日本よ、こんな中国とつきあえるか?の感想文 | 日本のお姉さん

日本よ、こんな中国とつきあえるか?の感想文

林建良著『日本よ、こんな中国とつきあえるか?』

(平成一八年八月号「月刊日本」より転載)
            日本李登輝友の会事務局長 柚原 正敬

 医師でありながら、台湾の独立建国運動に身命を賭す林建良氏が本書を執筆したのは、東アジアには危機が迫りつつあるにもかかわらず、日本の対中国政策を見ていると無策に近く、賢いはずの日本がなぜこんな愚かな政策を取っているのかという疑問を抱いたことに発している。その根本原因は、日本人が中国および中国人の本質を知らないことにあるのではないかという思いに駆られたからだ。

 台湾が中国に併合される危機的状況にあることを踏まえ、台湾がなぜ日本の生命線なのか、中国の本当の狙いは台湾ではなく日本を属国化することにあることを知らしめることも意図し、そのために中国帝国主義の潰し方や日本の核武装化、日台共栄圏構想などを提言している点で、これまでにない角度から日本人の歴史認識を促す一書となっている。

 確かに、これまでの日本の対中国政策は異常と言ってよい。媚中政策と言われても仕方がない。例えば、それはこの二十七年間に三兆五千億円にも膨れ上がったODAが象徴している。しかし、中国はなぜ日本の援助に感謝を表明しないのか、林氏の答えは明白である。「もらえるものはすべてもらうのが中国人」だからだ。また、中国人の本質について
次のように指摘する。

 「中国人と付き合う場合は対等ということはあり得ない。力関係によって、上位に立つか下位に立つかのどちらかしかないのである
だから「中国人の本質をよく見極めず、日本的な感覚で中国と接すれば必ずや裏切られる」と断言する。

 本書には、林氏が戦後台湾における中国人化教育を含めて否応なく知らされた中国人の凄まじい拝金主義や愛国心の実態、残忍性や欺瞞性、人権無視の実例など、中国および中国人の本質を知るための事例があまた紹介されている。その中でもおぞましいのは「医食同源」について触れた箇所だ。

 中国では精力剤として犬の生殖器「狗鞭」(ゴウベン)や虎の生殖器「虎鞭」(フーベン)が売られていることや、昔から猿の脳を食べるという食習慣があることを例に、究極の医食同源とは人間の臓器そのものを食べることだと指摘している。それは林氏も台湾の医学生時代に習った『本草綱目』の最後に「人部」すなわち人間の部があり、人間の骨や臓器の効用について記し、さらにその処方についても記していることを紹介している。だから、中国では胎児を食べ、親孝行に人肉を食することを奨める教育を行っているという。

 おぞましいといえば臓器売買だが、中国では解放政策がはじまった一九八〇年代から臓器売買が盛んになったことも詳しく取り上げている。なんとこれは政府、司法、解放軍が一体となって進めてきた新興ビジネスで、死刑囚を臓器提供者としている実態をつぶさに描いている。

 臓器移植手術を行う解放軍や政府機関の病院は七十ヵ所にものぼり、本書にはそのリストも付いている。臓器は病気にかかっていなくて新鮮なものほどよいことから、麻薬やエイズなどのチェックが容易で処刑日を特定できる刑務所に、病院から欲しい臓器を注文するというシステムである。もちろん、死刑囚の人権は考慮外であり、政府が裏で絡んでいるからこそできるビッグビジネスだ。

 中国政府がどのように絡んでいるのかというと、司法部(法務省に相当)が「医者が車を使う場合は医療機関のマークを隠すこと」などと指示した一九八一年の公文書「死刑囚の臓器摘出に関する注意事項」を示し、明らかに政府が絡んでいることを証している。
唖然とする事例ばかりだが、これが中国の実態であり、中国人の本質に発しているとする林氏の指摘は説得力に富んでいる。

 本書はこのような中国の本質についてばかりでなく、日本や台湾にも章を割き、「木を植える日本人と木を伐る中国人」や「きれいに死のうとする日本人と死なないようにする中国人」などのタイトルからも分かるように、日本人では発想し得ないような視点から中国、日本、台湾を比較して叙述している。

 また、日本と有機的に連関する台湾の歴史や政治の現状、その法的地位にまつわる台湾の苦悩についても克明に書かれている。

 これが日本人に台湾認識を促すための本書の眼目の一つであり、実は本書の白眉でもある。その点で、まさに日本と台湾の再生のキイ・ポイントを示した覚醒の書である。ハードなテーマにもかかわらず読みやすいのは、林氏の人柄が伝わってくる体験談が随所に織り込まれているからだろう。

・著者 林建良
・書名 日本よ、こんな中国とつきあえるか?│台湾人医師の直言
・体裁 四六判、並製、二八〇ページ
・定価 一六八〇円(税込)
・版元 並木書房
・刊行 平成十八年七月二十日
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