ロシアで中国人への「黄渦論」が出ている。
【モスクワ=内藤泰朗】モスクワ東部のチェルキゾフ市場で爆発物により多数の死傷者が出た事件で、爆破犯がロシアで増大する中国人などアジア人排斥を目的に、自家製の爆発物で犯行に及んでいた事がこのほど明らかになった。ロシアの日刊紙ガゼータなどが報じた。モスクワの捜査当局は23日までに、同市内の大学で化学を学ぶ20歳のロシア人男子学生2人を殺人容疑で逮捕。家宅捜査の結果、大学寮から重さ8キロの自家製爆弾と、ナチズムを称賛した書籍やバッチなどを押収した。
21日の爆弾事件では、10人が死亡、45人が負傷したが、死者のうち5人は中国人で、1人がベトナム人だった。逮捕された2人は、捜査当局に犯行を認め、動機については同市場に「あまりにも多くのアジア人たちがいたからだ」と証言した。犯行の数日前から爆弾を組み立てて、同市場のどこで爆弾を爆破させるか、下見を行い爆破計画を練っていたという。
当局は22日、さらに2人の協力者とみられる18歳の男子学生を逮捕、5人の重要参考人からも事情聴取している。
ロシアでは、中国との経済関係拡大に伴い、中国人が大量に流入するのを警戒する声が高まっているほか、かつての「弟分」が経済的にロシアより強くなることへのいらだち、中国人への「黄禍論」も出てきている。
親プーチン政権派日刊紙イズベスチヤが23日報じたインターネット世論調査の結果でも、「ロシアの敵は何か」との質問に、6%が「中国人の増殖力」と回答した。
(産経新聞) - 8月24日