中台関係についていいことが書かれてある。
中台関係をどのように把握するか、この問題は中国のこれからを考える最重要問題のひとつといっても過言ではない。私は1990年代の末頃から中台関係を考える時に、以下のように認識し始めた。
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台湾が独立したくても独立できない。中国が統一したくても統一できない。しかし経済を中心に中台の相互依存関係は進化し、双方の関係がまずくなると双方とも不利で、双方の関係が良くなると双方とも繁栄していくという意味で、「非独立・非統一・互恵共存」の枠組みが、一定期間の中台関係を考える場合の基本構造になっていくのではないか
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当時、講演などのレジュメにはそのような表現を用いていたが、実際に文章として発表したのは「日中関係21世紀への提言」という論文においてである(天児慧「日中関係21世紀への提言」、愛知大学現代中国学会編『中国21』2001年1月号、51ページ)。しかし、その後この枠組み認識は、その後様々な状況・要因分析を行いながら、次第に容易に変わりにくいものとして確信するようになり、その枠組みが「構造化」したという表現を用いるようになった。
例えば、2002年に執筆した拙文では、「私は、戦争が起こりにくい、現状維持的な中台の関係を『非独立・非統一・依存共栄』の枠組が構造化したと見なしている。構造化とは、構造と判断できる枠組を支える重要なファクターが少なくとも三つ以上明確に捉えられ、それらが相乗的に補完しあっていることによって、容易に変えがたい組み合わせとなっている状況をさすことにする。ここで指摘できる明確な重要ファクターは、1.経済交流・相互依存の量的・質的増大、2.中国の強い統一ベクトルと台湾の強い自立アイデンティティの拮抗状況、3.米国・日本をはじめとする国際社会の台湾海峡における平和的状況維持の強い切望感などである。
これに加えて、私は08年の北京オリンピックファクターはさらに中台関係の現状変更を困難にしてきている。……少なくとも08年まで中台間に戦争は起きない。平和環境が保証される。その上で指導部や社会の状況も変化するだろうから双方良い知恵を出すようじっくり話し合えばよい、と言い続けてきた。こうした状況でもし戦争を起こすなら、中国は経済の更なる発展と民族の威信と栄光をかけた北京オリンピックを失敗に着せてしまうことになるからだ。モスクワ・オリンピックがソ連のアフガン進行により、大半の西側諸国の不参加を招き失敗に終わった過去がある。もし中国が台湾侵攻を実施すれば、それ以上のダメージを受けることは必至であろう。その意味で、福建省における大量のミサイル配備など両岸の軍事的緊張は一段と高まっているにもかかわらず、中台はますます戦争しにくい状況になっているのである」(天児慧「台湾問題と中台関係」『等身大の中国』勁草書房、03年1月、184ページ)
独立したくても独立できない「非独立」の状況は強まっている。その理由として第一に、01年の「9・11」以降、中国が米国の反テロ闘争に同調し、さらに03年4月のイラク戦争直後に北朝鮮核兵器問題に関する米中朝会談、そして六カ国協議のプロセスで、米朝の調整役として中国が重要な役割を果たしてきたことに対して、明らかにブッシュ政権の中台関係アプローチが、それまでの台湾寄りから、「台湾の独立不支持」を鮮明にする立場に変わってきたことがある。
第二には、後述するが05年3月に中国当局は全国人民代表大会(全人代)会議で「反国家分裂法」を採択したことである。さらには第三に、台湾内部においても「非独立」の動きが表面化してきた。05年の春、連戦、宋楚瑜ら野党の党首、主要指導者が相次いで大陸を訪問し、胡錦涛ら中国要人を会見し、「一個中国、各自表述」という「92年共識(コンセンサス)」をベースにした中台関係改善を目指すことを確認した。これに対して陳水扁政権は中国への譲歩と強く批判したが、陳政権の人気失墜なども絡んで「92年共識」路線が台湾でも浸透しつつある。(執筆者:天児慧)台頭する中国、重要性増す日中関係 第4回-天児慧(早稲田大学教授・サーチナ総合研究所客員研究員)
独立したくても独立できない「非独立」の状況は強まっていることは前回指摘したが、しかしながら他方で、統一したくても統一できない「非統一」の状況も強まっている。第一に、独立派陳水扁政権への台湾住民の支持率は、彼の執政能力への失望、身内の汚職問題などによって急落しているにもかかわらず、台湾での台湾人意識の増加傾向、大陸への根強い不信感は続いていることである。
たとえば06年2月に国策研究院が中華徴信所に委託し、20-69歳の国民を対象に電話形式で実施した結果(有効回答数1067人、誤差±3%)は、そうした特徴の一端を示している。例えば以下の如くである(行政院新聞局2006年2月16日)。
1.「台湾の前途は2300万国民が決定すべきである」との主張についてどう思うか。
(1)非常に賛成:35.0%
(2)賛成:43.0%
(3)反対:5.3%
(4)強く反対:1.7%
⇒【賛成:78.8% 反対:7.0% わからない/特に意見なし:15.0%】
2.中国が台湾武力侵攻の法的根拠として05年「反国家分裂法」制定したことについて。
(1)非常に賛成:1.8%
(2)賛成:3.1%
(3)反対:38.4%
(4)強く反対:33.7%
⇒【賛成:4.9% 反対:72.1% わからない/特に意見なし:23.0%】
また次のアンケートの結果は、陳水扁政権が李登輝時代に設置された国家統一委員会の運用を停止し国家統一綱領を廃止したことに対して、台湾住民は一定の理解を示していることがわかる。
3.「台湾は最終的に中国と統一されるべきである」との国家統一綱領の内容について。
(1)非常に賛成:6.2%
(2)賛成:18.0%
(3)反対:30.6%
(4)強く反対:20.7%
⇒【賛成:24.2% 反対:51.3% わからない/特に意見なし:24.6%】
4.国家統一綱領の廃止については国内で異なる意見があるが、この問題を検討すべきか。
(1)非常に賛成:23.5%
(2)賛成:44.0%
(3)反対:8.2%
(4)強く反対:2.4%
⇒【賛成:67.5% 反対:10.6% わからない/特に意見なし:21.8%】
第二に中国側でも、統一はしたいが武力行使へのためらいは実質的にはますます強くなっている。いうまでもなく北京オリンピック開催成功が当面の最大目標であること、中台の経済相互依存の進化・広がりは台湾の武力行使によって中国経済への打撃も容易に予測できること、さらには米国、日本をはじめ西側民主主義諸国との関係は決定的な悪化が予測されることなどである。02年の夏、江沢民のブレーンと言われていた台湾問題の専門家と面談したことがあるが、そこでも実質的には「北京は中台間での大きな変化を望まない。台湾への武力行使の可能性は大幅に減少している」と率直に語っていた。
したがって、以下のアンケート結果にも見られるように、中台間の「現状維持」は中台、および米国、日本など周辺諸国にとって当面の基本的な枠組みとなり、その上で徐々に、中国側は統一の環境を強め、台湾は自ら主体的な選択幅を拡大しようとするのが基本戦略ということなのであろう。
5.今後の台湾と中国との関係について。
(1)ただちに統一すべき:2.4%
(2)現状を維持し、後に統一を目指す:10.7%
(3)ただちに独立を宣言すべき:4.3%
(4)現状を維持し、後に独立を目指す:12.9%
(5)現状を維持し、状況を見て独立か統一かを決定する:36.6%
(6)永遠に現状を維持する:24.3%
(7)わからない/特に意見なし:8.7%
しかも、相互依存関係は経済を中心にますます進んでいる。
まず経済交流はかなり深いレベルの相互依存構造を形成してきている。陳政権が誕生した00年の時点で大陸との積極的経済交流方針を採ったが、それでも年間貿易額は324億ドルであった。それがわずか5年で934億ドルと3倍近い増加である。台湾の05年貿易総額が約3710.5億ドルであるから、そのうち対中貿易の占める割合は実に25.2%の達する。しかも台湾の大陸進出企業は、10万社にのぼっており、大陸での従業員約1000万人を雇用していると見られる(『Fuji Sankei Business i』06年7月12日付け)。
人的な交流もビジネスに限定されることなく、文化、学術、観光など大幅増大している。人の往来に関しては、台湾側が大陸の人を受け入れる方が厳しい。当面は台湾の人々が大陸に行く機会がさらに大きく広がるチャンスはある。その一つは、05年と06年の両岸春節チャーター便の成功を基礎とし、旅客と貨物のチャーター便、中国からの観光客受け入れ拡大、犯罪の共同取締り、金融管理など共通利益に関する議題、三通(通信、通郵、通航の解禁)、農業および経済分野での協力などの拡大を目指した交流の展開が図られるだろう。馬英九は現在台北-上海間が香港経由の航空便で6-7時間かかり台湾の地域経済での孤立化に懸念を示し、「直行便なら1時間20分で上海まで飛行が可能で中台経済圏を急速に近づける」と積極姿勢を示している。これに対し陳政権は、中台間直行は安全保障の観点から解禁に消極的である。
このように非独立、非統一の前提の下に相互依存、共に栄える関係は否応なく進展していっている。目先の動向や現象に惑わされることなく、中台関係の構造をしっかりと認識しておくことが大切であろう。(執筆者:天児慧)(サーチナ・中国情報局) - 9月13日
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支那が平和の有り難さを理解して、他国を侵略しない国になるなら
アジアが手を組んで発展する方がいい。
このままだと支那主導のアジアになり、日本の立場が薄くなるだろうが、
そうならないよう日本は頑張るしかない。そうなった場合の事も頭に
入れて、どうするか決めておくほうがいい。
地震や津波の備えはするが、隣の国が万が一、襲ってきた場合の事も
考えてて備えていないと片手落ち。
民主的でもない隣の国をむやみに援助して日本より強大な国にして
おいて、その内自分の国を乗っ取られることになったら、日本がバカ
過ぎ。これからの戦争は、宇宙から監視して遠距離やら中距離ミサイル
で、ピンポイントで潰すか、潜水艦から核攻撃だから、戦争をしだすと
おしまいだ。日本もあっさりやられないぞと相手に思わせないと舐めて
かかられる。支那人はなめている相手には、態度がL(エル)サイズに
なるから気を付けよう。