ロシアはアメリカに対して、超強力なカードを手に入れました。 | 日本のお姉さん

ロシアはアメリカに対して、超強力なカードを手に入れました。

ロシアで06年6月8日。

ルーブル建ての原油取引が開始されました。

これは、アメリカの覇権を終結させる、水爆級の出来事。

しかし、一般の人にはなんのこっちゃわけがわかりません。

それを理解するためには、アメリカが破産していない理由を知る必要があ
るのです。


▼アメリカを没落させる簡単な方法


1990年11月初版発行、大前研一先生の「ボーダレス・ワールド」。

この本を参考にしながら、基軸通貨の特権について説明しました。

前号のポイントを簡潔に復習してみましょう。

・アメリカに対外貿易はない、なぜなら外国商品の購入にドルが使われて
いるから。(他の国の場合、例えばロシアの場合、外国商品をなぜかドル
で買わなければならない)

・アメリカと他国の最大の違いは、アメリカが基軸通貨・国際決済通貨ド
ルをもっていることである。

・ドル安がすすむと、ドルが相手国に決済通貨として受け入れられない日
が来るが、これは大問題。

・なぜなら、輸入超過分の代金支払いに外国通貨を借りなければならな
くなるから。

・ドルが基軸通貨であるかぎり、債務は問題にならない。



結論を簡潔にいえば、ドルが基軸通貨であるかぎり、貿易赤字も財政赤字
も問題にならないということ。

これを別の言葉でいうと、ドルが基軸通貨でなくなれば、アメリカは普通の
赤字国と同様の結末を迎える。

つまり、ドルが下落、輸入品の値段が高騰しハイパーインフレになる。



さて、ここでイマジネーションを旺盛にしてみましょう。

あなたは、アメリカが大嫌いな国の大統領だとしましょう。

いつアメリカに攻撃されるかという不安で夜も眠れない。

命にかかわる問題です。

わかります。

アメリカが没落すれば、その過程で世界恐慌が起こる可能性もある。(世
界最大の消費国の輸入量が激減するのですから)



しかし、金と自分の命をはかりにかけたら?



「・・・・・・・・いっそのこと。。。」



そう決意をしたら、戦略は簡単に出てきます。

1、目標=アメリカを没落させ、自国と自分と家族の安全を確保すること

2、戦略=ドルを基軸通貨・国際通貨・世界通貨でなくならせる

3、戦術

・ドル以外の通貨でアメリカ以外の国と貿易をする
・ドル以外の通貨を外貨準備につかう
・アメリカ国債を大量に買い込み、時を見計らって売り浴びせる
・「アメリカは双子の赤字でボロボロである」といううわさを流布する
・地域通貨を作る

等々。

要は、ドルの使用量を減らす方策を打っていけば、アメリカは没落します。

実際に行われていることを見てみましょう。

・99年にユーロが登場、02年から一般流通が開始される。

・00年9月、フセインは「原油取引をユーロ建てにする」と宣言。これが原
因でアメリカから攻撃される羽目に。

・ロシア・中国・インドなどは、外貨保有におけるユーロの比率を高めてい
る。

・イランは、国内の石油取引所開設を目指している。取引通貨はユーロ
になると発表されている。


▼ルーブル建て原油取引開始の意義


さて、全部説明しつくしたところで、本題に戻ります。





「ルーブル建て原油取引開始 ロシア、影響力強化狙う
 【モスクワ9日共同】モスクワの取引所、ロシア取引システム(RTS)
で8日、初のルーブル建てロシア原油の先物取引が始まった。サウジ
アラビアに次ぐ世界第2位の産油国であるロシアは、自国通貨建ての
自国産原油市場を創設することで、国際原油市場での影響力強化を
図る狙いだ。」



ここまで読んでこられた読者の皆さんは、このできごとの真の意味が
理解できますね。

記事にはつづきがあります。



「タス通信によると、初日の取引では、ロシア原油の主要銘柄ユラル
スの7月と9月渡しの取引高が計5万3340バレルに達した。取引所
当局者は「初日はロシア人投資家が圧倒的に多かったが、1、2カ月
もすれば外国人投資家がもっと活発に参加してくるだろう」と述べた。
(共同通信) - 6月9日」



現時点で大きな問題になっていません。

というのは、ロシアの大手石油会社は年初までに、「今年はどこに何トン輸
出する」と決めているからです。

年内だけで見れば、ルーブル建ての取引は、ロシアの全輸出量の1~2%
にとどまるとの見通し。

問題は来年以降どうなるかって話。

「いや、誰もルーブル建ての石油なんて買いたくないでしょう?」

そうでしょうか?



皆さんロシアが(^▽^)【人治国家】(^▽^)であることを忘れていませんか?



プーチンさんが、「おまいら、ルーブルで石油を売りなさいよ。売らないとブ
タ箱行きにするぞ!」と脅せば?

また、世界最大のガス会社ガスプロムが国営であること、そして、同社が民
間石油大手シブネフチを吸収したこと。

国営石油会社ロスネフチが、元石油最大手ユコスの子会社ユガンスクネフ
チガスを吸収して巨大化していることを忘れていませんか?

つまり、ルーブルで売るかどうかは、プーチンさんの鶴の一声できまるといっ
ていい。

「いや、しかし、他の国は嫌がるでしょう?」

もちろん、欧州やアメリカは同意しないでしょう。

しかし、ロシアからの石油なしでやっていけない中国は?

旧ソ連諸国は?

こう考えると、この出来事は、アメリカ大統領を気絶させるほどの出来事だっ
たことがわかるでしょう。、

まあ、ブッシュさんが事の重大さを理解できたかどうかわわかりませんが。

賢いブレーンたちは、確実に気がついたはずです。


6月6日、ルーブル建て取引が開始される直前。

キッシンジャーがモスクワに飛んできて、プーチンさんと会談しました。

チェイニーさんやライスさんは今までサンザンロシアの悪口をいってきたので
、あわせる顔がないのです。

キッシンジャーは、「米ロ関係は年々良好になっている」とプーチンさんにお
世辞をいいます。


6月30日の毎日に、こんな記事がありました。↓



「<3極委員会>露への不信強める日米欧に現実的政策促す

日米欧の知識人で作る政策提言機関「3極委員会」は30日、ロシアに関す
る提言書を発表、

資源外交を進めるプーチン政権に対し日米欧が不信を強めている点につい
て「西側の視点から見るのではなく、ロシアの現状を理解すべき」と指摘し、
「ロシアがより協力的な路線に復帰するようサミットを活用すべき」と提言し
ている。 (毎日新聞) - 6月30日19時14分更新」



要は、3極委員会が「日米欧はもっとロシアを仲良くしなさいよ!」と提言し
たと。

なんで?

全世界で真の理由を知っているのは、この世の支配者とRPE読者の皆さ
んだけです。


▼ロシアはこのカードをどう使う?


もちろんプーチンさんも世界恐慌を起こしたくありません。

しかし、一方でアメリカにはむかついている。

アメリカは、グルジアでバラ革命を、ウクライナでオレンジ革命を、キルギス
でチューリップ革命を起こし、ロシアでもカラー革命を起こそうとしている。

また、東欧諸国・ウクライナ・モルドバ・グルジアを一体化させ、反ロ勢力を
育てている。

ロシアは、ルーブル建て原油取引を外交カードに使うに違いありません。

具体的には

・アメリカはロシアのWTO加盟を認めなさい(10月にまとまる方向と発表さ
れています)

・アメリカは、ウクライナやグルジアをNATOに入れるな!

(ウクライナでは親ロのヤヌコービッチの力が増しています。グルジアはア
メリカに見捨てられて、内戦を開始するかもしれません。)

・アメリカは、旧ソ連諸国でのカラー革命をやめろ!

・アメリカは、ロシアでの革命工作をやめろ!

・アメリカはイランを攻撃するな!

等々。

受け入れなければ、ルーブル建ての原油取引をドカーンと増やしますよと
脅すのです。(^▽^)(^▽^)(^▽^)

このようにロシアはアメリカに対して、生死を左右する超強力なカードを手
に入れました。

中国は、米国債を大量に保有することで、アメリカをいつでも没落させるカ
ードを手に入れています。

アメリカの運命は、既に中ロ首脳の考えで決まるところまで来ているので
す。(涙)
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