今年度ノーベル平和賞候補に新彊ウィグル自治区の女性指導者が有力
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年)9月12日(火曜日)
通巻第1555号
今年度ノーベル平和賞候補に新彊ウィグル自治区の女性指導者が有力
VOAが米国亡命中のルビア・カーディル女史の名前を報道
中国にとって、侵略し征服してきた少数民族の指導者にノーベル賞が与えられる事態は望ましくなく、これを必死で避けるため種々の妨害をする。
嘗てダライラマ法王がノーベル平和賞を授与されたときも、直前まで露骨に政治的な妨害活動を展開した。
魏京生が有力になったときは、世界中で妨害、とうとう魏の受賞をつぶした。
さてVOA(ボイスオブアメリカ)は、スエーデン・アカデミーの有力議員アンネリー・エノクソンが次期平和賞候補に新彊ウィグル自治区の女性指導者の名を挙げたとして、大きく報じた。
ルビア女史は「ウィグルの母」としても知られる有名な存在で、侵略されたイスラム国家の独自な伝統と文化を重視し、この問題の「平和的解決」を世界に呼びかけている。
自身は実業家でもあったため、『フォーブス』誌が中国の富豪のひとり、として紹介したこともあったが、ウィグル自治区の全人代代表をもつとめ、経済事件に巻き込まれて起訴、八年の徒刑を言い渡されたため、05年に米国へ亡命した。
「ウィグルの母」」と言われて慕われる大きな理由は、彼女自身が十一人の子持ち。このうち五人は米国在住、ひとりはオーストリア。残る五人がウィグルに居住しており、このうちの四人が政治的迫害に曝され、一人はまだ監獄に収監されている、と伝えられている(『多維新聞』、9月12日付け)。
ノーベル平和賞は例年、十月に決まる。
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(読者の声) 日韓両政府は8日、ソウルで外務省課長級協議を開き、日本が今秋に予定していた竹島周辺を含む海域での環境放射能調査について、両国が共同で実施することで大筋合意した。
日本政府は、今回の合意について、「日韓の衝突や混乱を回避するための一時的措置」(外務省幹部)として、引き続き、事前通報制度の導入を韓国側に呼び掛けていく方針だ」(読売新聞2006年9月9日朝刊より)
問題点がいくつかある。
!)国際常識で、二つの国が共同で何かをやるということは両国の間に紛争や争い事がないものと見なされる。日韓ワールドサッカー共同開催さえもそうだ。まして、領有権でもめている竹島周辺での共同での海洋調査などは論外の筈だ。
!)韓国が既に実施した竹島周辺の海流調査は、今後日韓で共同調査をするのか。これも共同調査でやらなければ筋がとうらない。
!)韓国は゛我が国の海域での調査は我が国の許可が必要だ゛と言っているが当然の話だ。ただし、日本からすれば、韓国が海流調査をした海域も含め日本の海域の筈である。
!)日本の国民は、日本の外務省が言う韓国との不測の事態を恐れたり、不測の事態の回避を望んでいない。
もちろん不測の事態を望んでいる訳でもないが。日本の国民が望んでいるのは領土(竹島)問題の解決であり、解決のためのステップである。今回の日本の外務省が言いだし
た韓国との話し合いは、それとは正反対のものである。
自国の海域での調査に他国との合意は必要ないはずだ。他国が実力でそれを妨害する場合は、実力でそれを排除しなければならない。そして今回のような場合に韓国がはたして実力行使に出るかは未知数である。韓国はメンツや世間体を重んじる国である。
はたして日本の放射能海洋汚染調査の妨害行為にでるかは疑問である。
韓国が妨害行為に出た場合は、その時こそ日本は世界に竹島の問題を世界に訴えればよい。
不測の事態という訳の分からないものをおそれているのは、日本の外務省だけである。
!)また竹島は戦争でもなければ戻ってこないという人がいる。
私も基本的にはそうだと思う。これについては、私は過去に以下のメールを発信しています。
[実効支配は領有権主張の一つにすぎず、実効支配しているから領有権が確定するわけではない。実効支配をしていないが領有権を主張する側は他の手段を以って、意志表示をしなければならない。
先ず第一は軍事力を行使して奪い返すことだ。
しかし今の日本では非現実的だ。
つぎに島根県議会の決議であり、国会の決議であり、竹島切手の発行であり、国際社会への様様な絶えざる広報活動であるはずだ。
四百年間オーストリアに支配されたイタリア領が第一次大戦後にイタリアに戻った例がある。いくら戦争があったとは言え国際社会が、四百年前はイタリア領だということを知っていたからだ。
それはイタリアの努力でもある。
国際外交はこそこそとやるものではない。こっそりとやる場合もあるが、゛竹島の領有権の主張゛に関してはこそこそとやるべきものではないし、こっそりとやる必要のものでもない。
島根県の条例案も一部の外国プレスの取材により、ほんの少しではあるが国際社会に周知された。
禅の言葉に「雨垂れ石を穿つ」という言葉がある。今、日本が軍事力の行使が出来ないならかってのイタリアのように、また禅坊主のようにやるしかないだろう。
その間の韓国からの反論や抗議にははっきりと答えるべきだ。それを繰り返しながらしばらくは、国内や国際社会に日本の主張を周知させることからはじめるべきだ。
そうすれば、次の動きが必ずやってくる。
外務省首脳にそれが分かっていれば、毎日新聞での発言はありえない。
みんなで外務省のおじさん、おばさんたちにおしえてあげよう。]
外務省は韓国と共同で調査をする弊害を考え、日本の海域で独自調査をすべきである。それに対し韓国が何らかの行動を取った時、その時こそ外務省の真の出番ではないだろうか。もしそういうことが出来ないというなら今の外務省は不要である。
外務省の頭脳部分は内閣官房に置き外務省は指示されたことを実行するだけの機関に改組する必要があるだろう。
(KC生、目黒)
(宮崎正弘のコメント)軍事力で奪われてしまった領土が平和裡に帰ってきたのは小笠原、沖縄くらいです。
フォークランドを奪われたとき、サッチャー英首相は一瞬のためらいもなく軍艦を派遣し、犠牲を恐れずに領土を奪還しました。
それができない日本は普通のくにではなく、またそうなることを希求しない国民がまだ少なからずいる不思議な国です。
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(読者の声)『マオ』についての感想です。
『マオ』は毛沢東についての酷評に加えてチラホラと反日宣伝の南京大虐殺が入れてあります。
毛沢東については筆者らが十年かかりで研究したというのに日本についてはまったく検証がされていません。共産党の個人履歴制度が日本軍によるというのはまったくのウソです。中共の仕組みの多くはソ連KGBから指導を受けたものです。
したがって世界の反毛関心を利用して事実の反毛情報にウソの反日情報を入れるという手の込んだ反日作品と思います。共産党政権は毛沢東の死去30周年を大々的に祝おうとしないことからみて、毛沢東を否定したいのではないでしょうか。
中共とユアンの反日共闘に見えます。要注意です。日本は引き続き地道に否定を続けるしかありません。
(MC生)
(宮崎正弘のコメント)小生も数ヶ月ほどまえに『マオ』について論じております(『正論』)。
そのなかに反日のメンタリティが随所に露骨、日本に関して無知であり、それがこのホンの信憑性を薄くしている、と指摘しました。
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