失恋した人
ある外国人の友達(男性)が失恋をした。恋人はアラブ人のお嬢様
だった。アラブ人と言えば親が厳しくて、結婚相手も親が納得しな
ければ無理だろう。アラブ人のお嬢様は、帰国してから一度も手紙を
書いてくれないのだそうだ。1ヶ月待ったあと、家に電話すると、
「お兄さん。あなたの親切は忘れません。」と言われたそうだ。
他の人に二人の関係を聞くと、「あの二人はただの友達で、彼は勘違い
していただけだよ。アラブの女の子の奴隷のように買い物やら食事やら
全部面倒をみていたけど、彼の片思いだよ。」と言う。
元々、そんなにアラブのお嬢様に愛されていたわけではないらしい。
でも、彼は振られたと思って悲しみのあまり心臓までおかしくなるしまつ。
太っていたのに、細くなっていたから食事も喉を通らないぐらい辛かった
ようだ。彼の友達は、あきらめなかったらチャンスは来ると言って励ま
してあげたそうだ。それは身近で本当にあった話だった。
ある男性が、ある女性のことを好きだったのだが、その女性には残念
ながら恋人がいた。その女性を密かに愛していた男性は、その女性の
恋人とも親しかったので、彼らが結婚してからも時々家に呼んで
もらっていたそうだ。もちろん、自分の心の中の想いはずっと秘密に
していたそうだ。
ところがある日、その女性のご主人がで死んでしまった。
その女性はご主人が死んでひとりぼっちになったので、いろいろと困り
ごとがあると、助けを求めてきた。そのたびに彼は親身になってお世話を
してあげたのだそうだ。
そうしているうちに、その女性の心に愛が芽生え、女性をずっと愛し続け
てきた男性は、ついにめでたくその女性と結婚できたのだそうだ。
そういう実話を話して、失恋した友達を慰めたのだそうだ。
わたしは、「あなた、その人を愛しているなら、その人の好きなように
やらせるのが一番いいんだよ!アラブの社会では、女性はお父さんに
支配されているから、自分の好きな人と結婚できるかどうかわからないし、
あなたが会いに行ったら迷惑かもよ。会いに行きたいなら自分が幸せに
なってからにしたら?そんな病気の姿で会いにいったら、いい思い出も
ぶち壊しじゃないの?元気になって学校を卒業して社会人になったら
会いにいけば?」と言っておいた。
その後、3年ぐらいして、友達全員が社会人になった頃、その友達の
親友の家族の家に行ったら、その友達がすごい美人と一緒に写って
いる写真があった。
心臓が変になるほど辛そうにしていた人が、幸せそうに美人と並んで
写っていたので家の人に「これ、だれ?」と聞いたら、彼の奥さんだと
いうことだった。幸せになれたんだなと思った。すごく人を愛する人は
失恋するとすごく悲しむけど、そういう人は次に出会った人ともうまく
いっているみたい。悲しいときは悲しめばいいのだ。そういう人こそ
次に幸せに出会った時に、喜びを実感できるというものだ。
そういえば、友達の親戚の人で、病気の奥様を一生懸命に看護して
おられたご主人は、奥様が亡くなられてから、直ぐに再婚された。
人を心から愛する情の深い人は、相手が亡くなると寂しさに耐えかね
てすぐに再婚するようだ。
奥様が亡くなられてあんなにがっくりと落ち込んでおられたのに、直ぐに
次の人が見つかるのが不思議だったが、弱いからこそ次の人が必要
だったのだろう。奥様が病気の時から次の人が現れていたのかも
しれない。奥様は癌に侵されていて、痛みを消すためにモルヒネを投与
されていて、意識が朦朧としておられた。わたしが病院に行くと、ご主人
の次の相手かと勘違いして「あなた、主人をお願いしますね。」などと
言うので困った。薬で半分眠らされているので、わたしのことも誰だか
分からなくなっているのだ。お互い愛し合っている夫婦だったのだろう。
遠い親戚にもそんな人がいた。ご主人が亡くなった時、一緒に死にたい
と泣いていた奥様が、直ぐに再婚した。
「一生だれとも結婚しないって言っていたのに、直ぐ別の相手が見つ
かるんだな。」と、まわりが皮肉ると、「あまりにも相手を愛していたから、
一人の寂しさに耐えられないのよ。」と、答えたそうだ。
寂しがりやさんは、一人でいることが苦痛なのだ。誰かが側にいることで
元気になれるなら、一人失くしたら、また新たに一人確保したらいい。
ペットロスの治し方は、次の新しいペットを飼うことらしい。ペットも人間も
側にいる限り、責任を持って一生懸命愛したらいいと思う。
悲しみも喜びも、一緒に付いてくるものなのだ。心から愛するペットが
亡くなると、その悲しみも大きい。それだけ価値があるペットだったという
ことだ。側にいなくなった時に、そんなに悲しめるぐらい大切な人に
出会えた幸せを喜び、その幸運を神様に感謝して、勇気を出して未来に
歩み出すのだ。いつまでも心臓が悪くなるぐらい変になっているんじゃ
ない。そんな事も、失恋した友達に言った覚えがある。
少しは役に立ったのかな。