イランの回答先延ばし作戦
イランの時間稼ぎは認められない(8/24)
ウラン濃縮をやめる気はないが、あらゆる問題について交渉する用意がある――イランが22日に核問題について示した回答をまとめるとこのようになるだろう。ウラン濃縮の停止という国際社会の要求にまともに応えない回答だ。
イランは過去20年近くも秘密裏に核兵器開発を疑わせる活動を続けた揚げ句に、今年4月には小規模だが濃縮ウランを製造したと発表した。これに対し国連安全保障理事会の常任理事国5カ国にドイツが加わった6カ国がイランへの説得を続け、今年6月にアメとムチの双方の対策を盛り込んだ「包括見返り案」をまとめ、回答するよう求めていた。
包括見返り案の内容は公表されていないが、ウラン濃縮を停止すれば、軽水炉の建設を支援したり核燃料を安定的に供給するなど極めて寛大な協力を約束しているといわれる。一方で濃縮停止を拒否すれば安保理で「新たな措置」を取ることを打ち出している。
イランの22日の回答の詳細は明らかではないが、今後の交渉のドアを閉ざさない姿勢を示したという点では一定の評価は可能かもしれない。しかし、国際社会が求めている肝心要のウラン濃縮の停止を事実上拒否、さらに多くのあいまいな提案を盛り込んでいるという。
イラン核問題をめぐる攻防は次に1週間後に節目を迎える。国連安保理は先月、包括見返り案に対応してイランが今月31日までにウラン濃縮を停止しなければ、制裁を検討するという決議を採択している。
制裁には中国とロシアが慎重な姿勢を示してきた。イランは安保理にくさびを打ち込み、中ロの協力を得ながら交渉を長引かせ制裁を回避しようとしたたかにもくろんでいるのだろう。
しかし米国はイランが8月末までにウラン濃縮を停止しなければ、直ちに制裁を科すとの姿勢を繰り返し表明してきた。イランはレバノンでイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラを支援していることもあり、イランが地域を不安定化させていると見ている。
イラン核問題への対応を協議してきた国際原子力機関(IAEA)がこの問題を安保理に付託すると決めたのは今年2月である。安保理はいつまでもイランの時間稼ぎに付き合っているわけにはいかない。
世界の核拡散防止体制は様々な挑戦を受けている。北朝鮮とともにイランの核問題を今、解決しておくことが核拡散防止体制を守るために不可欠だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20060823MS3M2300323082006.html
2月からずっと回答を引き延ばしてきて、答えがこれか、、、。
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ワシントン=貞広貴志】米国務省は23日、イランが国連安全保障理事会5常任理事国とドイツの包括案に対して示した回答について、「(ウラン)濃縮・再処理関連活動の全面的で検証可能な停止を求めた安保理決議の条件を満たしていない」とする声明を出した。
さらに、安保理メンバー国と「次の手段」について緊密に協議していく方針を示した。
米政府が回答を不十分とする認識を示したことで、今後、国連などで対イラン制裁論議が本格化することになりそうだ。
声明はイラン側の回答に対して初めて出された公式見解で、ブッシュ大統領とライス国務長官が同日、回答について協議したのを受けて発表された。「我々は、イランが回答を真剣な提案と考えていることを認識しており、検討する」と一定の評価は示しながらも、濃縮活動の停止が明示的に盛り込まれなかったとされる点への不満を明確にした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060824-00000203-yom-int