インターネットの出会い系で、小中高学生827人が被害者になった。
警察庁は21日、06年版の警察白書を閣議に報告した。冒頭の特集は「安全・安心なインターネット社会を目指して」がテーマで、インターネットやコンピューターにからむ新たな「サイバー犯罪」の増加やネット上の違法・有害情報が少年に悪影響を与えている実態など、インターネット社会の負の側面に焦点を当てた。「新たな技術を悪用した犯罪が多発している」と指摘したうえで「社会全体でインターネット社会の在り方についての真剣な議論をしてほしい」と訴えている。
白書によると、昨年のサイバー犯罪全体の検挙件数は3161件で、前年より1080件(前年比51.9%)増加、過去最多になった。そのうち実行にインターネットを利用した犯罪は2811件で前年に比べ927件(同49.2%)増と特に目立った。
犯罪種別では、詐欺が1408件で前年の542件から約2.6倍に増加。インターネットオークションを利用し、商品を販売すると偽って代金をだまし取る金目当ての事件などが目立つ。
また、犯罪手口のひとつとして、社会問題化したファイル交換ソフト、Winny(ウィニー)による情報流出に言及。「ひとたび情報が流出すると削除は非常に困難」と指摘した。愛媛、岡山県警での捜査情報流出にも触れた。
インターネット犯罪について白書は「犯罪を行うものにとって所在を特定されないなど極めて好都合。実際に相手の顔が見えないやりとりの中で抵抗感なく犯罪に手を染める」と分析した。
一方、インターネットが少年に与える悪影響についても言及。出会い系サイトの利用を通じて、昨年は827人の小中高校生が児童買春禁止法違反などの犯罪で被害者になった現状を挙げ、「少年が保護者の監督の及ばない所で違法・有害情報にアクセスできる状況が放置されている」と指摘。有害なウェブサイトに触発された性犯罪や凶悪事件が多発している現状を報告した。
漆間巌長官は「対策には国際的な連携が必要だ」と話している。【遠山和彦】
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