レバノンでは大変なことになっている。
【ベイルート高橋宗男】イスラエル軍は30日朝、レバノン南部ティールの南東約10キロの町カナの民間人居住区を空爆、住民が避難用シェルターに使っていた建設中のビルやモスクが破壊された。死傷者数についての情報は錯そうしているが、中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、子供30人を含む57人が死亡した。7月12日の紛争開始以来、一度の攻撃では最悪の事態となった。依然がれきの下敷きになった人々が多数いるとみられ、死傷者はさらに増える可能性が高い。
カナでは96年4月にもイスラエル軍の「怒りの葡萄(ぶどう)作戦」で、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の基地が攻撃され、侵攻を恐れて避難していたレバノン人106人が死亡。「カナの虐殺」と呼ばれている。レバノンのシニオラ首相は同日、「カナで起きていることは誤り(誤爆)などではない」とイスラエルを強く非難した。さらに「我々は即時の無条件停戦以外は受け入れない」と態度を硬化させた。一方、イスラエル政府は今回の攻撃について遺憾の意を表明、調査を約束した。
またシニオラ首相はアナン国連事務総長に電話し、安全保障理事会の緊急会合の開催を要請した。首相はこれまで、停戦実現に向けてイスラエルへの攻撃を続けるイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの説得に当たってきたが、ヒズボラ側は29日夜、戦闘の継続を宣言していた。
一方、米国のライス国務長官は29日、イスラエル入りし、オルメルト首相と会談。レバノン南部へのより強力な権限を持つ国際部隊の展開などについて首相と協議した。長官は、シニオラ首相の事実上の交渉拒否を受け、30日に予定していたレバノン訪問を中止した。停戦に向けた交渉は暗礁に乗り上げ、レバノン情勢がさらに混迷するのは必至だ。
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