にしていない
タイガの森林資源もロシアの魅力的な利権、貿易で70億ドルの荒稼ぎ
それでも三億ヘクタールの処女地が残り、伐採森林区域は全体の0・2%
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シベリアの森林資源は無尽蔵と言われる。大半が松、エゾマツ、樅。
いま、この森林一帯へ中国人労働者が大挙してはいり、木々を伐採している。貨車へ積み込み、一路中国へ。
内蒙古省とロシア国境をまたぐ満州里。
この地で目撃したのはひっきりなしにロシアからやってくる貨物列車。木材と石油を積んでいる。
黒龍江省の北端、黒河は対面のロシアへは河が塞ぐが、沿海州側へ廻るとスイフェンガは「国境ゲート」で繋がる。鉄道も通じているが、バス、トラックの往復が激しい。吉林省の軍春も陸続きだ。
国境地帯の殷賑については先々週もレポートしたが、とくに材木加工工場の夥しさに衝撃を受けた。
木材を加工し、建築ブームに湧く各地へ送り出す。一部は韓国企業がはやくも進出している光景も。
7月にロシアと中国はシベリア森林鉱区に「試験的開発」エリアを設定し、共同開発に入った。
このパイロットエリアは100万平方キロメートル。貸与期間は25年。中国は十億ドルを投資する。
ロシアからみると石油、ガスにつぐ天然資源の木材輸出はドル箱。過去十年間で輸出は十倍、五千万噸の輸出のうちの四割が中国へ向かった。
ロシア環境庁は自然破壊に繋がるとする環境保護活動家からの抗議に対して「全体の0・2%に過ぎない」と問題にもしていない。
しかしながら森林の持つ保水力と自然保護という循環作用を破壊することには間違いなく、次はどういう事態を生むか。
禿げ山だらけの中国に洪水と砂漠化が襲っていることを「他山の石」としないプーチンの遣り方がいつまでもつのか。
サハリン2に限っては、ロシアは環境問題を全面にだして工事の中止を容喙してきたが狙いはロシア資本ガスプロムの取り分をよこせという横からの悶着が本質である。
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中国が国連平和維持活動へ協力を拡大。
本当の意図は何か、EUからの武器輸出に直結の思惑か
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2006年9月現在、中国のUN平和維持活動への軍派遣は合計で
1650名。92年のカンボジアから開始された。
レバノンに、このほど1000名の大部隊を派遣することが決まり、
注目を集めている(ちなみにイタリア2500,フランス2000,ドイツ
2400など合計15000)。
国際政治の舞台でもあるが、日本は「戦闘地域」には派遣できず、
舞台には上がれない。これにより中国は欧州への発言力を強化する
ことは明らかで、ヘラルドトリビューンは「これにより欧州からの武器
輸出再開も視野に入れている」(9月20日付け)と書いた。
過去の中国の派遣“実績”は、カンボジア、コンゴ、リベリア、
東チモール。コソボ、ハイチ、アフガニスタン、ボスニア。
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『中国から日本企業は撤退せよ!』
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年)9月21日(木曜日)
通巻第1563号
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