杉本信行著「大地の咆哮(ほうこう)元上海領事が見た中国」はお勧めだ。
杉本信行著「大地の咆哮(ほうこう)元上海領事が見た中国」は、
元上海領事だった杉本氏が使命感を持って書き上げた本だ。
30年間に渡る中国での経験をまとめ上げたものだが上海領事館の
同僚の自殺とご自身の病気がこの本を書くきっかけになっているのは
間違いない。中国を良く知る杉本氏が、日本人に向けて正直に正確に
中国の問題点を示し、今後どうやって中国と対峙していくべきかを
教えてくれている。特に付録の「日中を隔てる五つの誤解と対処法」は
全ての日本人に読んでもらいたい内容だ。
付録2の過去をめぐる摩擦七つのポイントなどは、読んでいて気が重く
なるが、いかに日本人が中国を理解できていないか、中国人もまた
全く日本が理解できていないということも教えられる。
中国が嫌いか好きかなど感情論とは別に、外交とは嫌でも隣にいる
中国という共産党独裁の国と戦っていかに日本に利益をもたらしていく
かという、「武器を使わない戦争」なのだと思った。
中国を理解しないで、中国政府の突きつけてくる要求ばかり気にして、
「中国人を思いやって合わせてやろう。」などという甘い考えでいると、
日本はずっと中国のウソに騙され続けていくことになる。
日本人が先ず中国を理解する杉本氏の声に耳を傾け、中国の問題に
気が付き、日本の国益を考えて行動するように変わらないといけない。
世論が割れて、無意味に親中の人物が政治家に選ばれることになれば
中国に間違ったサインを送り続ける事になる。そういう失敗は十分
過去に経験してきているはずだが、今でも日本人の半数は、中国に
合わせてやればいいという安易な考えでいる。
一歩引けば二歩も三歩も押してくるという中国人の性格を知れば、
そして中国の現代の問題点を知れば、単に中国に遠慮していれば友
好が成り立つという考えは間違いだと分かるはずだ。
この本は非常に分かりやすい現代中国の紹介文でもあると思う。
杉本信行著「大地の咆哮(ほうこう)元上海領事が見た中国」
PHP研究所発行 1700円