日本を襲う二つの大危機と二つの小危機1(右と左の欠点) | 日本のお姉さん

日本を襲う二つの大危機と二つの小危機1(右と左の欠点)


日本の右と左


日本は最近「右傾化している」といわれます。

この点、おそらく反論はないでしょう。

右傾化ってどういうことなのでしょうか?

「右翼」を辞書で引いてみます。


「保守的・国粋的思想傾向(の団体や分子)」


経済辞典を見ると、


「今日では、反共主義・排外主義・憲法改正・軍備強化などを主張している」


なるほど。

これに対して左翼。


「急進的・革命的な思想傾向(の団体や分子)」


よくわかんないですが、一般的には民族主義的傾向に進むことを右傾化と
呼ぶのですね。

まあ、民族主義といえば言葉が悪いですが、右よりの人は「愛国主義」とい
うでしょう。

自分の国を愛するのはすばらしいことですし、私も「日本は世界一すばらし
い国だ」と心から愛しています。

辞書を見ると


愛国=自分の生まれた国を誇りに思い、国のために行動すること


とあります。

すばらしいですね。

英語でもロシア語でも愛国者はパトリオットといって、肯定的な意味。

一方民族主義者といえば、否定的。

なにが違うのでしょうか?

辞書で民族主義を見ると


民族主義=自分の属する民族の自立と発展を政治的・文化的な最高の目
標とする主義

う~む。

オリジナルの意味は、そう否定的でもないようです。


一般的には、愛国主義は自分の国を愛して行動する。

一方民族主義は、自国が一番で、他国を排斥する思想や行動をとることを
意味するようです。

民族主義(ナショナリズム)は他国や他民族に否定的なので、歓迎されない
のですね。

ここでは、右といえば、愛国主義ではなく、民族主義的という前提で話をす
すめます。


皆さんもご存知のように、日本では小泉さんの登場以降、どんどん右の方
向に向かっています。

小泉さんは基本的に、親米・反中ロ北韓アラブ。

もちろん本人は「そんなつまりじゃない」とおっしゃるでしょうが、結果を見
るととそうなっている。

一般的「右」の人たちはもっと先(?)を行っています。


つまり、反米中ロ北韓。


どうして、彼らはこういう結論に達したのでしょうか?

反米=アメリカは、病気の牛を日本に売り、法外な米軍再編費用をおし
つけるから、○○○。

反中=中国は、反日デモはするし、靖国に反対だし、傲慢。だから、○
○○。

反ロ=ロシアは、日本の漁船を撃ち日本人を殺し、北方領土を返さない
から○○○。

反北=北はミサイルをぶっ放すし、日本人を誘拐するから○○○。

反韓=韓国は靖国参拝に反対で、慰安婦問題うるさいし、竹島を乗っ
取ろうとしているから○○○。


さあ、○○○をうめてみましょう。


上に書いたこと、右の人は、「そのとおりじゃないか!!!」と思うで
しょう。

というか、日本人のかなり多くの人がそう思うかもしれません。


○○○に何が入るかというと。


「キライ」という言葉。


つまり右(民族主義的傾向)の人の論理は、



1、外国は日本に対し、理不尽なことをしている
2、だからキライ
3、キライだから、仲良くしないぞ!



こういうのをなんというかというと、「感情論」といいます。


(ここでは、「理不尽なことされているから、相手と話し合って解決しよう」
という前向きで理性的な常識人の話をしているのではありません。)


今日本がおかれている立場とか可能性とか方向性とか分析することなし
に、「キライだから」。

ところが大人の世界では、こういう感情論は通用しません。

皆さん、会社の社長さんであれば、理想的なお客さんがどれだけいます
か?

もし、イヤなお客さんを全部切ってもいい立場を確立していれば、それで
もいいですが、普通はキライなお客さんともつきあうでしょう。

では、日本はキライな国を全部切ってやっていけるのでしょうか?

これはもう絶望的。

日本は先進国中、エネルギー・食料自給率が最低。

憲法により、一発ミサイルを撃ち込まれるまで反撃もできない。

これで、全ての国を敵にして存在しつづけることなんてできません。


では左傾化すればいいのでしょうか?

本来左翼とは、「急進的・革命的な思想傾向(の団体や分子)」というお
話でした。

しかし、一般的には、政治的にも経済的にも共産主義的傾向を「左」と
いうようです。

日本の左は、急進的・革命的なのでしょうか?

事実は全然逆。

日本の左翼は「優勢民営化」「憲法改正」「核武装」等々、ほとんどあら
ゆる改革に反対しています。

「護憲」は、左の宗教ともいえるでしょう。

これが、右と左をすっきり分けられない原因になっています。

左の人たちは、親中韓北ロ・反米。

この人たちの思想のベースは「罪悪感」。

つまり、



親中=日本は過去に中国を侵略したのだから。。。
親北=日本は過去に朝鮮半島を侵略したのだから。。。
親韓=日本は過去に朝鮮半島を侵略したのだから。。。
反米=結局はアメリカ帝国主義が悪の元凶よね~。でも、原爆がおとさ
れたのはアメリカが悪いんじゃなくて、日本が戦争をはじめたから。



過去に悪いことをしたら、反省するのはよいことでしょう。

しかし、左の人たちの問題点は、「日本は戦後60年間平和だったから、こ
れからも何も変えちゃいけないのよね~」と思っていること。

憲法改正なんてトンでもない。

ところが、日本が戦後60年平和だったのは、別に平和憲法のおかげで
はありません。

左の人たちが大嫌いなアメリカと「日米安保条約」を結んでいるから。

実際にアメリカは動いてくれないかもしれませんが、ソ連・中国・北朝鮮
は「動くかもしれない」と考えていた。

だから、安全だったのです。


▼坂本龍馬は


こういう風に、「私は右」「私は左」等、自分に枠を設定してしまうと、いい
ことありません。

脳みそにフィルターが設定されて、偏った見方しかできなくなります。


江戸末期、日本は史上空前の危機に遭遇しました。

欧米と日本の力の差は圧倒的。

日本が植民地にならない可能性は、ほとんどなかった。

黒船が来た後、国の思想は真っ二つに割れました。


尊王攘夷→天皇を中心に外国人を追っ払え!
開国佐幕→開国して幕府を中心に国つくりをしよう!


で、尊王攘夷に立ち上がった人たちは「志士」と呼ばれた。

中に変な男がいました。

物事を平明に見ることができた。

その男は考えました。



1、日本刀で黒船は倒せんぜよ
2、黒船に対抗するには、日本は黒船を造るか買うしか道がないぜよ
3、造るにしても買うにしても金がいるぜよ
4、金を稼ぐには外国と貿易するしかないぜよ(開国)
5、今は幕府が貿易を独占しちょるきに、倒さねばいかんぜよ(倒幕)



当時、尊王攘夷・開国佐幕の二つしか思想がなかったのに、この男
の脳みそに第三の道が現れました。

つまり、「開国倒幕」。

この男とはもちろん、日本史上最大の偉人坂本龍馬。

彼の動きは、普通の人には到底理解できません。


1、幕府の勝海舟の弟子になり、海軍塾創設に奔走する。

これで、尊王攘夷の志士から、「裏切り者!」と批判されました。


2、海軍塾がダメになったので、今度は幕府の敵薩摩藩・長州藩を同
盟させ、倒幕に奔走する。

これで、龍馬は幕府最大の敵になります。


3、薩長同盟が成立すると、今度は、大規模な内戦を防ぐために、「
大政奉還」に奔走。この案が実現することで、日本は植民地化をまぬ
がれた。


さて、今の日本。

右の人は「キライ!」という感情論。

これでは、全ての国を敵にしてしまいます。


左の人は「日本は悪いことをしました」という罪悪感。

これだと、周りの国の理不尽な行動を、ガマンするしかない。


どっちも非現実的。

こんなときは、みんなが坂本龍馬みたく、冷静に平明にあるがままに
現実的に物事を見る必要があるのです。

いったい日本はどう進めばいいのでしょうか?

それは、これから日本にどんな危機が襲うのかを知ったうえで考える
必要があります。
日本を襲う二つの大危機と二つの小危機2(日中戦争)


▼現代を歴史的観点で見ると


皆さんもうご存知のように、今という時代は、歴史的に「覇権国家アメリ
カが没落していく」プロセスにあります。

ところが、どんな会社も組織も国も、「一番にとどまりたい」。

それで、人知をつくして様々な抵抗を試みる。

この「抵抗」こそが、現在起こっている種種の問題の根源。

考えてみてください。

アメリカは「9.11」の報復としてアフガンを攻めましたが、ビンラディンは
逃げちゃいました。

ビンラディンを追っかけるのかと思いきや、次の標的は全然関係ない
イラク。

アメリカはイラクを攻めましたが、全ての根拠は大嘘であることがわかっ
ています。

アメリカは、核兵器保有を宣言している北朝鮮を放置し、核兵器がない
ことが常識のイランを攻めようとしています。

全ての問題の根源は、アメリカが覇権を維持するために、


1、ドル基軸通貨体制を防衛する
2、石油埋蔵量で世界の65%を占める中東を支配する
3、覇権国家候補の中国を民主化しドル圏にとどめる


という動きから起こっているのです。

「極論ですね~」と思う人。

考えてみてください。

アメリカが好景気で動かなかったクリントンの時代、世界は平和でしたか?

平和でしたね。

ブッシュになって、世界は変わったのでしょうか?

世界が変わってのではなく、アメリカが変わったのではないですか?


▼日本を襲う一つ目の危機


さて、日本を襲う可能性がある一つ目の危機は、米中・日中戦争の危機。

05年1月に本を出したとき、メチャクチャ批判されました。

「ありえない!」と。

ところが、その後大々的な反日デモは起こるし、「反国家分裂法」(台湾
の独立を阻止する法律)ができるわで、批判は下火になりました。

そもそも覇権国家と候補は必ず戦争をしているのです。

「米中戦争はあり得ない!」という人は、時間を見つけて歴史の教科書を
読んでみましょう。


ポルトガルとスペインは戦争をしましたか?(ハイ、しました)

スペインとオランダは戦争をしましたか?(ハイ、しました)

オランダとイギリスは戦争をしましたか?(ハイ、しました)

イギリスとフランスは戦争をしましたか?(ハイ、しました)

イギリスとドイツは戦争をしましたか?(ハイ、しました)

アメリカとソ連は戦争をしましたか?(ハイ、代理戦争ですが。)


どうして、今回ばかりは戦争がないと断言できるのでしょうか?

こう書くと必ず出てくる反論が「今の時代に。。。」という言葉。

これを「平和ボケ」といいます。

日本人は「第2次世界大戦後戦争は起こっていない」と勘違いしている。

実際は山ほど起こっています。


主なものだけあげても、中国における米ソ代理戦争、朝鮮戦争・ベトナ
ム戦争、第1次アフガン戦争、湾岸戦争、NATOのユーゴ空爆、9.11後
のアフガン戦争、イラク戦争、中東戦争等々。

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▼日本と中国が戦う二つのシナリオ


これ本にも書いてありますが、戦争は中国のイニシアチブで起こるので
はありません。

アメリカが挑発して起こすのです。

表面的には中国が仕掛けるかもしれませんが、(日本のときと同じで)
アメリカが挑発するのです。

なぜ、中国は戦争を望まないのでしょうか?

これは、今戦争をするとアメリカに絶対勝てないから。

軍事費を見れば明らか。

アメリカは50兆円、一国で全世界の総軍事費の48%を占めている。

中国は、米国防総省によると10兆円。

勝てませんね、絶対。

ところが、時は中国の味方。

アメリカは全盛期を過ぎた衰退期の国であり、中国は成長期。

これは、両国の賃金差を見ればあきらか。

04年の時点でアメリカは時給平均17ドルで、中国は0.87ドル。

賃金が20分の1の中国は魅力的でしょうか?

魅力的ですね。

中国で数年後にバブル崩壊が起こったとする。

すると、0.87ドルの賃金がまた0.5ドルくらいになるかもしれない。

また、外資が殺到し、数年で立ち直るでしょう。

それと人口差。

中国には日本の約10倍の人が住んでいる。

これってつまり、「中国のひとりあたりのGDPが日本の10分の1にな
った時点で、中国のGDPは日本と並ぶ」ということ。

ありえるでしょうか?

ありえますね。

中国にはアメリカの約4倍の人が住んでいる。

つまり、中国のひとりあたりのGDPがアメリカの4分の1になった時点
で、国のGDPはアメリカに並ぶ。

ありえるでしょうか?

ありえますね。

結論は明らかです。

アメリカは今後衰退の一途をたどり、中国の未来は明るい。

当然アメリカ政府としては、「弱いうちに叩いておこう」と誘惑にかられ
るでしょう。

で、日本が行く道は二つあります。


1、米中戦争が起こり、日本も巻き込まれる

米軍は日本から出撃ですから、当然です。


2、アメリカが日中戦争へ誘導する

1はわかりますが、2はわかりませんね。


▼外交の基本は他国同士を戦わせること


「北野さんあなたはホントにひどい人ですね!」といわないでください。

私は事実を書くだけですから。

外交の基本は他国同士を争わせて、漁夫の利をえることです。


例をあげましょう。

ヒトラーのドイツが、オーストリアとチェコに攻め込んだとき、イギリス・
フランスは動きませんでした。

なんで?

当時両国は、ヒトラーとスターリンのソ連が戦えばいいと考えていた。

悪魔同士が戦って両方くたばれと。

ところが・・・。

悪魔同士意気投合。(涙)

1939年ドイツとソ連は独ソ不可侵条約を締結します。


次の例。

中東は、第2次大戦後もイギリスの影響下にありました。

ところが1968年に、イギリスは「中東から手を引く」と発表します。

アメリカは、「イギリスがいなくなれば、中東はソ連に支配される」と懸念。

当時アメリカはベトナム戦争で忙しかったので、サウジとイランを支援し中
東を支配させることにしたのです。

ところがイランで1979年、イスラム原理主義による革命が起こった。

アメリカはサダムフセインを支援し、イランにぶつけるよう誘導します。

イラン・イラク戦争は8年続きました。

アメリカというのはこんな国。

ですから、日中関係をわざと悪化させて、「日本と中国を戦わせてしまえ」
と考えても不思議ではありません。

具体的にどうやるか?

簡単です。

あおればいいのです。

実際、中国には日本に届く弾道ミサイルが何百基とあるのですから。

日本の反北朝鮮世論を形成するのに、1週間もかかりませんでした。

それより何千倍の脅威である中国と日本の関係を悪化させるのは、洗
脳に長けたアメリカにとって簡単なこと。


これが、第1の大危機。

つまり、1、米中戦争に日本が巻き込まれる 2、日中戦争になる
日本を襲う二つの大危機と二つの小危機3(三つの危機)






▼アメリカが没落したら???


前号では、米中戦争・日中戦争の可能性をお話しました。

いずれもアメリカが工作して起こる。

ところが、もう一つの可能性として、「アメリカが中国民主化の夢をはた
せず没落しちゃう」(涙)というのもある。

胡さんはアメリカに行ったとき、ブッシュに「孫子」をプレゼントしたそう
です。


意味は、「戦わずしてあなたに勝ちますよ」(^▽^)ということでしょう。


自信がなければ、こういう嫌味な行動は取れないと思いますが、皆さん
どう思われますか?

中東情勢を見ても、旧ソ連諸国の情勢を見ても、アメリカは日ごと月ご
と追い詰められています。

起死回生の方法を考えているはずですが、今のままだと、米国債を大
量保有する中国、石油をルーブルで売り出したロシアが、アメリカの運
命を握っている。

誰もドル暴落・アメリカ没落を引き起こして、世界恐慌の引き金をひき
たくありませんが、いざとなったら何が起こるかわかりません。

アメリカの没落は世界一の消費大国消滅を意味しますから、世界は間
違いなく大恐慌になります。

(これはつまり、中ロの指導者が、「世界恐慌の引き金を引くか?」(つま
り中ロも大不況になる)それとも「フセインのようにブタ箱に行くか?」の
決断を迫られた場合ということ。

これは当然、世界恐慌を選ぶでしょう。権力を維持できれば、恐慌下で
も自分と家族は腹いっぱい食べられますからね。(^▽^)(^▽^))


中国はアメリカが瀕死の重傷をおった機を逃さず、台湾併合・南シナ海
スプラトリー諸島占領・尖閣諸島侵略に動くかもしれません。

また、もっと長期的な視点で見ても、アメリカのいないアジアは中国の独
壇場。

これまでの抑制要因(アメリカ)が消滅し、中国が凶暴化。

資源のあるところをどんどん侵略していくという可能性だって出てきます。


一体中国は将来脅威になるのでしょうか?ならないのでしょうか?

脅威にならない派の論理は、


・中国は外資がたより。他国を侵略して自国経済に打撃を与えるようなこ
とをするはずがない。

・中国は、もはや資本主義の国。他国を侵略するはずがない。



一方、中国脅威派の主張は、



・中国は1989年以来、17年間も毎年二桁軍事費を増加させているではな
いか!

・中国は、日本の侵略を恨んでいる。アメリカがいなくなったら、尖閣諸島
くらい侵略しても道徳的に許されると考えるのではないか?

・中国は、欧米がこの国を侵略したことを恨んでいる。どうして逆襲しない
ことがあろうか?

・中国には中華思想がある。可能性があれば世界支配に動くであろう。

・中国は共産党の一党独裁である。



これってどっちが正しいのでしょうか?


わかんないんじゃないですか?実際。


そう、わかんないですよね、その時になってみなければ。


例えば第1大戦後のドイツ。

戦争に負けてボロボロ、天文学的賠償金とハイパーインフレ。

いわゆるワイマール共和国の1920年代。

ドイツがまさかまた戦争をおっぱじめるなんて、誰も予測できなかったでしょ
う。

中国に関しても、いろいろな人がいろいろなことをいいますが、正直なとこ
ろ誰にもわからない。

ですから、日本としては「わかんない」ことを前提に戦略を練る必要がある。


これは当然「中国が脅威になるかもしれない」と考えて準備するということ
です。

脅威にならなければ仲良く暮らせばいい(^▽^)のですから。


二つ目の大危機=アメリカが没落し、天敵を失った中国が日本を侵略する。


@補足

それでも、「中国は絶対日本の脅威にならない!」という中華信仰をもって
いる方。

中国は、1990年代前半ベトナムと、90年代後半はフィリピンと、毎年のよう
に小さな軍事衝突を繰り返していた事実を伝えておきます。

さらに賢い人は、「最近中国は東南アジアと融和路線をとっている」と反論
するでしょう。

それって、「米中覇権争奪戦の最終戦にむけて、周辺諸国を味方につけて
おきたいからではないですか?」と私は思います。

もし、アメリカが没落すれば?

その時、中国はまだ「孔子の国」でいるでしょうか?

▼二つの小危機

今までに、日本が直面する可能性がある二つの大きな危機について触れ
ました。

もう二つ小さな危機があります。


1、北朝鮮

論理的に考えたら、北朝鮮が日本に核ミサイルをぶっ放す理由はありませ
ん。

しかし、この世の中には論理で割り切れないことがたくさんある。

全ての人が論理どおりに動くなら、つかまる可能性を覚悟して犯罪に走る
人はいなくなってしまいます。

金さんが追い詰められて、日本本土にミサイルをぶっ放す可能性は、少な
いですがあります。


2、韓国

竹島問題が激化し、日韓の間に紛争が起こる可能性もあります。


▼アメリカの今後


二つの大危機と二つの小危機の話をしました。


1、米中戦争・日中戦争の可能性
2、アメリカ没落後に中国が日本を侵略する可能性
3、北朝鮮のミサイル
4、竹島問題で韓国と紛争が起こる


日本はこれからどう動けばいいのか?

これは当然アメリカの浮沈を見極めながら進む必要があります。

アメリカはまず、石油をユーロで売ろうとしている石油大国イランを支配しな
ければなりません。

石油埋蔵量の65%を占める中東。

世界埋蔵量の1~5位(サウジ・イラク・アラブ首長国連邦・クウェート・イラン)
が石油をドルで売ることが保証されて、ようやく中国退治に動ける。

ところが、イランのバックには賢い中国とロシアがついている。

イランのアハマディネジャドさんは、時々プーチンさんと電話で長話しています。

もちろん会談の詳細なんて報道されませんが、想像するに、プーチンさんは
アメリカとイスラエルの真意を伝え、「罠にはまるなよ」と警告しているのでは
ないでしょうか。

まあ、想像ですが。

というわけで、アメリカがイランを支配下に置くことができるのか、なんとも流
動的な情勢。

しかし、0か1かのデジタル思考で考えれば、可能性は二つしかありません。


1、アメリカはイランを支配する
2、アメリカはイランを支配しない


1のケースについて。

これは別に、イランにアメリカ型の民主主義を確立するとか、政治が安定す
ることを意味しません。

支配の意味するところは、


1、イランはドルで石油を売りつづける
2、イランは中国・ロシアに石油ガス利権を渡さない
3、イランは核兵器開発を断念する(ちなみにイランは核兵器開発するとは一
言もいっていない)


この三つの条件を満たした場合、アメリカはいよいよ、中国征伐に乗り出せ
ます。

アメリカが力不足でイラン支配に失敗した場合。


1、イランはユーロで石油を売るようになり、ドルは暴落
2、ロシアは石油をルーブルで売る比率を増やし、ドルは暴落
3、ドルはゆっくりかあるいは急速にか下落しつづける
4、ドルは基軸通貨でなくなり、アメリカは国家破産。ソ連化する
5、世界一の消費大国消滅により世界恐慌に


一つ世界恐慌を逃れる可能性は、世界が合意し、ドルを緩やかに下げてい
くこと。

その間に、アメリカに代わる消費大国中国を育てる。

まあ、一日300兆円を動かす投機筋は、いっせいにドル売りに動くでしょうか
ら、ソフトランディングが実現できるかは非常に微妙であります。

それと、ソフトランディングでもアメリカが没落することにかわりありません。

では、アメリカがイランに勝利したと仮定して、日本はどうすればいい
のか考えます。

★日本を襲う二つの大危機と二つの小危機4(日中戦争を回避する)


今日本を覆っている思想。

右は「外国が日本に理不尽なことをしている」→「だからキライ」という
「感情論」がベース。

左は「日本は悪いことをしたのだから」という「罪悪感」がベース。

右は全ての国を敵に回す。

左は現状維持。

どっちも行き止まりの道。


▼日中戦争を回避する


アメリカが中東支配に成功したと仮定しましょう。

支配とは、「安定」ではないという話でした。

中東産油国がドルで石油を売りつづけ、中国やロシアに石油利権をわ
たさないこと。

別にテロが頻発していてもいいのです。

次にアメリカは中国征伐作戦に移るのですが、パターンは二つあるとい
う話でした。


1、日本と中国が戦争になるよう誘導する
2、米中戦争が起き、日本も巻き込まれる


まず、1のパターンについて。

日本はこうならないように今から準備をしておく必要があります。

問題は、小泉首相になって、田中元外相・橋本元首相等のラインがこわ
され、日中のパイプが切れていること。

二国間の紛争の元凶は二つあります。


1、利害が対立していること
2、利害が一致していても、両国の不信感が強すぎる


これは商売でもわかりますよね。

誰かがおいしい儲け話を持ってくる。

A社とB社の利害は「儲ける」ことで一致しています。

ところが、A社がB社のことを「うさんくさ!」と思っていたら、「申し訳ありま
せん。おたくとは商売できません」ってことになるでしょう。

外交は国益を追求するための手段。

そして、外交上の主な国益とは、金儲けと安全の確保である。

日中はシンプルに考えれば、金儲けに励んで平和であったほうが、両国
にとっていい。

戦争をする理由は(尖閣諸島や東シナ海の資源以外に)ほとんどありま
せん。

しかし、利害が一致していても、相手国を信用できない場合は、話がまと
まらない。

利害が一致していても、そういうことがあるのです。


例えば日ロ関係。

日本は、石油の約90%を不安定な中東に依存しています。

依存度を減らすには、隣国のロシアから買えばいいに決まっている。

だから、東シベリア~極東ナホトカパイプラインを作ったほうがいい。


これはロシアにとっても同じ。

中国にパイプラインを引くと、中国一国にしか売れず、価格の主導権をむ
こうに取られてしまう。

ナホトカまで引けば、日本・韓国・中国・東南アジア・アメリカ・カナダ等々、
どこへでも輸出することが可能なります。

どう考えても日ロの利害は一致している。

しかし、まとまりませんね~

これは、「信頼がないから利害が一致していても話がまとまらない」例。


話を日中関係に戻します。

公式ルートで信頼を醸成するというのは、案外難しいのですね。

日本の首相や外務大臣が中国のトップに会って、「アメリカは、自国の利
益のために日中を戦わせようとしているが、私たちは断固反対です!」と
は言えないですね。

まず、報道されちゃうでしょうし、報道されなくても必ずアメリカに伝わるか
らです。

ですから、日本の首相や首相の側近と、中国のトップをつなぐ見えないパ
イプが必要です。

これはどういうことかというと、その人が日本の首相の本音を中国側につ
たえても一切報道されない。

しかし、日本側も中国側も信頼できるパイプ。

考えてみると、幕末薩摩と長州は犬猿の仲でした。

で、両藩の仲を取り持ったのは、坂本龍馬と中岡慎太郎。

二人とも土佐脱藩浪人。

今の時代、日本と中国両国のトップとツウツウの民間人がいれば、非常に
ありがたいですね。

本にも書いてありますが、中国で儲けている経済人が一番いいのです。

彼らだって、「戦争になったら、商売あがったりだよ!」と思えばやる気もで
てくるでしょう。

でも、アメリカにバレないようこっそりやる。

そのパイプ役の経済人を「首相特命大使」とかに任命したらすぐバレルか
らダメ。

名利を超越したしっかりした人物にこっそり動いてもらう必要があります。



日ロに関していえば、02年03年はこういうパイプがあり、両国関係は劇的
に改善されました。

しかし、03年末にそのパイプが切れたので、関係は元どおりになっています。

日本の首相あるいは側近は、中国のトップと近い民間人(中国人と日本人)
を見つけ、本音がいつでも極秘に伝わる状態をつくっておく必要があります。

これは、アメリカの洗脳工作に乗せられないためです。

そして、日中戦争を回避する。



▼中立は可能か?


2のパターン。

日中戦争がメデタク回避できたと仮定します。

そして米中戦争が起こると仮定しましょう。

その場合、日本には三つの選択肢があります。


1、中立
2、中国につく
3、アメリカにつく


1の中立について。

北朝鮮のミサイルについて書き、憲法改正の話をしたら、「日本は核武装し
憲法はそのまま、中立になるべきです」という意見がたくさんきました。
(日本で流行っているそうです)

この案の問題点を書きましょう。

中立を保つためには、二つの条件をクリアしなければなりません。

1、日米安保を解消する 

日本とアメリカが軍事同盟を結んでいながら、「日本は中立です」とはいえ
ません。

2、それで日本から米軍を追い出す

米中戦争時、日本から米軍が発進している。

これで、中国に「日本は中立だから、ミサイルうたないでください」とはいえ
ません。

中国も「わかった米軍基地に撃つよ!」といいつつ、日本本土にも撃って
くるに違いありません。


仮にこの二つの困難な条件をクリアしたとしましょう。

言葉は中立ですが、トータルで日本の中立は、「中国を利し、アメリカに大
損を与える」と思いませんか?

だって、アメリカはアジア最大の拠点と同盟国を失って大損。

これは逆の言葉で、中国大儲けとなるでしょう。

アメリカが覇権をかけた最後の聖戦を戦おうとしているときに、日本はうら
ぎった。

どんなひどい目にあわされるかわかりません。

例えば、このときアメリカは中東支配を完了しているので、「日本と中国に
は石油を売らないように」と圧力をかけるかもしれません。

そして、日本は石油の約90%を中東に依存しているのです。

「まさか!民主主義国家アメリカがそこまでしないでしょう」

あまいです。

アメリカはこれまでも同盟した勢力を使い捨て、後に攻撃した例があります。



例1
アメリカは、かつてタリバンを支援していたが後に攻撃した
例2
アメリカはかつてフセインを支援していたが後に攻撃した
例3
アメリカはかつてグルジアのシュワルナゼを支援していたが、後に革命を
起こし失脚させた
例4
アメリカはかつてウズベキスタンのカリモフを支持していたが、今は敵視
している



どうですか?

最後に皆さんに必ず忘れないでいて欲しい、キッシンジャー翁の言葉を。



「君はアメリカではなく中国を選ぶというのか。もし日本がそのような姿勢
をとるなら、日米安保条約を根本的に見直す。」(脅迫)



これは、キッシンジャーさんが、「アジア共通通貨構想」を語るミスター円
榊原英資さんを脅迫した言葉。


ちょっとシチュエーションは違いますが、「アメリカを裏切ったら許さないぞ!」
という気迫が満ち溢れています。


私たちは、アメリカを裏切った隣国を知っています。

そう、韓国。

韓国はアメリカを裏切って中国・北よりになったがゆえにつぶされることに
なるでしょう。

日本も気をつけましょう。

というわけで、中立は難しいのです。

「そうかな~」と思う人は、もう一度考えてみてください。

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メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
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この人のメルマガは面白いのだが、イスラエルに関しては悪く言うので
ちょっと気に入らない。

拉致された兵士、たったひとりのために戦争をしかけたと言うのだが、

それ以前にヒズボラがイスラエルの町にミサイルを150発

撃ったことは書いてくれなかった。日本はミサイルを日本を跳び越して

一発撃たれても怒るし、日本海に7発撃たれても怒る。

いずれ日本に向けて撃つ予定だと思うからだし、何と言っても今回で

3回目だからカンニン袋の緒が切れた。切れたフリをして怒らねば

ならない。神経質になって怒らねば!無理にでも怒らねば!

本当は一番腹が立ったのは日本を跳び越して太平洋に落とされたのに、

日本がまったく気が付かなかった時のことだ。あの時の怒りを覚えている

から今回日本は国際社会に文句を言ったのだ。

そのミサイルのうらみを思い出すと、実際にヒズボラにミサイルを

打ち込まれていたイスラエルのことも同情できるというものだ。

(イスラエルとレバノンの距離は名古屋と東京、名古屋と大阪ぐらいの

距離らしい。そんな距離からロケット弾を飛ばされると、やっぱり恐怖に

おびえてしまうよね。)

今のところイスラエルに関する話し以外は、全て面白いメルマガです。