日印経済連帯をめざせ。 | 日本のお姉さん

日印経済連帯をめざせ。

小泉純一郎首相とインドのシン首相が17日、ロシアのサンクトペテルブルクで会談し、自由貿易協定(FTA)を核とする経済連携協定の交渉開始に向け準備を進めることで合意した。日本が新興経済「BRICs」の一角であるインドと連携を深めれば、東アジア地域の経済発展だけでなく、政治的にも同地域の安定に寄与できる。早い時期に正式に交渉を開始し、内容のある協定の締結にこぎ着けるよう期待する。

 インドは人口約11億人で中国に次ぎ世界第2位。国内総生産(GDP)は約6900億ドル(2004年)で、日中に次ぎアジアで第3位の巨大市場だ。年率8%強の経済成長を続け、中間所得層も着実に厚みを増している。経済連携協定で通商障壁が低くなれば、日本企業に広大な市場が開けるのは確実だ。

 日本と中国の不安定な政治関係が続く中で、日本にとってのインドの戦略的な重要性は高まっている。日本企業の進出先が中国に偏るリスクを考えると、投資と輸出の相手の分散を急ぐ必要がある。インドが民主主義国家である点も重要だ。日印関係を強化すれば、中国に民主化や構造改革を促す効果も望めよう。

 日印間の貿易額は過去10年間で年間40億―50億ドルで横ばいが続いている。インドから日本への輸出はエビ、鉄鉱石、ダイヤモンドの3品目で半分以上を占め、多角化がほとんど進んでいない。対照的に日中間の貿易額は同期間に約3倍に膨らみ、年間2000億ドルに迫る勢いだ。貿易品目も多岐にわたっている。

 インドのハイテク産業はIT(情報技術)や医薬品、バイオなどを中心に活力が旺盛であり、日本市場への期待も大きい。伝統的なモノの貿易の自由化だけでなく、ソフトウエア開発やIT関連サービス、技術者など人材の移動も視野に入れ、幅広い分野で自由化を考えるべきだ

 同時に日本からの企業進出を促進するため、対印投資を保護する枠組み整備が必要である。インドが重視する農業の生産性向上で日本が技術協力できる分野も多いだろう。

 日印経済連携協定は2008年の締結を目指している。両国の貿易・投資構造に厚みを持たせることを目標に交渉に取り組んでほしい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20060719MS3M1900519072006.html