レバノンの状況は?
ベイルート/ワシントン 23日 ロイター] イスラエル軍は23日、レバノン領内のイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの拠点など空爆したが、レバノン南部への国際部隊遣を容認する姿勢も示した。一方、国連緊急援助調整官室(OCHA)のエグランド室長は、レバノンの一般市民に救援物資を届けるため停戦を呼びかけている。
イスラエル軍はこの日、レバノン南部での戦闘でヒズボラ兵士2人を拘束したと発表した。12日間に及ぶ衝突でイスラエル軍がヒズボラ兵士を捕虜にしたのは初めてとみられる。これまでの戦闘などでレバノン側の死者は369人、イスラエル側は37人が死亡している。
23日はイスラエル軍によるベイルートなどに対する空爆で9人が死亡、100人が負傷した。また、ヒズボラによるイスラエル第3の都市ハイファへのロケット攻撃で2人が死亡、20人が負傷した。イスラエル北部の10都市への同様な攻撃でも約50人が負傷。
23日夜中東に向かったライス米国務省長官は、即時停戦ではなく永続的な解決策を模索すると述べており、米政府はヒズボラを非難するとともにその背後にはシリアとイランがいるとみている。
イスラエルのペレツ国防相はこの日、国境地帯からヒズボラ勢力を確実に排除するため、レバノン南部への北大西洋条約機構(NATO)の平和維持軍派遣を容認する方針を示した。
ボルトン米国連大使も、CNNに対し「新しい案であり、われわれは真剣に受け止める」と語った。しかし、国際部隊への米軍の参加は考えていないと述べた。また「われわれは、多国籍軍について慎重に検討してきている」とし上で、それはおそらく(国連)安全保障理事会の承認を受けた形になり、国連軍ではないとの見方を示した。
また、サウジアラビアのサウド・ファイサル外相は23日、ブッシュ米大統領とライス米国務長官と会談し、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルとの停戦呼びかけに合意するよう求めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060724-00000052-reu-int
イスラエルのニュース:
2006年7月19日(水)
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*昨日も120発のカチューシャロケットが北部に着弾。ナハリヤでは、
ミルクを持って防空壕に向かっていた父親が死亡した。(P,Y,H)
*国防軍はレバノンのヒズボラ拠点に対して引き続き激しい空爆中。攻
撃開始以来、ヒズボラ戦力の半分を破壊したが、軍事目標達成のため
には、さらに数週間の戦いが必要だと発表した。(P,H,Y)
*またアシケロンにカッサムロケット砲が着弾。過去最高の飛距離を記
録しており、危険地域の広がることが懸念されている。(Y)
*国防軍はガザ北部のベイトハノンに対する2日間の地上作戦を終了。
しかし、カッサムロケット砲による砲撃は続いている。(P,Y)
*レバノンではヨーロッパ諸国が自国民の避難を進めているが、米国市
民の避難は遅れ気味。ベイルートの米国大使館前では、早期に避難体
制を組むことを求めて150人の米国人がデモを行った。(P,Y)
*米国に対して、レバノン紛争を止めるための努力を求める声が高まる
中、ライス国務長官が日曜から中東を訪問することが決定。(H)
*最新の世論調査で、国防軍の作戦に高い支持。しかし地上侵攻は避け、
空爆のみ継続すべきだとの意見が過半数を占めた。また、西岸地区か
らの一方的撤退政策は、支持率が低下し35%になった。(Y)
*ローマ法王庁の特使がハマスに誘拐された兵士の釈放に向けて交渉を
試みていたことが判明。ローマ法王は日曜のメッセージで、イスラエ
ルのレバノンに対する攻撃を非難した。(P)
2006年7月20日(木)
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*国防軍がレバノン領に小規模な侵攻作戦。激しい戦闘で国防軍兵士2
人が死亡した。ヒズボラ側にも多数の死者が出たもよう。長期にわた
る占領ではなく、局部的な作戦だと軍は説明した。(P,Y,H)
*ヒズボラ幹部が隠れていると見られるレバノン市内の地下壕に国防軍
が20トン余りの爆弾を投下。しかし結果は不明。(P,H)
*カチューシャ砲によりナザレでアラブ系市民の幼い兄弟が死亡。父親
は「悪いのはヒズボラではなくイスラエル」だと語った。(P,Y,H)
*ユダヤ教の聖地だけでなく、キリスト教の聖地ナザレにも無差別にロ
ケットが撃ち込まれる事態を受け、政府は「ヒズボラは何にも敬意を
払わない野蛮な集団」と非難した。(Y,P)
*ガザで国防軍が部分的な侵攻作戦。激しい戦闘でパレスチナ武装勢力
7人が死亡した。国防軍に死傷者は出ていない。ヒズボラとハマスに
対する戦いは、長期消耗戦になる可能性が高まっている。(Y,H)
*自爆テロリストと補助者を国防軍が逮捕。追跡のため中部では道路が
封鎖され、大きな渋滞が起きた。(Y)
*EUのソラナ外相がイスラエルでリブニ外相と会談。リブニ外相は、
地域の安定に向けて国際社会と協力する考えを示した。(Y,H)
2006年7月21日(金)
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*北部戦線ではさらに国防軍兵士4人が戦死。激しい戦闘で、ヒズボラ
側にも数十人の死傷者が出たもよう。(P,Y,H)
*国防軍のヘリコプターが故障で衝突を起こし、兵士1人が死亡し3人
が重傷。国防軍は事故原因を調査している。(P,Y)
*「武器を隠している家は破壊する」と警告するチラシを国防軍がガザ
に配布。パレスチナの武装組織は民家に武器を隠す例が多い。(Y)
*レバノンのシニオラ首相が、イランとシリアの手先になっているとし
てヒズボラを厳しく批判。国際社会の支援で停戦を実現し、その後ヒ
ズボラの武装解除を目指す考えを示した。(P)
*ヒズボラ指導者のナスララがTVで健在ぶりを誇示。戦力の半分は破
壊したとの国防軍発表を否定し、戦闘継続を宣言した。(Y,H)
*米国のライス国務長官が月曜に中東を訪問へ。停戦を求める声が高ま
る中、長官は「原因を取り除かなければ意味が無い」として、即時無
条件の停戦には反対する考えを示した。(H)
*230人の移民が北米から到着。戦火のイスラエルに到着した移民者
たちは「我々はカッサムもカチューシャも恐れない」と語った。(Y)
*ハイファ名物となっているバハイ神殿の指導者が、ヒズボラの標的に
なっているとの懸念を表明。イランに暮らす35万人のバハイ教徒は
シーア派からひどい迫害を受けている。(P)